秋果

秋果盛り描いてのちにひとつ食ぶ
運動会練習続く河川敷
広々と播州平野みな刈田

水色の空へ岩峰立ち上がる

体育の日

萩垂れてここより山路始まりぬ
残りおる田もみな刈られ体育の日
コスモスはまだ揺れていず朝日影

頂に日差し溢れて萩の花

栗名月

＜十三夜句会＞
秋祭り明るくなるや太鼓鳴る
おちこちの祭太鼓が秋天に
祭り果て栗名月の中天に

水道橋空と流れの中にあり

刈田

鵙鳴きて今朝快晴を知らさるる
よーいやさあ刈田の道を屋台ゆく
秋晴れに屋台飾りのきらめくを

昼の陽にうつむきかげん秋海棠

新涼の影 花冠334号（2011年8月）

緑陰に停めておのおの昼休み
沖青し入道雲を浮かべおり
朝蝉に途切れ途切れのリコーダー
初秋の空は飛行機雲を載せ
よく晴れて遠くで光る鳥脅し
稲穂垂れ初めにし道を墓参り
見ゆるものみな新涼の影を持つ

蓼の花

優嵐スケッチブック


茶の花の咲けば古刹の秋深し
辻々に注連の張られて秋祭り
池の辺にいまいっぱいの蓼の花

花よりも実の鮮やかに臭木かな

釣瓶落し

皿を拭く間の釣瓶落しかな
子を抱いて新居見に来る秋の暮
頂の風にすすきの高くあり

空の色そのまま咲いて竜胆は

ひいやり

描くにはよけれ秋の雨の音
長き夜や夢さえ長く複雑に
ひいやりと靴下探す足の裏

風呼んで風真っ先にコスモスへ

天高し

六甲の近くに見えて天高し
秋の陽をとらえ蜘蛛の囲きらきらと
尺八の流れて秋の境内に

白鳥が秋の流れにバイブリー

鵙

鯖雲の下を近距離飛行灯
山並みを越えて泳ぎし鰯雲
高鳴きの鵙に朝日の昇り来る

晴天に諸手広げて曼珠沙華