花冠同人・多田有花の俳句ブログ

日々の俳句の備忘録

梅の雨

2012年06月09日 | Weblog
夜昼も雨もかまわずほととぎす
梅雨入りの板の間に触れ足の裏
降る音に蛙誘われ梅の雨

山法師高きところで天仰ぐ
六月の水辺に並んで咲きにけり

青梅

2012年06月08日 | Weblog
青梅をもぐ人のあり梅林に
梅雨入りの気配を連れて降り出しぬ
降りだせる雨に匂いし栗の花

草の丈眺めて高し十薬に
ひかり受けはちみつ色の薔薇ゆれる

さつき

2012年06月07日 | Weblog
やや色の違うさつきも混じりおり
夏を飛ぶもののいろいろ頂に
緑陰をふわり狐の駆けてゆく

六月の野に座ししろつめくさを近く
皐月躑躅いつも揚羽にかしずかれ

岩つばめ---花冠342号(2012年4月)

2012年06月07日 | Weblog
はくれんの花輝きの高さかな
岩つばめ甍の波を下に見て
快晴にはやも桜の散り初めし
山桜次々雲を放ちけり
青空を透かし楓の芽吹きおり
山はいま芽吹く小楢の銀の色
緑立つ山の香りに迎えられ

薔薇

2012年06月06日 | Weblog
球を打つコートの上の大夕焼け
玄関に雪崩るるごとく薔薇咲かせ
森青蛙くつろぐ池の昼下がり

ふた色の隣り合わせに庭石菖
杜若むらさき匂う池の端

芒種

2012年06月05日 | Weblog
月食は卯月曇の彼方かな
うすぐもる芒種の空へ干し物を
ほろほろと卯の花こぼれ落ちしかな

麓にはいずこも植田並びおり
卯月また薔薇の季節と思いけり

卯の花

2012年06月04日 | Weblog
六月の馬酔木咲くなり頂に
卯の花に明るき夕陽さしにけり
しなやかに若木を登る蛇一匹

水豊か播磨平野を流れおり
家々の庭ごとの薔薇それぞれに

浅黄斑蝶

2012年06月03日 | Weblog
踏みし峰見上げつジェラートを舐める
北上の浅黄斑蝶と邂逅す
山の湯を出れば箱根空木咲く

雪月花一度に見せて花空木
水音に親しく咲いて杜若

郭公

2012年06月02日 | Weblog
優嵐スケッチブック


見晴るかす田に水入りし谷空木
郭公や頂上まではあとわずか
稜線を外れ青葉闇に入る

皐月躑躅まひるの光強かりし
花びらに光たたえて薔薇咲きぬ

尺取

2012年06月01日 | Weblog
木苺のたっぷり生って奥の院
尺取の虚空に伸ばす身体かな
緑陰に風のそよぎを聞いている

紅白の睡蓮並んで咲いている
ももいろも黄色もありて薔薇うれし