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(この世の果てまで)

紙の月

2015年01月23日 | Movie
 映画「紙の月」を鑑賞。銀行の契約社員として働く主婦・梅澤梨花(宮沢りえ)は、仕事に対する姿勢や成果が評価され、上司や顧客から信頼される一方、自分に関心を持たない夫に虚しさを抱いていた。そんな中、大口顧客の孫である大学生・平林光太(池松壮亮)と出会った梨花は光太と不倫関係に陥り、やがて彼のために顧客の預金を横領し始める・・・という内容。原作は未読だけど、この映画は結構楽しめました。ほら、人の不幸は蜜の味って昔からよく言うじゃない(笑)。実際の事件を知りたい方は、「滋賀銀行9億円横領事件」「足利銀行詐欺横領事件」「三和銀行オンライン詐欺事件」などでググってみてほしい。本作の主人公・梨花も、過去の例に漏れず深い闇へと堕ちていきます。徐々に金銭感覚が麻痺し始め、痴呆気味の老女の預金を騙し取ったり、自宅で預金証書を偽造するシーンには、常人には理解できない狂気というか、怖さすら感じられました。
 しかし、この映画が実際の事件と異なるのは、男性が女性に対して金銭を要求してないということ。よくある「男の心を繋ぎ止めるために金を渡す」ケースとは、明らかに異なります。自分でも幾らなのか分からなくなるほどの預金を横領し続け、湯水のように使う梨花の歪んだ倫理観の原点は、映画の後半で回想シーンとして描かれているけど、これだけでは横領に走った心の闇の出発点としてはやや弱い上に、他人の金で享楽に耽る心理と少女時代のエピソードがさほどリンクしていないように思えて、説得力に欠ける気がします。そういう意味でも、これだけのことをしでかしてまで梨花が欲しかった幸せとは、そして追い求めた自由とは何だったのかをもう少し丁寧に描くシーンが必要だったのではないか、と感じました。
 ねすさんの採点は5点満点で3.5点。主人公の脇を固めるのは、同僚の相川恵子(大島優子)と隅より子(小林聡美)。この二人の対比が、主人公の内面に潜む善悪の心を醸し出して、いい味を出してるのが良いね。特に小林聡美は、主演の宮沢りえを食わんばかりの名演技で、個人的に拍手を送りたいです。


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