花冠同人・多田有花の俳句ブログ

日々の俳句の備忘録

春の空

2012年03月21日 | Weblog
ひそやかに真っ赤な梅の隅に咲く
波型を描きつ鵯の春の空
どこからか梅が香運ぶ風なりき

紅梅の並んで咲くや池の辺に
紅色の初々しさよ八重紅梅

春分

2012年03月20日 | Weblog
春分の煙まっすぐ空へたつ
窓開けし目に春分の朝の霜
春分の大橋くっきり晴れ渡り

梅白しゆうべの雨に洗われて
われここにありと真っ赤に藪椿

風光る

2012年03月19日 | Weblog
播磨灘沖ゆく船に風光る
梅が枝の伸びたる先を雲渡る
見上げればつらつら椿青空に

藪つばき揺れず風なきを知る日
菜の花のかなたに浮かぶ富士の山

彼岸参

2012年03月18日 | Weblog
雨がちの午後を彼岸参かな
丁寧に彼岸の墓石を拭いけり
近況をききつつ彼岸の帰り道

紅白の梅の香りに満ちし昼
春の雪ときに激しく経堂に

彼岸太郎

2012年03月17日 | Weblog
半日は雨降り彼岸太郎かな
春眠の深さに溺れておりにけり
春の夢古代の人と道で会う

真青なる空に真白な梅の咲く
春の川明るき色に流れおり

彼岸前

2012年03月16日 | Weblog
樒採る人と出会いし彼岸前
梅つぼみ重なりあいて枝々に
束ねらる木の根のそばの土匂う

紅梅の紅の深さのさまざまに
石段に立てば光し春の池

春星

2012年03月15日 | Weblog
優嵐スケッチブック


梅が香を深々と胸の奥底へ
春星や切られしばかりの木の匂う
チェーンソー止まり再び雉の声

花開く紅梅へ降る昼の雪
水音と囀りのあり随願寺

梅林

2012年03月14日 | Weblog
紅白の梅に降りける牡丹雪
梅林に日差しも人も戻りける
麗らかや犬はバンダナ首に巻き

白梅に寄れば香りの高かりし
葉も花も濃き色藪椿咲けり

淡雪

2012年03月13日 | Weblog
池の面にその身映して牡丹雪
淡雪や遠くに水の光りおり
梅が香へ降りける雪の中にいる

サンドイッチ持って春の野へ行こう
天空の白鷺照らす春陽かな

八重紅梅

2012年03月12日 | Weblog
つづら折れ梅を愛でつつ登りゆく
川の面に春の日差しの遊びける
八重紅梅いま満開の頂点に

芽吹く木に囲まれ白きオーベルジュ
紅梅に赤さ運べる枝なりき