犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
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邦楽の未来は

2020年07月24日 | なりもの
地元の駅前に、和楽器の店が有る。
壁には琴、こっちの壁には三味線が並び、太鼓だのケースだの笛だのが
所狭しと置かれている。
作業台の上も、物が一杯だ。

楽器屋は、いい。
いつまででもいられる。
端から全部いじってみたい。

けれど、和楽器屋ともなると、
楽器のことをよく知らないことも有るし、
なんせ高価だと思っているので、気軽に触れない。

あ、何楽器屋でも気軽に触っちゃダメか。
どうも、明大前のハナムラ楽器店で気軽に触る癖が付いておる。



40周年記念セール、そして、移転するという。

店主の大西さんの実兄さんが、和楽器の工場を閉業するというのだ。
売れ行きの低迷にコロナ不景気が重なってしまった。
6月くらいには閉じるつもりが、修理が入って8月半ばまでやることになったらしい。

聞けば、日本の和楽器の?三味線の?6割をこの東京和楽器が作っているという。
文句無しの業界一位ではないか。
そんな大手メーカーが立ち行かないのであれば、他は言わずもがなであろう。



新しい楽器が売れないという。
修理だけでは採算はとれない。

古い楽器には、古い部品が使われている。
今では使うことのできない、象牙や犬猫の皮などだ。
それは、プラスチックやナイロンでは代替できない。
音が違うのだ。



バンジョーみたいに皮を張った大きいウクレレを使ってるんですけど、
梅雨どきはまるで鳴らなくなります。
お三味線はどうなんですか?

「湿気ると鳴りは悪くなるわね。
でもね、毎日弾いてるとちゃんと鳴るのよ。
不思議なものね。」

しまった。自分がちゃんと練習していないだけのことだったか。
皮も振動させることで湿気を少し払いのけることができるのだろうか。
人の住まない家がすぐに荒れるように、
物は動かすと生きるのか。

後から来たお客さんが、長唄の三味線の糸をたくさん買っていった。
一番細い糸など、40本くださいと言う。
「一日に2本切れるから。」と言う。
それだけよくお稽古なさっているわけだ。



それにしても、そんなに大きい工場が閉じるとなると、
業界の一大事ですね。
職人さんの生活も有るし、今後の技術の継承という意味でも、大問題ですよね。

「社員18人よ。
文化庁だかどこだかから、お金を出すという話も来ているらしいけど、
断っているって。お金の問題じゃない、って。」

今、今だけお金を投じてこの会社を存続させたとしても、
文化そのものが先細りでは、邦楽と和楽器の世界に未来が無い。

「学校でも洋楽ばっかりじゃない?そりゃダメになるわよね。」



そうだ。
小学校でリコーダーやっとるバヤイか。
篠笛やらせたらどうだ。
近年、盆踊りの櫓の上で太鼓を叩くのはカッコイイこととなっている。
授業で笛をやったら、櫓の上で笛を吹くのがカッコイイことになるんじゃないか。

笛をやれば、音律を学ぶことにもなる。
巷に溢れる洋楽の音律と和音の世界だけが音楽ってわけではない、
そういう耳ができる。

聴く耳ができて、演奏する物が有れば。



小学校教育に和楽器を導入してみませんか。
安くて手に入れやすい楽器を作るべきだ、と考えているメーカーも有る。

子どもを育てれば、何十年後に文化が復興する。
まず、種を播かないと。

土が死んでしまう前に、種を播かないと。
まだ間に合う。
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