不祥事で弁護士資格を剥奪された涼子が立ち上げた調査会社上水流エージェンシー。Q140 の貴山をアシスタントに、探偵エージェンシーに持ち込まれるあり得ない依頼に知略をめぐらすミステリー。
「未来が見える」という人物に経営判断を委ねる二代目社長を・・・「確率的にあり得ない」。詐欺にあい自殺した夫の妻からの依頼・・・「合理的にあり得ない」。
賭け将棋で必勝を期すヤクザからの依頼・・・「戦術的にあり得ない」家出した孫娘の捜索依頼・・・「心情的にあり得ない」野球賭博に絡み多額の負債を残して自殺した父の恨みを晴らす・・・「心理的にありえない」明晰な頭脳と美貌を武器に、怪人物がらみの「あり得ない」依頼を解決に導く。プロフェッショナルなキャラクターと痛快であでやかな結末を堪能したが涼子より助手の貴山の活躍が目立っていた。「成功したときは奇跡。失敗しても何事もなく、日常は変わらない」(P97)という余裕の心持がイイネ。
2017年2月講談社刊