<陽>と<陰>

 陸上の日本選手権、女子10000メートル。弘山晴美がA標準記録を突破して3位入賞。このまま代表に選ばれれば、あれほどマラソンに情熱を傾けた彼女が、10000メートルでシドニー、アテネと連続出場となり、一方の女子マラソンには連続代表なしという、何とも皮肉な巡り合わせ。

 …なんていうことにも興味がわきますが、それよりも目を引くのが福士加代子3連覇

 世界的な層の厚さを誇る日本女子長距離界において、3年間トップを守り続けるというのは並大抵のことではないはず。記録を出す走力、大ケガをしない体はもちろん、精神においてもくじけない<強さ>が求められることでしょう。

 彼女の場合、精神の強さを感じさせてくれるのは何と言っても底抜けの明るさ。カメラの前では笑顔、マイクを向けられれば冗談が口をついて出る。レース中の真剣な表情を見れば見るほど、そのギャップにいつも驚かされる。他の競技に似たタイプを探せば、ジュビロの中山でしょうか? サービス精神にあふれつつも、競技に対しては真摯であり、そして結果を出し続ける。<陽>のエネルギーを感じさせてくれるアスリート、そんな表現が似合うランナーですね。

 こんな頼もしいキャラクターがチームにいれば、組織は活性化し、一人だけではなくチーム全体の成績も向上するもの。ビジネスでもそうではないでしょうか? 「黙って俺についてこい!」、そんな上司も頼もしいけれど、onとoffの使い分けが巧みな上司や同僚がいた方が、チームの雰囲気、そして成績が上がるはず。メディアから伝わる福士加代子像は、まさにそんなタイプ。彼女の活躍が、アテネの日本陸上チームを引っ張ってくれそうな、そんな期待が湧いてきます。

 一方、情熱にあふれていても、それが<負>の衣をまとってしまえば、チームの空気はたちまち曇ってしまいます。クライアントのグチばかりの奴、自分の失敗をいつまでも引きずる後輩、こんな人が隣にいては、なかなか良い仕事はできません。

 ダイエーの杉内の例も、まさにそんなタイプ。彼がケガをした試合、その翌日、ダイエーは二ケタ失点で連敗。試合を壊した悔しさがあったのでしょうが、怒りにまかせてベンチを殴るとはまさに愚行。ここからチームをどう立て直すのか? 先発のコマが1つ減った以上に、<負>のエネルギーの払拭の方がマネージャーとしては難しいのでは。昨年のチャンピオンコーチ、王監督の手腕に注目です。
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