読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

大沼紀子著「ばら色タイムカプセル」

2010-09-28 | あ行
13歳の家出少女・奏(かなで)が流れ着いた場所は、海が見える町にたたずむ、薔薇の花咲く不思議な老人ホーム『ラヴィアンローズ』」(フランス語で「バラ色の人生」)だった。
咲き誇る薔薇が自慢のこの施設で、年齢を詐称してアルバイトとして働きはじめた奏は、一筋縄ではいかぬ老女たちとのかしましくも楽しい、共同生活がはじまる。
一癖も二癖もあるお年寄りたちとのにぎやかな共同生活の中で、奏は老いや死、家族など多くのことを学んでいく。
しかしやがて薔薇園に隠されたある噂を知ることに、40年以上のときを超えてその秘密が明かされるとき、止まっていた、みんなの時間がふたたび動き出す。
そして奏のストレス性若年白髪や家出の秘密も明らかとなって・・・・・・。
「私も60年後、彼女たちみたいに笑っていたい。老いは切ない、でも愛おしい。」
「禍福は糾える縄の如し。・・・幸と不幸は、より合わせた縄のように、交互にやってくる、ということ」(58P)。
禍福をいくつも積み重ねていくことが、バラ色の人生につながっていくのかもという人生論もあって、笑えるし涙することも13歳の少女の半年の家出生活物語ミステリーの要素あって面白かった。
2010年8月ポプラ社刊

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