蕎麦遺産

未来の世代に引き継ぐべき「蕎麦」に関するあらゆる情報を調査し、「蕎麦遺産」として登録しています。

日本橋 やぶ久(中央区日本橋)の「もり」「玉子とじ」

2008年12月31日 | 蕎麦屋(都内)
【平成20年12月31日 調査・登録】
 本日は大晦日、本年最後の日です。大晦日といえば、そう「年越しそば」ですね。
 そこで本日は、明治35(1902)年創業の老舗蕎麦屋「日本橋 やぶ久」で「年越しそば」をいただくことにしました。
 こちらの店名は、ここで営業していた「やぶ」を初代久次郎氏が引き継ぎ、久次郎氏の「久」の字をとり、屋号を「やぶ久」としたことに由来するそうです。
 また、店の案内によれば、「年越しそば」には諸説あるものの、金銀細工師が散らかった金粉を集めるのにそば粉を使うため、金を集めるという縁起で始まったという説が有力だそうです。そば粉は水に溶けるため、そば粉を水で練り金粉に押し付けて金粉を集め、そして水につけると金粉だけが底に沈むので、そば粉が使われたそうです。


 正月飾りが施された看板です。


 こちらの大旦那さんはとても気さくでお話し好きのようです。傍に寄って来られ、「お味はいかがですか?蕎麦は、唯一、頭より高く持ち上げていただく食べ物です。また、音を立てていただいても失礼にならない食べ物です。当店は化学調味料を一切使っていません。その代わりに鰹節を沢山使っています。」とお話ししてくれました。
 さあ、「もり」です。北海道産最高級そば粉に福井産粗挽き粉がブレンドされて打たれています。今でも昔ながらの足踏みでコシを出しているそうです。香りもノド越しも素晴らしく、また、そば汁も秀逸の出来です



 「玉子とじ」も汁が秀逸です。


 仕上げは勿論「そば湯」です。「ごちそうさま」で店をあとにしました。
 大旦那さんだけでなく、店員さんも感じが良く、とても美味しくお蕎麦をいただけました。


★日本橋 やぶ久
  所在:東京都中央区日本橋2-1-19
  電話:03(3271)0829
  品代:もり650円、玉子とじ892円

大川や(千代田区九段南)の「せいろ」「本日の日替り膳」

2008年12月30日 | 蕎麦屋(都内)
【平成20年12月某日 調査・登録】
 こちらの店「大川や」は、平成13(2001)年創業の新進気鋭の蕎麦屋です。



 お店の口上によれば、「せいろ」は、茨城産常陸秋そばを収穫後ただちに真空・低温保存し、その日使う分だけを石臼で自家製粉しているとのことです。そうして作られたそば粉は、つなぎを使わず水だけでも十分につながるとのことです。
 ということで、こちらの「せいろ」は十割ですが、ボソボソせず、実にノド越しが良くまた香りが豊かです



 昼時は「本日の日替り膳」があります。季節の味ごはん・野菜小鉢・そば等がセットになっています。
 本日は、「じゃこと生海苔混ぜ御飯」「法蓮草と帆立のおひたし」「天ぷら三点」「十割せいろ又はかけ」です。これだけのものがセットになって、1,000円とはとてもCPに優れていると思います。


 そばは「かけ」を選びました。



 仕上げは勿論「そば湯」です。「ごちそうさま」で店をあとにしました。


★大川や
  所在:東京都千代田区九段南3-4-2ハイツ九段坂1階
  電話:03(3234)8887
  品代:せいろ600円、本日の日替り1,000円

手打古式蕎麦(文京区湯島)の「古式もりそば」「山揚げそば」

2008年12月29日 | 蕎麦屋(都内)
【平成20年12月某日 調査・登録】
 こちらの店「手打古式蕎麦」は、その名のとおり、古式の手打ちそばの店です。なにしろ、蕎麦の黒さにまず驚きます



