緩和ケアで行こう

へなちょこ緩和ケアナース?!のネガティブ傾向な日記です。

苦しむのが仕事

2011-10-12 23:38:26 | 日々の「ケア」

 今、病棟全体が、ある患者さんのことでとっても悩んでいます。


 正直に言うと、その患者さんやご家族とのお付き合いに疲れたな…。
 そう思うことがあります。
 それは、私だけではなく、どのスタッフもそう思っていると思います。


 原因は患者さんのことなのだけど、病気である患者さんに非はないのですが、何とも、どこにもぶつけようのない気持ちになっています。


 先日も、長時間にわたり、医師とご家族が話をしているところに同席しました。


 ご家族も、とてもとても心を痛めておられます。


 
 そんなときに、医師は言いました。
 
 「緩和ケアでは、患者さんのために、苦しむことも、僕たちの仕事です…。」


 確かに…。
 そこんとこ、なしでは、痛みを感じることもできないだろうし、私たちにできることは何だろうか、という考えにも及ばないのかもしれません。 
 苦しいという感覚は、患者さんやご家族があってのことです。


 そうだよな~~~って思っていた矢先に。



 医師が、カンファレンス室でぼやいていました。


 「ああ、しんど。なんでこんなにしんどいんやろなー。」



 ポンは、心で、「せんせ、苦しむことが仕事、ゆうてたやん!」と咄嗟に思いました。

 そして、思わず、口走ってしまった、私。


 「先生は、この前、苦しむことが僕らの仕事です、ゆうてはりました…。」




 おいおい。
 せんせに対して、喧嘩、売っとんのか…。
 


 
 
 そうそう。

 理不尽なんですなぁ。


 病気って、そもそも、理不尽です。
 患者さんやご家族にとっても理不尽です。
 もれなく、私たちにとっても理不尽です。

 理不尽だから、みんながじたばたするんでしょうね。
 みっともない姿をさらしたり、言動が乱れたりもするんでしょうね。

 これって、ごく自然なことだと、冷静に考えればわかります。



 でも。
 




 せんせに、オウム返しのように言葉を返してしまった私こそ、疲れているのでありました。


 今、病棟に力がない、そんな感じです。


 思っていることを、後先の考えなしに、意見を受けることもあります。

 
 病棟が、理不尽さに直面するとき。
 私は、病棟の本当の底力がどれくらいあるのかを問われていると思います。


 その底力は、ひょっとしたら、ある瞬間に生まれる可能性もあるかもしれませんが、多くはそんなことはなくて、いろいろな場面の積み重ねで育まれていくものだと思います。


 そこんとこを育めるように、船頭さんになるのが私のお仕事かもしれませんが…。

 船頭さんだけがしっかりしていればいいというものでもないのでは、とも思ったり。


 
 正直にいって、今の自分には「続ける」自信がありません。
 仕方ないです。
 エネルギーが枯渇しているのですから。


 やっぱり、苦しむのが仕事、なのでしょうなぁ。


 どないしましょかね…。