花冠同人・多田有花の俳句ブログ

日々の俳句の備忘録

冬苺

2009年12月11日 | Weblog
山々のうえ冬六甲の影のあり
猪のひとこえ鳴きし落葉山
つややかに葉陰に光り冬苺

枯葉

2009年12月10日 | Weblog
梅冬芽色をしのばせ枝ごとに
かさこそと枯葉の音の山路ゆく
吹き溜まる落葉に踏み入る柔らかさ

葛湯

2009年12月09日 | Weblog
ひかえめにほつほつ咲いて冬桜
昼の陽のたまる縁側葛湯かな
もっちりと煎りし銀杏冬うらら

万両

2009年12月08日 | Weblog
冬紅葉透かして彼方の空の青
万両や日差し集めし実の赤さ
あたたかき陽が冬菊を包みおり

大雪

2009年12月07日 | Weblog
にこやかに父きて冬の暁けの夢
大雪の海遠く陽に光りけり
風の夜の明けて銀杏は裸木に

2009年12月06日 | Weblog
少年の手よりパンくず鴨寄りぬ
池の面に頭そろえて鴨静か
頂のうえに遥かな冬青空

千両

2009年12月05日 | Weblog
話すことそんなになくて冬林檎
見上げれば千両の赤空に映え
山茶花や散らしつつまた咲かせつつ

実南天

2009年12月03日 | Weblog
赤き実の増えたり小春の里の庭
実南天昼の日差しに包まれて
とんとんと屋根の葺き替え冬ぬくし

霜月

2009年12月02日 | Weblog
霜月の満月くまなき明るさに
風なくてしんと始まる夜の冷え
指先と頬のみ冷たくボール追う