 お店の口上によれば、「そばは麺類でただひとつ香りを大切にする。香りは甘皮の部分に含まれ、甘皮を混ぜることで、そばの色は黒くなる。甘皮が含まれた黒いそばが本物である。甘皮が入ったそばは技術的に難しい。甘皮が入る事により粗悪品はモソモソボキボキして食感が悪くなる。全国で美味しく作れる人はごく僅かである。」とのです。また、こちら店のそばは製法特許を取得しているそうです。
 確かに、「古式もりそば」は、甘皮まで入っているにもかかわらず、ボソボソしておらず、ノド越し良く仕上がっています。また、こちらの「古式もりそば」は、なんと普通の汁でなく、大根の絞り汁と生醤油でいただきます。蕎麦猪口に白く濁った汁が入っているのをご覧いただけると思います。これが意外とこの古式そばに合います。なお、葱と山葵と鰹節が付いてきます。



 そして、こちらが「山揚げそば」です。真ん中にポッカリ浮かぶのは揚げられたおろし芋です。中は半生でとろろそばをいただいている感じです。かなりのボリュームでお腹をいっぱいにすることができます。そして、その下には例の古式そばが入っています。




 仕上げは勿論「そば湯」です。なぜかこちらの店は「そば湯」が湯呑みで出てきます。かなり熱くてしかも普通の湯呑みであるため、蕎麦猪口に溢さずに移すのが結構難しいです。「そば湯」をいただいて「ごちそうさま」で店をあとにしました。


★手打古式蕎麦
  所在:東京都文京区湯島3-20-5
  電話:03(3836)5229
  品代:古式もりそ990円、山揚げそば1,260円

利久庵(中央区日本橋室町)の「もり」「きつね」

2008年12月27日 | 蕎麦屋(都内)
【平成20年12月某日 調査・登録】
 こちらの店「利久庵」は、昭和27(1952)年に創業した更科蕎麦の店です。



 蕎麦は、北海道幌加内産の実の真ん中の御前粉と呼ばれる部分のみを使って打たれる更科です。上品な白さが光ります。また、汁には3年寝かせた鰹節が使われています。「もり」の汁は甘めですが出汁がよく効き、味に奥行きがあります。



 「きつね」は「揚げ」がタップリ入っています。




 仕上げは勿論「そば湯」です。「ごちそうさま」で店をあとにしました。


★利休庵
  所在:東京都中央区日本橋室町1-12-16
  電話:03(3241)4006
  品代:もり600円、きつね830円

そば切り源四郎(千代田区神田神保町)の「そば切り(板そば)」「きじ汁」「山形名物いも煮」等

2008年12月27日 | 蕎麦屋(都内)
【平成20年12月某日 調査・登録】
 こちらの店「そば切り源四郎」の本家は山形県大石田町にあり、蕎麦は大石田町産の玄そばを店頭の蕎麦うち処で石臼挽きして打たれています。


 まずは肴です。左は「自家製ぬか漬け」と「山形青菜漬」、右は「おつまみ盛合せ」です。


 左は「玉こんにゃく」、右は「厚揚げ」です。


 左は「板わさと海苔」、右は「きじスモーク」です。


 これだけ美味しい肴が揃えば、当然、山形産の銘酒が合いますね。左は「初孫(金印)」、右は「出羽桜」です。


 こちらは「山形名物 いも煮」です。昔懐かしく、ほのぼのとした味です。


 そして、いよいよ本命の「そば切り(板そば)大盛」です。見た目どおり、コシが強く、食感も荒々しく、豪快な田舎そば風です。蕎麦本来の風味を堪能できる逸品です。




 「きじ汁」の雉は静岡県産で、意外とサッパリした味で蕎麦との相性は抜群です。


 仕上げは勿論「そば湯」です。「ごちそうさま」で店をあとにしました。


★そば切り源四郎
  所在:東京都千代田区神田神保町2-10-8
  電話:03(3556)1400
  品代:自家製ぬか漬け300円、山形青菜漬400円、おつまみ盛合せ500円、玉こんにゃく400円、厚揚げ500円、
     板わさと海苔300円、きじスモーク500円、初孫(金印)500円、出羽桜700円、山形名物いも煮600円、
     そば切り(板そば)大盛1,100円、きじ汁300円

