木蓮の「7つの言葉」を探す日記

小説、PSO&PSU、アニメ(ぼく地球/エスカフローネ)、UVERworld、IT関連を木蓮の日記形式で書いています。

始まりはいつも墓場から。

2011-12-31 21:39:18 | 創作
朝、目覚めると見知らぬ霊園にいた。
眠る前のことは思い出せない。肢体はごくごく健康で、心も軽い。
こんな朝はめったにないかもしれない。
ようやく回りを眺める余裕ができると、私は木屑が多少むき出しているが、
綺麗に掃除された木製のベンチに寝そべっていた。
起き上がると背中の方から、足音が近づいてくる。
足音というものは、持ち主の性格が現れるものだ。
この人は優しい人だ。友達になれそう。
しかし、急に足音の質が変る。重力の重みを感じる音。
もう後ろからナイフを刺されて死んでしまってもいい。
そうも思った。私はじっと動くまいと決めた。
ひらひらと木の葉が舞い降りるような、幽かな言葉が聞こえたような気がした。
なんと言ったのかはっきり分からない。
―――この人は霊だ。
霊の存在は、過去からのみ発生するものではないと私は思う。
すでに亡くなった人が霊魂となって現れるのが私たちが識別できる形だと思うけど、
(それはその霊魂を察知する側の私たちがなんらかの愛着を持って接するからだろう)
未来の霊、それは何も未来で亡くなった霊に限らず、自発的に霊的エネルギーを
発する術を持っている人が送ってきた思念だということもありえると思う。
私は感覚を研いで聞きなおそうとする。
(あなたの愛する人をもっと大事にしなさい。)
精神がプラズマ状態と化して、外部的信号を言語に置き換えたような
妙な感触が残る言葉。人が自発的に言葉として思いを発するのと違う作用が
働いているように思った。でもこれがこの霊の伝えたいことなのか。
急に感覚中枢が180度切り替わったように、興味の対象は私の眼前の光景に写る。
興味の対象が変っても何の違和感もない。これはたぶん夢だな。
古い時計台。都市街のステーションで待ち合わせ場所に使われるような
見晴らしのいい時計。時間を示す文字は数字でもアルファベットでもなく、
十二支の紋様が浮かんでいる。でも、時を指し示す針が何もない。
私が思った時を、この時計台は刻み始める。
1,2,3・・・数え始める。次に突然、百万を数えたいという欲求に駆られる。
その途端。時計台は重力に負けたボール球が床に着いたような低い、低い金属の音色が聞こえた。
そうして、私は目が覚めた。全く疲労感もないし、肢体はごくごく健康。心も軽い。
目覚まし時計よりも先に目覚めてしまったらしい。
服を着て、朝食を取った後は、お仕事をして、帰宅後、また眠る。

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