ポルトガルの空の下で

ポルトガルの町や生活を写真とともに綴ります。また、日本恋しさに、子ども恋しさに思い出もエッセイに綴っています。

リスボン大地震に耐えたアルファマ地区

2017-11-02 14:11:27 | リスボン
2017年11月2日

リスボンのアルファマを歩いたのは2年前のことで初めでしたが、この地区に入るのは二度目です。


今は亡き母が、どうしても「娘が嫁いで住んでいる国を見たい」と、言い出し、わたしたちが3週間ほどの日本滞在を終え、ポルトガルに帰るのに合わせて一緒にやってきた30年程も前に、親孝行の真似事をと、リスボンまで家族旅行をしたときに訪れたのが最初でした。

ポルトガル滞在歴10年足らずのあの頃は、夫がどこへ連れて行ってくれても「この国ってどんな辺鄙な田舎でもサッカー場と教会だけはあるのね。教会なんてどこも同じじゃない。フン」と、時々憎まれ口をきいていたのでした^^;そうまで言うほどにこの国に愛着心の「あ」もなく、分かっちゃいなかったのですね、なぁんにも。

来春にはポ国滞在40年のわたし、10年滞在のあの頃は青二才の口だったな、と思うこの頃。大概のことを自然体で見られるようになりました。この国の欠点にばかり目が行く間は、周囲がよく見えていないのだと達観したわけであります。


話を戻しまして、最初のときは、うかつにも車でアルファマ地区に入るという、わたしも夫も田舎者ではありました。狭い道が入り乱れているアルファマです、当時はセコハンの大き目のフォード車に乗っていたこともあり、行き止まりの道に迷い込み焦ってそそくさと出てきたのですから見る余裕などなし。

車で乗り入れたのには、アルファマは今でもそうですがバーなどが多く危険な区域だという噂が当時は聞かれ、歩くのを避けたのでした。今なら日中は問題がないと思われます。



1755年11月1日のリスボン大地震はマグネチュード8.5から9度、リスボン南のサン・ヴィセント岬の西南西200キロの大西洋海底が震源と推定されています。この時の死者は津波も合わせて10000とも90000とも言われていますが、多くの宮殿を含む建物の85パーセントは破壊されリスボンは壊滅しました。当時のリスボンの人口25万人のうち、2万人がこの地震で犠牲になったと言われます。



11月1日は「聖人の日」で、習慣として前夜から多くの家や教会ではロウソクの灯が灯されていました。また、この日は非常に寒い日だったので、各家庭では火を炊いて暖をとる家が多かったのも大きな火災の原因になりました。

テージュ川が流れ込み、海に面しているリスボンは同時に津波にも襲われました。地面が裂け、その地割れが水を、風、蒸気を呼び、火災も3日間続き、リスボンをほぼ完全に崩壊したのです。宮殿を始め、絵画、古書など失われた国家財産は膨大なものだったと言われます。この時、かろうじて大きな被害を免れたのが、狭い路地の迷路が密集しているリスボンの旧市街、アルファマ地区です。



アルファマも目の前がテージュ川なのに、なぜ被害が少なかったのか。今回アルファマを歩いて後、近くのアポローニア駅まで行く道すがら、振り返ってみて気がつきました。アルファマは見上げるような小高い丘にあるのです。それと、調べてみてわかったことですが、この丘に建つサン・ジョルジュ城、大寺院、そしてアルファマ区域に巡らされた中世時代の壁の遺跡(Muralhas de Lisboa)も津波から守ることになったのかもしれません。



Alfamaとはアラブ語のAl Hamma, Hot spring熱い泉、Bath浴場という説と、Alhamme、口という説が
あります。いずれにしても、アラブ人が支配していた時代にはアルファマは街の中心であったのが、キリスト教徒のレコンキスタ国土奪回戦争でやがて、リスボンの中心はバイシャ(baixa低地)へ移り、ダウンタウンになります。


ファドが聴けるレストランや小さなバーが多い現在のアルファマ。


Jose Malhoa(ジュゼ・マリョア)による絵「Fado」はよく知られる。


夫と迷路を歩き回り、アルファマ旧市街を出ようかという時に出会ったセグウエイツーリストグループ。


う~ん、歩かなくて済む楽な手ではあるが、これじゃぁ、石段は上れないよ?これに乗ってたら写真撮るのも大変だぞ・・・操作違いで突然バックしてひっくり返ったりしてね^^;わたし向きでは、まず、ないな。

一つことに夢中になると疲れも忘れてしまうタチのわたし、アルファマはもっと歩きたかったのだが、「もう5時間近くも歩いてるよ(リスボン市内を)」と夫が音をあげました。どうだ、まいったか。お主の妻の健脚ぶりに。わっはっは。

観光は歩くに限るのである。

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2 コメント

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けいこさん (spacesis)
2017-11-07 18:58:55
いつもコメントをありがとうございます。

楽しみの秋は残念でしたが、きっと久しぶりにお友だちにも会えたのではないでしょうか^^
家族、友人に会えるのがやはり一番の楽しみで毎年わたしも帰るようにしています。

次回は是非、ポルトガルの南の方へもどうぞ!
リスボン以南は北部とは違った異国情緒があります。

ファドはご一緒したカフェ「Guarany」で隔週ごとの週末にコーヒーを飲みながら聞けると思います。Guaranyのサイトで確認できます。

わたしたちはあそこで一度ファドでなくラテン音楽を楽しみました^^
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Unknown (けいこ)
2017-11-06 03:39:51
こんばんは。

10月末に日本から帰ってきました。
今年の日本は異常気象で、前半は夏のように暑く 後半は雨ばかりの天気で、せっかくの秋を楽しみにしてた私にとっては ちょっと残念でした。

私は まだ リスボンに行ったことがないんですよ。
ぜひ行って、アルファマ地区を散歩したいです。
それに 生のファドを聞きたいと思ってます。
ポルトでファドが聞けるレストランを探したんですが、日にちが合わずに行けなかったんですよ。
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