かんだやぶそば(千代田区神田淡路町)の「せいろうそば」「かきそば」「生そばばんじゅう」等

2008年12月20日 | 蕎麦屋(都内)
【平成20年12月某日 調査・登録】
 こちらの店「かんだやぶそば」は、明治13(1880)年創業の老舗蕎麦屋です。幕末の名舗「団子坂蔦屋」の淡路町店を創業者の堀田七兵衛氏が譲り受けて営業を始め、明治時代の後期に団子坂本店が廃業したため、藪蕎麦本店の看板を受け継いで、今日に至っているとのことです。
 板塀に囲まれた店内には庭があり、料亭風の店構えの中、ゆったりと美味しい蕎麦をいただけます。




 さて、まずは熱燗です。菊正宗特撰は辛口で、同じく辛口の味噌とよく合います。


 「やきのり」は風情のあるノリ箱で供されます。ホカホカで海苔の香りと味が引き立っています。


 「湯葉刺身」は汲み上げ湯葉で風味と食感が最高です


 さて、いよいよ「せいろうそば」です。青みがかった蕎麦は、清涼感と新そばの青みを出すために、創業者の堀田七兵衛氏が、そばもやしの青汁を打ち込んで作ったものだそうです。
 厳選された国産玄そば(主に長野、青森、北海道、茨城産)の最上級粉を挽いて、外一(そば粉10に対して小麦粉1の割合)で毎日数回に分けて木鉢で練り、製麺されています。
 そばつゆは、昆布・鰹節で濃厚な出汁をとり、濃口醤油・味醂などで味が調えられています。以前いただいたときはかなり辛口でしたが、本日は結構甘味を感じました。



 冬場だけの限定「かきそば」は、藪の自慢のそばにプリプリの旬の牡蠣が入っています。



 そして、蕎麦の後は勿論「そば湯」です。


 本日はさらに甘味ということで「生そばまんじゅう」までいただきました。ごちそうさまでした。



★かんだやぶそば
  所在:東京都千代田区神田淡路町2-10
  電話:03(3251)0287
  品代:菊正宗特撰180ml 800円、やきのり600円、刺身湯葉900円、せいろうそば700円、かきそば1,300円、
     生そばばんじゅう300円

藪伊豆総本店(中央区日本橋)の「せいろランチ」

2008年12月16日 | 蕎麦屋(都内)
【平成20年12月某日 調査・登録】
 こちらの店「藪伊豆総本店」は、江戸時代の天保年間のはじめに「伊豆本」として創業しました。その後、明治15(1882)年に「かんだやぶそば」の暖簾に包含されることとなり、「藪」と「伊豆本」の「伊豆」を合わせ、「藪伊豆」の屋号で、藪のれん直系の分店となったとのことです。
 こちらの店は、女将さんの接客態度がとても親切丁寧で好感が持てます。また、奇数月に3階の座敷で「落語とそばの会」を開催しているそうです。


 店先の石臼粉挽小屋では、毎朝・夕の2回、自家製粉を行っています。粉挽きには、気泡を多く含み熱を吸収する蟻巣(アリス)石と呼ばれる特殊な石臼を用い、そばの味を落す原因となる粉やけを起こさないよう、ゆっくりと少しずつ回して製粉しているそうです。そして、挽きたての香り豊かなそば粉は、伝統の二八で打っています。


 場所柄や料亭風の店構えからは想像がつかないほど、品代の料金設定が良心的です。たとえば「せいろそば」はなんと420円です。
 そのような中でも、この「せいろランチ」は、冷たいそば2枚・海老天・野菜・かまぼこ・玉子焼きとテンコ盛りで構成されながら、1,050円とCPにとても優れた一品です。本格的な蕎麦と天ぷら、蕎麦屋の定番であるかまぼこや玉子焼きを堪能できます。




