負けるな知的中高年◆本ときどき花のちコンピュータ

「知の崩壊」とかいって、いつの間にか世の中すっかり溶けてしまった。
「知」の復権に知的中高年よ、立ち上がれ!

「花いちもんめ」の歌は娘の人身売買を唄ったものである

2004年11月07日 | 詞花日暦
すぐれた「童謡」というものは、
長い人生に二度現れる
――寺山修司(劇作家・歌人)

 子供の頃、何気なく歌っていた童謡は、のちに思い出し、気付かなかった意味に驚くことがおおい。「ふるさとまとめて花いちもんめ」の花が植物の花ではなく、「女郎」の花代、「いちもんめ」は、一匁というカネの単位であると寺山修司はあとで知った。
 飢饉の貧しさから、「ふるさとをまとめて(捨てて)、たった一匁の花代で買われていった」人身売買を歌ったという。「あの子がほしい」というのは人買い、「まけてくやしい花いちもんめ」は娘の親のことば。当時、お茶ノ水女子大の学生・小高正代に聞いた。
 彼女によると、「しゃぼん玉とんだ……こわれて消えた」も女郎の歌。囚われの身を託してしゃぼん玉を飛ばすが、屋根まで飛んで壊れてしまう。脱出の願いをこめても、むなしくはじけてしまう。あどけない童歌に女郎哀史や人身売買があると思うと、「童謡もひとすじなわでいかなくなってしまう」と寺山は書いた。古くから伝わる俚言、童謡の類には隠された意味がおおい。