花冠同人・多田有花の俳句ブログ

日々の俳句の備忘録

紋黄揚羽

2011年06月21日 | Weblog
特売の列の長さよ梅雨晴間
紫を風に揺らして花菖蒲
そば近く紋黄揚羽の飛び来る

あまご釣り輝くものを釣りあげる

明易し

2011年06月20日 | Weblog
ビル街の雨華やかに濃紫陽花
あっけなく気持ちは変わり明易し
荒梅雨の音に誘われ眠りけり

夏の暁海は沖まで凪ぎ渡る

梅雨の雲

2011年06月19日 | Weblog
解体のビルに吹き込む梅雨の風
海峡は梅雨の深さに横たわる
梅雨の雲大きく包む大都会

夏鴨のつがいは池の中ほどに

昼寝覚め

2011年06月18日 | Weblog
万緑の頂に着けば正午の鐘
花菖蒲雨の気配に咲いており
雨音の遠く近くに昼寝覚め

花くちなし今日真っ白に開き初む

梅雨晴間

2011年06月17日 | Weblog
梅雨晴間万年筆を買いに出る
浮葉みな昨夜の雨を宿したり
花菖蒲咲けば静かな水面かな

野辺の今もっとも輝き夏薊

キャベツ

2011年06月16日 | Weblog
花菖蒲さかさに映し水鏡
部屋に座す梅雨の気配に包まれて
さくさくと昼のキャベツを刻みおり

卯の花にこたえて啼くや不如帰

夏鶯

2011年06月15日 | Weblog
軽鴨のつがい浮葉を通り抜け
夏鶯鳴くほど森の静かなり
卯の花のこぼれ落ちつつ咲きにけり

夏山に蛇結茨の花たわわ

赤紫蘇

2011年06月14日 | Weblog
森にさす光の静か梅雨晴間
山法師平らかに咲き山の寺
赤紫蘇をかごいっぱいに買う男

十薬にひとつふたつと雨しずく

かわせみ

2011年06月13日 | Weblog
歌声の遠く響きし夏木立
卓上へそっと小さき扇風機
瑠璃色の閃光残しかわせみ発つ

翡翠の残すは一閃の光

柚の花

2011年06月12日 | Weblog
がりがりとコーラの氷噛み砕く
柚の花や境内に集う子らの声
通う道日ごと木苺赤く熟れ

あけぼのの色して薔薇の開きおり