 仕上げは勿論「そば湯」です。「ごちそうさま」で店をあとにしました。


★藪伊豆総本店
  所在:東京都中央区日本橋3-15-7
  電話:03(3242)1240
  品代:せいろランチ1,050円

室町 砂場(中央区日本橋室町)の「天もり」「別製ざるそば」

2008年12月16日 | 蕎麦屋(都内)
【平成20年12月某日 調査・登録】
 こちらの店「室町砂場」は、明治2(1869)年に創業した老舗蕎麦屋です。店舗は純和風の造りで、庭を眺めながら伝統の味を賞味することができます。



 「室町砂場」は「天もり・天ざる」発祥の店としても有名です。江戸前のそばつゆにかき揚げが入っており、天ぷらの味わいがそばつゆに浸透し、蕎麦の旨さを一層引き出しています。
 映像は「天もり」で、「もりそば」は二番粉で打たれています。後掲の「ざる」に比べるとやや黒めなのが特徴です。




 そばの芯だけを挽いた更科粉(一番粉)を玉子でつないだ「別製ざるそば」は、腰の強さと仄かな甘さが絶品です。


 底が透けて見えるほどの上品な量で一枚を平らげるのはアッと言う間です


 仕上げは勿論「そば湯」です。「ごちそうさま」で店をあとにしました。


★室町 砂場
  所在:東京都中央区日本橋室町4-1-13
  電話:03(3241)4038
  品代:天もり1,450円、別製ざるそば650円

たかせ(千代田区神田神保町)の「せいろ」「鴨南蛮」「そばアイス」

2008年12月13日 | 蕎麦屋(都内)
【平成20年12月某日 調査・登録】
 こちらの店「たかせ」は、平成17(2007)年、神田神保町の靖国通りから何本か南側に入った静かな通り沿いに開店しました。店の外観も内観もお洒落に仕上がっています。



 「せいろ」は細めの仕上がりですがしっかりとコシがあり、歯ごたえが豊かです。汁は以前いただいたときよりも少し甘みが増していました。蕎麦もさることながら、葱や山葵などの薬味も秀逸です。



 「鴨南蛮」は、蕎麦と鴨肉・鴨のつくね・葱・三葉・柚子のハーモニーが素晴らしい逸品です。




 「そばアイス」は、ほんのりと蕎麦の風味が漂い、香ばしく揚げられた蕎麦の実がアクセントとなって、美味しいデザートに仕上がっています。


 仕上げは勿論「そば湯」です。「ごちそうさま」で店をあとにしました。


★たかせ
  所在:東京都千代田区神田神保町2-21-10高野ビル1階
  電話:03(3288)1370
  品代:せいろ700円、鴨南蛮1,500円、そばアイス350円

松翁(千代田区猿楽町)の「二色もり」「なめこそば」

2008年12月07日 | 蕎麦屋(都内)
【平成20年12月某日 調査・登録】
 こちらの店「松翁」の店主は、テレビ東京「テレビチャンピオン」の蕎麦打ち選手権の優勝者として有名です。


 「二色もり」は、「並そば」と季節によって毎日違う「変わりそば」の合わせ盛りで、本日の「変わりそば」は「柚子切り」です。
 「並そば」は、茨城県産常陸秋そばを使用して、玄そばのそば殻を取り除いてから製粉した生粉打ちです。店内のガラス張りになった蕎麦打ち処で打たれています。
 出汁の昆布には尾札部産真昆布が使われ、勿論、化学調味料などは一切使われていません。なお、汁は「濃口」か「淡口」を選べます。映像は「濃口」の汁です。
 また、山葵は本場伊豆の湯ケ島産というこだわりようです。


 蕎麦の美味しさを堪能できる「並そば」


 柚子の香りが冴え渡る「柚子切り」


 なめこや鴨のつくね、香菜が入った「なめこそば」は、色彩豊かで見た目にも綺麗ですが、味も秀逸です




 仕上げは勿論「そば湯」です。この店の「そば湯」は、とても濃厚で、トロッとした葛湯風に仕上がっており、実に美味しくいただけます。「ごちそうさま」で店をあとにしました。



★松翁
  所在:東京都千代田区猿楽町2-1-7
  電話:03(3291)3529
  品代:二色もり1,050円、なめこそば1,400円