英和辞典や英英辞典を読むのが好きです。この楽しみを知ったのは高校生の時。当時はまだ電子辞書など誰も持っていなかったので、紙の辞書を机に上げて授業を受けていました(ちなみに今や紙の辞書を机に上げている生徒はほとんどいません!)。当時は学校推薦の辞書というのがあり、私もそれを使っていたのですが、いまいち使いにくかったので、もう1冊、本屋で自分の納得のいく辞書を何日も通った末に買いました。その辞書は今でも大切に持っています。
さて、その時に気づいたのが、同じ語を調べても、辞書によって記述が様々であることです。それが面白くて、辞書を見比べるのが好きになりました。また、辞書によって語法などの情報が豊富で、別の語を調べていたのにたまたま目についた語法を読んで知識を膨らませたものです。その癖が今も抜けず、いろいろな辞書を比べながら、どれがよりわかりやすいか、正確にその語の本質を捉えているか、などを考えています。
最近発売された中でかなりお気に入りにしているのは、時々本ブログでも引用させていただいている『オーレックス英和辞典(第2版)』です。他の辞書にはない、「プラネットボード」というコラムは参考になります。
そして先日、いよいよ『ジーニアス英和辞典』の第5版が発売されました。私は実は、第3版までのジーニアスはあまり好きではありませんでした。「嫌いだった」といっても言い過ぎではないくらい。正直あまり正確とは思えない語法や例文が気になっていたのです。第4版でかなり力を入れて改善したようですが、残念ながら第4版も私のお気に入りの辞書にはなりませんでした。ただ、かなりよくなったな、と生意気にも上から目線で眺めてはいましたし、いろいろな辞書で調べる時に「ジーニアス第4版ではどう書いてあるかな?」と気にする存在にはなりました。
さてタイトルにもなっている『ジーニアス英和辞典(第5版)』についてやっと述べる時がきました。私はこの辞書を今までのジーニアスとは別物だと思っています。それくらい記述がよい意味で替わっています。まるで別の新しい辞書のように進化しています。
どこが優れているのか考える前に、私が辞書を選ぶ際のポイントを挙げておきます。
①記述の正確性
②語法解説の質
①については、辞書にも厳密に検討すると、記述が(現代の語法から見て)事実と解離していることがある、というのを意識する必要があると思います。そもそも、歴史的に見て正しいのか、現代の語法から見て正しいのか、どちらに重きを置くのかが問題なのですが、学習者のための辞書という視点に立つならば、現代の語法から見て明らかに容認されないものは排除されるべきではあるでしょう。また正確性に関しては「どこの国(や地域)の英語なら容認可能なの?」という疑問にも答えたいところです。例えば「want 動名詞」を容認可能とするのは、現代では限られた地域の人たちだという事実があります。最近はコーパスが発達してきたので、この辺のことはかなり正確に記述されるようになってきたようです。
次に②の語法解説について。ここで問題になるのは「誰に対する語法解説か」という視点によって、解説の内容は全く違ったものになる可能性がある、ということです。例えば、『英語教育』(2015年1月号)の柏野(2015)を見ると、その辺の苦労が垣間見れます。詳しくは原典を読んでいただきたいのですが、同じ語法を伝えるのでも「誰に向けられた記述か」や「限られたスペースでどの程度まで書くか」、そして「規範寄りの記述主義」の基本路線の中で容認性の揺れのある語法のとりあえずの「結論」は何なのか(この結論は読者が英語学習者である、という事実を踏まえての「結論」であることにも留意されたい)という難しさ、とでも要約できるでしょうか。この辺のバランスは各辞書によって特色があり、それが辞書を読むことのおもしろさでもあります。
つまるところ、私は教員として(あくまでも教員として、です)、その辞書が有益かどうかを判断は、上記の点(記述の正確性と語法解説の質)が生徒と教員の双方にとって有益であることだと思います。理想としてはこの2つが一致していることが望ましいのですが、実際には異なることが多いと思います。生徒、特に高校生にとっては知らない語句を調べて、簡単な解説や現代英語で用いられている暗記すべき例文、できればコロケーションの情報があればよいと思います。一方教員にとっては、もう少し踏み込んだところまで知りたい(から辞書をひく)わけです(例えば、日本語では同じ語句のニュアンスの違いはあるのか?みたいなこと)。ジーニアスは第3版までは、正直無駄に多い語法解説と怪しい例文の数々に若干生徒も教員もうんざりしたものですが、第4版からの改革は第5版でさらに大きな進化を遂げたといえるのではないでしょうか。
