負けるな知的中高年◆本ときどき花のちコンピュータ

「知の崩壊」とかいって、いつの間にか世の中すっかり溶けてしまった。
「知」の復権に知的中高年よ、立ち上がれ!

アメリカの文化は模倣された偽物(フェイク)である

2004年11月04日 | 詞花日暦
歴史は模造するものではない、
歴史は作られるものである
――ウンベルト・エーコ(作家・学者)

 イタリアの著名な文化人ウンベルト・エーコがアメリカ旅行後、この国の文化は「フェイク」(模造・偽造)ではないかと書いた。美術館には、「最後の晩餐」が三次元の立体として模造され、博物館では、マンハッタン島をオランダ人から買い取った契約書が偽アンティーク書体で偽造されている。金にあかした新聞王ランドルフ・ハースト(「市民ケーン」)の館は、西欧の無秩序な寄せ集めでしかない。
 サファリーパークや水族館では、動物たちは飼いならされた記号になり、ディズニーランドは、蝋人形や石や水の原寸大模型。西欧文化の発祥地イタリアのエーコから見れば、ほとんどがフェイクに見えただろう。彼はその原因をアメリカ人が深みとしての歴史現実感に欠けるせいだという。しかもハイテクを駆使して、欠如を補おうとする特質も付けくわえる。
 世界の覇権へ向けてひた走るアメリカのフロンティア精神は、世界の国々を自己流に飼いならし、それぞれの歴史や文化を先端技術で圧し潰す。日本はそれに嬉々として追随する。