地元の高社(たかもり)神社の秋の例大祭があった。
区の役員なので灯篭を担いで参加した。
何分区として氏子に加えてもらったのは数十年前。
何百年と続く他の区に比べれば、全くの新参者だ。
他の区のように獅子舞もなければ笛太鼓もない。
四時間余り、他の区の獅子舞をボーっと見ているだけ。
子どもの頃のように屋台にトキメクわけでもない。
その上寒いことこの上ない。
辛い苦行のような時間。
まったく自分たちのお祭りの気分になれない。
子どもの頃、境内で夜通しチャンバラ映画をやっていたものだ。
まだ家庭にテレビなどない時代のことだ。
同級生の女の子が私服で、その瞳にアセチレンの炎を映しているのを見た。学校で見るのとは別の人のようだった。
今見ればチャチなオモチャだけれど、当時は屋台を見て歩くだけで楽しかった。
あの時代はもう帰らない。