ダブリンのとある1日(1904年6月16日)の出来事を
1巻の物語として書き記した小説。
20世紀を代表する小説といわれる。
古代ギリシアの神話、ホメロスの『オデュッセイア』のパロディ的内容となっていて、
原典のイメージを現代風にアレンジして書かれている。
読んでいて、話の切り替わりが早いし、
一つの挿話に拘りもなく、淡々とお話は進んでいく。
意識の連想ゲーム。わたしはこの本・作者の意図しているところをそう読んだ。
話の筋があって、主人公達の語りがあって、それを聞いている
まったく関係のない第3者の視点、事情が唐突に入ってきて、
いきなり話の力点が変る。
そのまま進むと思っていたら、また別の第3者の思惑がはいってくる。
そしていつのまにか話の本筋に戻っている。
一つのまとまったお話には絶対ならない。
でも、これが意識そのものの動きで自然だと思うし、
それを小説の著述としてかけるジョイスは抜けていると思う。
*「」は引用。
「前掛けをした耳の遠い園丁がマシュー・アーノルドそっくりの顔をして、薄暗がりの芝生に芝刈機をかけている。踊り跳ねるこまかな草の茎を目を細めてみつめながら。
われら自身に……新しい異教精神……<<オムファロス>>。」
主人公とその友人が浜辺の塔で口論をしている最中に、
こんな情景がはさまれる。
とても読みにくいけど、これは論理的な説明的文章でなくて、
芸術作品として捕らえないと、最後まで読めそうにないかも。
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