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「ケータイで読む小説が大ブーム」とか

2006年10月25日 | Weblog
最近の日経BP社が伝える情報では、10代の若者たちの間で、ケータイで読む小説の伸びが著しいらしい。この小説はエンタテインメントコンテンツのなかに含まれるもので、これまで音楽を筆頭にゲームなどが主流だったが、小説・マンガも、06年に前年比9倍の540億円に達すると見込まれているとか。

ただしその小説は、わたしたち中高年が想定する種類のものではなく、一般の素人が書いた「等身大の物語」だという。プロの作家のものや古典的な作品ではないらしい。俗にいう「ライトノベル」の類だろうか。 かつていわれた若者の文字離れは、けっして巷間に語られたように起きていたわけではなかった。

問題は作品の内容とその質である。何が読まれなくなり、何が好まれて読まれているのか、質してみる必要がある。そうしないと、「大ブーム」といって、一概に喜んでばかりはいられない。素人が書いた等身大という表現から見ると、きわめて即物的なことばによる作品かもしれない。古いことばが死に瀕しているのかもしれない。

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4 コメント

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斜め読み (tombo)
2006-10-27 19:03:43
私の場合、携帯電話兼PDAに入れている小説は暇つぶしです。さあ、本を読むぞと腰を落ち着け挑む場合には、斜め読みなどが可能な、別の端末(本もしくは、画面の大きいPDA)で読みます。さて、そんな暇つぶしの短時間の読書に、本格的小説を選ぶことはしないでしょうし、ライトになればなるほど、安価になり、インターネット経由での購入も入手も容易になる。その上、たとえエロ本であっても、電子本であれば検閲に引っかかって取り上げられる心配もない。そこで扱われている商品は、本ではなく、物です。



紙の本の存在しか知らなかった時代を過ごしてきた私には、電子ブックの登場は本の用途が広がる画期的なものなのですが、もしも小さい画面でしか文章を読まない世代が今後存在するとしたら、長編大作などすでに消えてしまっているのかもしれません。
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空疎な美しい日本 (菅原)
2006-10-28 09:59:57
用途が広がる……たしかにそうでしょうね。まあ、本やマンガといっても、生活必需品ではないし、あってもなくてもいいようなものでもありますし、あまり目くじらたてることでもないのでしょうか。それにことばによる文化は、どこかで必ず継承され、生産されていますから。子供や若者たちに本を読まない数が増えていくことだけは、空疎な美しい日本をつくることになるでしょうから、為政者や企業家には喜ばしいことでしょう。
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本の用途 (tombo)
2006-10-28 21:14:51
あの時読んだ、あの本の、あの一行にはなんと書いてあったか…。そんな時にPDAに入れている電子本が役立ちます。でなければ、書棚丸ごと引きずって歩かなければならないですからね。



いずれにしても、自分の物差しで他人の好みをとやかく言わないようにしています。私が若い頃、戦中派の両親の嗜好を散々踏みにじってきましたから、今、与えられている環境の中でこれからの人たちがそれぞれどうやって彼らの世界を作り上げていくかをじっと見ているだけです。大衆単位での一見派手な数字も、個人単位になるとマスコミの取り上げない貴重な数字が存在すると思いたいです。私が若い頃にも本を読む人、読まない人はすでに存在していたのですから。
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ことばの喪失と継承 (菅原)
2006-10-29 11:37:54
まあ本といっても多種多様。一概に論じること自体があまり意味なしかもしれません。問題は「大ブーム」と話題を作り上げるジャーナリズムのいつものやり口なんです。それに心配なのはことばの喪失。平易なことばしか読めない人々が増えたとき、過去のことばの遺産はどうなるのだろうか。これも数少ない個人がことばを継承していればいいのですが……。
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