プロコフィエフの日本滞在日記

1918年、ロシアの若き天才作曲家が、大正期のニッポンで過ごした日々

『彷徨える塔』

2005-11-21 | プロコフィエフ短編
ただ今、プロコフィエフが日本滞在中に書いた短編小説のひとつ『彷徨える塔』を翻訳しています。以前に訳した『ひきがえる』に比べると、まだわかりやすいお話なのですが、意味深長な言葉の羅列で、これはこれでなかなかに手ごわいしろものです。

主人公は、バビロンの遺跡発掘にのぞむ天才学者マルセル。1918年7月29日付けの日記には、バビロンについて書かれた本を再読して刺激を受けたことが記され、書きかけだったこの小説を、離日前に一気に書き上げたもようです。もともとこの小説は、シベリア特急の車中で書き始めており、完成までに約3ヵ月を要したことになります。いわば、プロコフィエフの日本滞在とともにあったこの作品。日記と併せて読むと、興味深いものがあります。