プロコフィエフの日本滞在日記

1918年、ロシアの若き天才作曲家が、大正期のニッポンで過ごした日々

東京公演初日

1918-07-06 | 日本滞在記
1918年7月6日(旧暦6月23日)

 朝はまあまあの気分で、少々用心してコンサートに出かけた。実務をこなすように淡々と弾いた。聴衆はとても少なかった(土曜の午後1時15分、しかも暑い)が、なんとか売れてよかった。客の大半が日本人で、とても礼儀正しく聞いていた。拍手は少なく、例外は技巧的な曲だけ。不協和音にはあまり当惑していなかった。というのも、まったく異質な音に慣れている日本人にとって、我々の協和音と不協和音の違いなどあまり感じないのだろう。


〔参考/公演パンフレットより〕

大正七年七月六日(土曜日)七日(日曜日)午後一時十五分開會

世界的大作曲家大洋琴家
セルギー・プロコフィエフ氏
ピアノ大演奏會

帝国劇場

入場料
特等=参円
一等=弐円五拾銭
二等=弐円
三等=壱円
四等=五拾銭

演奏曲目

第一日〔七月六日〕

一、第一ソナタ       プロコフィエフ

二、前奏曲         プロコフィエフ
  エチュード第四
  ガヴォット
  トッカタ

三、第三バラード      ショパン

四、エチュード三曲     ショパン

五、第三ソナタ       プロコフィエフ

六、批難          プロコフィエフ
  物語
  絶望
  悪魔的の暗示