負けるな知的中高年◆本ときどき花のちコンピュータ

「知の崩壊」とかいって、いつの間にか世の中すっかり溶けてしまった。
「知」の復権に知的中高年よ、立ち上がれ!

コンピュータは民主主義的な価値の破壊に用いられた

2004年11月25日 | 詞花日暦
軍部と産業界の同盟は、
ハイテクの時代まで継続している
――T・ローザック(歴史学者)

 情報技術の乱用が起きるふたつの可能性を予測したのは、アメリカの高名な数学者、『人間の人間的な利用』の著者ノーバート・ウィーナーだった。情報技術の乱用とは、戦争の手段と労働者を不要にする産業利用である。このため、ウィーナーは軍からの資金援助を拒否し、労働運動の助言者として協力する二面作戦を実行している。
 彼の戦略に取りちがいがあったとすれば、予想もしなかった軍・政府と産業の密接な同盟である。第二次大戦後、政府・軍がコンピュータなどの情報理論に投資をつづけたのは、産業システムを変革する意図が大きかった。産業の自動化には、働く人を規制する労働問題の解消という政治的背景が強かった。
 ローザックによると、たとえばいまでは常識なったCAD/CAMの開発は、国防総省がスポンサーになった「集中コンピュータ利用製造」研究計画の成果だという。情報技術を人間的な用途に立ち返させるにしても、一方で「コンピュータが民主主義的な価値の破壊に容易に用いられる」事実に人は直面しなければならない。ローザックはそう指摘している。