犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
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姉と弟と

2017年02月01日 | 毎月馬鹿
いつ言おうか迷っていたのだが、実は、
私は三つ子だ。

誕生日が違うので、三つ子と言えるかどうかわからないが、
同い年なので三つ子と言って良いのかもしれない。

一番先に生まれたのが姉の愛子さんで、私は会ったことが無い。
弟の町蔵ははるばるメキシコへ会いに行ったそうだ。
写真を見ると、まるで中米人といった様子の人で、
でっぷりと太り、燃えるような瞳を持っていた。
子沢山なようで、四十代半ばですでに7人の孫がいる。
子どもや孫に囲まれ、胸に何か小型犬を抱き、笑っていた。
来週2月8日で、48歳になる。

町蔵は体内のたんぱく質合成が通常どおり行われないという先天的な問題を抱えている。
奇病なのか、医師の言うことははっきりしない。
それならそれでと、本人は腹を据えたのか、世界を旅して見て回ったりしている。
おかげで姉にも会って来られたというものだ。

不思議な顔貌の持ち主で、正面から見たら端整な顔立ちなのだが、
横顔を右から見た時と左から見た時の印象がまったく違う。
正面からはアンバランスに見えないのだから、何か彼の表情がそのように見せているのだろう。
時々不意に現れては、各地の土産話をしてくれる。
先日はオーストラリア土産だと言って、胸に「VICTORY」とプリントした色鮮やかなTシャツをくれた。
本当にオーストラリアで買ったものか、本当にオーストラリアへ行ったのか、
本当に各地を旅行しているのか、ちょっと疑わしい気持ちになった。
こちらは、9月28日生まれだ。

三つ子と言っても誕生日も違うし、生まれた時から離れ離れだったので、
私も自分が三つ子だとはずっと知らずにいた。
初めて会った町蔵は、病気のせいでまだ歩くことができずにいた。
車椅子を押してきた人が、「弟さんです。」と言うので、弟なのか、と思った。
ろくに話すこともできない弟を見て、正直言って、面倒なことになったものだと
腹の中で思った。
しかし、一度会ってから数年は連絡が無かったので、
妙な詐欺でもなさそうだしと、安心して忘れかけて生活していた。

するとある時、壮健な青年が颯爽と訪ねて来て、「ひさしぶり」と言うのだ。
以前と会った時とまるで様子が違うので、やっぱり詐欺かと思った。
しかも「この真ん中のが姉さん」と、新たに姉の存在まで言うのだ。
生まれた土地も日付も違うが、きょうだいなんだ、と言う。
いや、きょうだの生まれた土地や日付が違うことはあり得るよ、と思ったが、
よく聞くと同い年だと言う。
両親とも違うんならそれはもうきょうだいとは言わないんだよ、と口を挟んでみたが、
そんなことはない、親も同じだと言って見せられた写真はどう見ても別人だった。
が、町蔵の横顔が別人にも見えることを思うと、写真で別人に見える人でも
同じ私の親なのかもしれない。

そんな次第で、私は三つ子の一人なのです。

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