黄落期

一葉を持ち帰りたり冬紅葉
しばらくは風が遊んでいく落葉
山歩くことの楽しき黄落期

落葉山

冬紅葉映して静か山の池
猪の駆け行く落葉蹴散らして
雨上がりまた新たなり落葉山

小春日

小春日の木漏れ日に満つ森歩く
落葉かく背にいっぱいの夕陽かな
吾住めり柿の落葉の舞うところ

冬の蝶

陽だまりをゆっくり飛んで冬の蝶
青空へほつほつ咲きし冬桜
冬菊や庫裏より漏れくる人の声

冬林檎

冬林檎スライスせしをトーストに
前山の陰影深く冬夕陽
輝きを空の青さへ冬紅葉

朴落葉

ぱりぽりと木の実踏む音冬の森
冬紅葉向かい合うとき静かなる
朴落葉かさりと時の重なりぬ

初冬

初冬の薔薇淡きバイオレット
森ふたたび歩きし冬のはじめなり
冬浅し紅葉いよいよ鮮やかに

冬に入る

あたたかき雨降る朝や冬に入る
立冬の種なし柿の甘さかな
陸橋を越え十一月の低き雲

冬隣

半袖で子らは帰るよ冬隣
秋惜しみワイングラスを傾ける
夜の雨静かに秋の終りかな

秋雲

絹糸のごとき秋雲いく筋も
晩秋の山下りて入る露天風呂
さっくりと割りし林檎の白さかな