菅井の東工大ブログ

東工大工学部に長岡高専から編入した菅井直人のブログ。そして博士3年に。

「科学」の生まれるところ

2011-11-21 20:50:16 | イリノイ大生活
上の写真は、力学的エネルギーで発色するプラスチックです。
2009年にMooreグループが発表しました。
論文はこちら、日本語解説記事はこちら

力学的エネルギーで発色、なんて書くと難しく聞こえますが、
つまりは引っ張ると紫色に色づくプラスチックです。
この色の変化は分子構造の変化によるものなので、
今、自分の指が分子の形を変えている…!
ということを体感することができます。


先日、このプラスチックの最新型(詳細はヒミツ)を触らせてもらいました。
もちろんこの研究を知ってはいたのですが、化学に携わる者としては
自分の指で結合を組み替えたのだ…!と非常にテンションが高まりました。

合成した学生さんは、身長180センチくらいで筋肉がっちりな外見なのですが
「何度も合成して何度も色が変わるところ見てるけど、未だに面白く感じるんだよね」
と青い目をキラキラとさせていて、体格とのギャップが面白かったり。


菅井は、この研究に心奪われMooreグループへ来たようなものなので、
その研究の進展を間近に見ることができて、非常に刺激を受けています。
そうきたか!と感嘆したり、
留学申請時にMoore教授に形式上提案したのと同じ研究が進んでいて
おぉ、やっぱりそう思うよね、と嬉しくなったりしています。

普通は、分子の形を変えるためには熱をかけたり
金属などの触媒を使わなければならないのですが、
ただ、引っ張るだけという。しかもその変化が目で見て分かるという。
この研究が将来教科書の1ページになるのかな、と思ったり。
こうして科学が生まれ、ScienceとかNatureになったりします。
(最後の一文は理系向け)