自然の花より人工の花の方が
美しいというのが常識であろう
――中尾佐助(生物学者)
花好きな人は、花を育てる世界の花卉園芸文化が四つの地域(センター)に分かれているのを知っていよう。第一次センターは、西アジア・地中海地域と中国。園芸はまずここから始まったとされる。第二次センターは、西ヨーロッパ・アメリカと他ならぬ日本である。
中国の影響を受けたとはいえ、室町時代から頭角を現し、世界に肩を並べた日本の花卉園芸を自負していいだろう。出発点は椿と桜の品種改良からと中尾佐助は書いている。むろん平安・鎌倉時代にもあったが、多数の品種があふれたのはこの時代から。江戸時代になるとさらに花開き、現在までつづいている。
一方で中尾は、「野生原種のもつ美しさは人工的雑種以上のものがある見方がはっきりと存在している」とも書きくわえている。オランダでの講演で野生原種が美しいと語ると、現地の人から即座に反論が上がったという。人の花の見方はさまざま。特に老いたり、病を得たりすると、原種に近い野の花がいとおしくなる。
美しいというのが常識であろう
――中尾佐助(生物学者)
花好きな人は、花を育てる世界の花卉園芸文化が四つの地域(センター)に分かれているのを知っていよう。第一次センターは、西アジア・地中海地域と中国。園芸はまずここから始まったとされる。第二次センターは、西ヨーロッパ・アメリカと他ならぬ日本である。
中国の影響を受けたとはいえ、室町時代から頭角を現し、世界に肩を並べた日本の花卉園芸を自負していいだろう。出発点は椿と桜の品種改良からと中尾佐助は書いている。むろん平安・鎌倉時代にもあったが、多数の品種があふれたのはこの時代から。江戸時代になるとさらに花開き、現在までつづいている。
一方で中尾は、「野生原種のもつ美しさは人工的雑種以上のものがある見方がはっきりと存在している」とも書きくわえている。オランダでの講演で野生原種が美しいと語ると、現地の人から即座に反論が上がったという。人の花の見方はさまざま。特に老いたり、病を得たりすると、原種に近い野の花がいとおしくなる。