近鉄・オリックス合併に考える

 ポルトガル時間でユーロぼけの頭に、目覚まし代わりのサプライズニュースが飛び込んできました。

近鉄とオリックスが球団合併に向け協議 朝日新聞

 プロ野球パ・リーグ、大阪近鉄バファローズの親会社である近畿日本鉄道の山口昌紀社長は13日、大阪市内のホテルで記者会見し、同じパ・リーグで神戸市に本拠を置くオリックス・ブルーウェーブと球団合併に向けて協議していることを明らかにした。

 近鉄はどうしてまた、話が前進しないうちに公表するのだろう? なんて疑問はあるものの、そんなことはともかく、プロ野球界が重大な転換期を迎えたことは間違いありません。

 プロスポーツチームの合併で思い出すのは、98年末の横浜フリューゲルスと横浜マリノスの合併。この際の経験を振り返り、川淵会長(当時Jリーグチェアマン)は「予想以上の大騒ぎになって驚いた」と後日インタビューで語り、その影響から今はクラブの経営危機に敏感になっているといいます。
 今回の合併でも、話が進めば古くからの近鉄ファン、阪急時代以来のオリックスファンなどが悲しい想いをするのは必至。ここまで話が進んでいる以上、年間40億円の赤字を抱えるという近鉄が合併話を破談にして球団運営を続けていくことはないでしょう。

 今後は、オーナー会議(渡辺恒雄さんが議長)を中心に、球界再編に向けた動きが加速していくことでしょう。11球団という奇数チーム数ではリーグ運営は難しいため、さらなる合併、そして1リーグ化へと話が充分に予想されます。あるいはパシフィクリーグを5球団で強引に運営していくのか? いずれにしても、ファン不在、経営優先の改革が行われることは間違いありません。

 たしかにプロ野球球団は企業体であるために、営利を求めて経営されることは問題ありません。しかし、一方でプロ野球やプロサッカーは社会的存在意義が高く、また一般市民のエモーションに依存して運営される面が極めて強いため、単純な企業活動とは運営基準が異なってしかるべき存在でもあります。

 今後、プロ野球界が考えていかなければならないことは、いかにファンの悲しみ、戸惑いを小さくして、今後も継続して日本にプロ野球文化を繁栄させていくかということ。オーナー会議にのみ依存して、コミッショナーがイニシアティブを失うようでは、ファン不在、金儲け重視のベクトルにばかり事態が進み、プロ野球からファンが急激に離れていくことも考えられます。

 そもそも近鉄やオリックスをはじめとするパシフィックリーグ各球団が経営難に陥っているのも、巨人を中心としたセントラルリーグが既得権益に執着し、球界全体の発展を考えてこなかったことが原因の一つとなっています。
 
 今後望ましい流れは、完全ウェーバーやサラリーキャップ制、テレビ放送権料の公正な分配、セ・パ交流戦の実施など、球界全体が富(と負)を分かち合う仕組みを構築し、新たな支援主を見つけ、12球団体制を維持していくこと。さらには、メジャーリーグや韓国・台湾各国リーグとの連携を模索する時期なのかも知れません。

 ファンに痛みを押しつけて経営効率化ばかりを押し進めていく流れは、必ず当該球団以外のファンのプロ野球離れも加速します。渡辺オーナー会議議長には、自球団だけではなく、大局に立ち、ファンの想いを汲んだ判断を強く望みます。
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