ポルトガルの空の下で

ポルトガルの町や生活を写真とともに綴ります。また、日本恋しさに、子ども恋しさに思い出もエッセイに綴っています。

あの頃、ビアハウス:思い出のグリーングラス【2】

2018-03-20 13:23:56 | あの頃、ビアハウス
2018念3月20日

高校卒業後、39年振りの、わたしとしては初めての一期会出席だ。一期会というのは、わたしたちが「弘前南高校の第一回生」というのから来る。新設公立高校であったのだ。
    
「39年」と一口に言うけれど、それぞれが重ねた幾星霜。みんなどんな風になってるかな?わたしはどんな風に変わったのかな?少し恐いような ドギマギする心を抱きながら、台風が近づきつつある弘前の夕方の雨降る町を、タクシーで会場へと向かう。

少し遅れて到着し、古い和式の階段を上って階上へ向かうわたしの耳に校歌が聞こえてきた。飛び込んできた。

♪北の涯 垂氷は消えて
  さみどりの 千草萌え出づ
  見よ 生命匂ふ 若人の群
           
初代小野正文校長作詞、芥川也寸志氏作曲の我が母校校歌だ。
    
「あ!ソデさん!いらっしゃい。おひさしぶり!」
「ようこそ遠方から。今日はすみませんが、乾杯の音頭、とってください。」
「ええ!わ、わたしが?乾杯の音頭て・・・だって準備してまへんよぉ^^;」
「毎回、一番遠いところから出席する人に、これをお願いすることになってるのよ^^」
    
確かにポルトガルから出かけたわたしは、一番の遠方来訪者ではあるけど、突然はひどいよ。

ひとしきり当時の学校長、幹事の挨拶が終わったところで、ついに回ってきました、乾杯の音頭とりのお役目が。慌てふためいて立ち上がり、「お役目光栄」の一言を加えて、「我が母校、我が同窓生たちに乾杯!」ということで、無事になんとかお役目を果たしたと思いきや・・・少し後で、何気なく自分のいるテーブルの後ろふと目を振り返ると、
「あ、あれ?」
かつての開校時代の諸先生方がズラリと座っておられるではないか!!
「し、しまった!」
   
諸先生方のテーブルに尻をば向けて、乾杯の音頭をとってしまった!ご~~~ん、と頭の中で鐘が鳴ります。いえね、度つきサングラスをはずしていたもので、よく見えなかったのでありますよ。

しかし、そんなことを気にしてかしないでか、かつての担任のS先生、
「おおお!ソデ、ささ、こっちへこっちへ」
「出席者名簿を見たら、なんと君の名前があるではないの。これは逃すわけには行かないと思って、今日はがんばって来たぞ」

世界史を教わったS先生、少しお歳は召したが昔と少しも変わらず。

少し偏屈にツッパッたように生きていたであろうあの頃のわたし、そして、その後の卒業名簿ではずっと住居不明のままだったのを、長い間気にかけていただいたようでした。S先生、もうどうぞご安心を。紆余曲折、人生いろいろありましたが、半世紀かけて、生きることがなんとなく楽しいと思えるようになりました。

この会の3時間は結局「なつかしや~」の諸先生方や同窓生たちとの挨拶でほとんど飲まず食わずでした。二次会会場にあたる同窓生のひとりが持つ「あすなろ」なるスナックへほぼ全員が繰り出し、カウンターの中も外も満員^^みな、「勝手知ったる台所」で、すき放題にやっておりました。

いいなぁ、こんな雰囲気。
わたしは一匹狼のごとく、密かにツッパリ、孤独を愛していつも本ばかり読んで、同窓生たちと交わることが少なかったのだが、長い年月はそんな角も取り去り、心も体も随分と丸くしてくれました。
    
まるで学生時代のあの頃に帰ったような一期生たちの団結力を目の辺りにしながら、翌朝東京に向かう予定ゆえ、みなに別れを惜しんでスナックを後にしたのでした。

実は、この時のことで、白状しなければならない事があり。

「思い出のグリーングラス」はまだ続きます。

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