さて、その時に気づいたのが、同じ語を調べても、辞書によって記述が様々であることです。それが面白くて、辞書を見比べるのが好きになりました。また、辞書によって語法などの情報が豊富で、別の語を調べていたのにたまたま目についた語法を読んで知識を膨らませたものです。その癖が今も抜けず、いろいろな辞書を比べながら、どれがよりわかりやすいか、正確にその語の本質を捉えているか、などを考えています。
最近発売された中でかなりお気に入りにしているのは、時々本ブログでも引用させていただいている『オーレックス英和辞典(第2版)』です。他の辞書にはない、「プラネットボード」というコラムは参考になります。
そして先日、いよいよ『ジーニアス英和辞典』の第5版が発売されました。私は実は、第3版までのジーニアスはあまり好きではありませんでした。「嫌いだった」といっても言い過ぎではないくらい。正直あまり正確とは思えない語法や例文が気になっていたのです。第4版でかなり力を入れて改善したようですが、残念ながら第4版も私のお気に入りの辞書にはなりませんでした。ただ、かなりよくなったな、と生意気にも上から目線で眺めてはいましたし、いろいろな辞書で調べる時に「ジーニアス第4版ではどう書いてあるかな?」と気にする存在にはなりました。
さてタイトルにもなっている『ジーニアス英和辞典(第5版)』についてやっと述べる時がきました。私はこの辞書を今までのジーニアスとは別物だと思っています。それくらい記述がよい意味で替わっています。まるで別の新しい辞書のように進化しています。
どこが優れているのか考える前に、私が辞書を選ぶ際のポイントを挙げておきます。
①記述の正確性
②語法解説の質
①については、辞書にも厳密に検討すると、記述が(現代の語法から見て)事実と解離していることがある、というのを意識する必要があると思います。そもそも、歴史的に見て正しいのか、現代の語法から見て正しいのか、どちらに重きを置くのかが問題なのですが、学習者のための辞書という視点に立つならば、現代の語法から見て明らかに容認されないものは排除されるべきではあるでしょう。また正確性に関しては「どこの国(や地域)の英語なら容認可能なの?」という疑問にも答えたいところです。例えば「want 動名詞」を容認可能とするのは、現代では限られた地域の人たちだという事実があります。最近はコーパスが発達してきたので、この辺のことはかなり正確に記述されるようになってきたようです。
次に②の語法解説について。ここで問題になるのは「誰に対する語法解説か」という視点によって、解説の内容は全く違ったものになる可能性がある、ということです。例えば、『英語教育』(2015年1月号)の柏野(2015)を見ると、その辺の苦労が垣間見れます。詳しくは原典を読んでいただきたいのですが、同じ語法を伝えるのでも「誰に向けられた記述か」や「限られたスペースでどの程度まで書くか」、そして「規範寄りの記述主義」の基本路線の中で容認性の揺れのある語法のとりあえずの「結論」は何なのか(この結論は読者が英語学習者である、という事実を踏まえての「結論」であることにも留意されたい)という難しさ、とでも要約できるでしょうか。この辺のバランスは各辞書によって特色があり、それが辞書を読むことのおもしろさでもあります。
つまるところ、私は教員として(あくまでも教員として、です)、その辞書が有益かどうかを判断は、上記の点(記述の正確性と語法解説の質)が生徒と教員の双方にとって有益であることだと思います。理想としてはこの2つが一致していることが望ましいのですが、実際には異なることが多いと思います。生徒、特に高校生にとっては知らない語句を調べて、簡単な解説や現代英語で用いられている暗記すべき例文、できればコロケーションの情報があればよいと思います。一方教員にとっては、もう少し踏み込んだところまで知りたい(から辞書をひく)わけです(例えば、日本語では同じ語句のニュアンスの違いはあるのか?みたいなこと)。ジーニアスは第3版までは、正直無駄に多い語法解説と怪しい例文の数々に若干生徒も教員もうんざりしたものですが、第4版からの改革は第5版でさらに大きな進化を遂げたといえるのではないでしょうか。
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