風花

釣り船の影きらきらと春の海
大橋を望む汀の春の雪
風花や暮れし浪花のビルの間に

雲流れビルの真上の二月早や
牡蠣筏あいだを小船の帰り来る

春の雪

春泥の留めし人の行き交うを
北からの車は春の雪を積む
木々の枝うすむらさきの余寒かな

海に向く参道照らす春陽かな
差し伸べて枝まっすぐに梅真白

春寒料峭

雑木山照らしておりぬ春夕日
春寒料峭葉は輝きて翻る
青空や木々の枝先春めけり

軽快に優雅に春のスキーかな
浦々の穏やか瀬戸の春淡し

薄氷

鴨同じ姿で揺られ春の波
目を凝らす囀りのするその方へ
薄氷を揺らし昼の陽揺らしけり

ビル抜けて川面吹く風春浅し
春きざす海の社に詣でけり

春炬燵

梅に降る雨も三日となりにけり
風の音聞いているかな春炬燵
旅の絵を描いておりぬ春灯下

ゲレンデに春の日差しを楽しめる
紅梅に来て優しきは春の鵙

春泥

優嵐スケッチブック


うつつとも夢とも春の眠りかな
やみそうでやまぬ一日春の雨
春泥に轍残して消防車

紅梅の咲き初むころの寒さかな
春の雪またしんしんと降ってくる

春動く

牡蠣殻を吐き出すコンベア春浅し
春の雨降り出す中を歩きけり
瀬戸内の島々連ね春動く

春の陽に青き影もちスキー場
マルビルに春の光のさんさんと

春きざす

牡蠣筏浮かべて光り春の海
神門を出れば春光あふれおり
ひたひたと沖の小島に春きざす

ビルに触れビルを離るる春の雲
うす紅の梅咲き空気やわらかく

春浅し

暁の後の春眠心地よし
春浅き窓開けて見る山の木々
竹林に陽は隠れたり春の夕

スノーボード春の光を削り取る
雪原も木立も暮れて春夕焼け

余寒

立ち寄りて書店を出れば春夕焼け
神域の竹に囲われ余寒かな
稜線の木々のはっきり春早し

早春の空を映せる堂島川
目白来て梅の白さを際立てる