「台湾有事の時、最初に狙われるのは沖縄だ」〝おそるべき日本の危機〟を描く軍事小説。日本有事のリアルなストーリー。中国人民解放軍が台湾周辺の海域で今までにない規模で演習を開始した。台湾侵攻が急迫していると分析した日本政府は、〝台湾戦争〟の勃発後に日本が巻き込まれた場合を想定し、アメリカ軍の作戦をいかに支援していくべきかの検討を開始した。その事前準備として石垣島と与那国島への陸上自衛隊の事前配置を急ぐ決断をした矢先日本を嘲笑うかのように、中国特殊部隊は宮古島をはじめとする先島諸島に徐々に浸透、破壊工作を始めようと・・・。やがて台湾有事の予兆に対応しようとする日本だったが、様々な想いが錯綜する中、日本はリアル(戦争)に突入することになる。政治と自衛隊の覚悟、そして絶望的な現場に投入される兵士。前半は、やや政治的・自衛隊の制服系の話が先行するのだが、外人で構成された中国傭兵部隊の上陸、中ごろあたりから日本の恐ろしくもお寒い現実が明らかになっていく。数千の小型ドローンを使った攻撃,海底通信網切断、偽情報サイバー情報攻撃があり。そして最終盤は涙なくしては読めない白兵戦、空中戦、海中戦、情報戦・・・。完全な群像劇で主人公不在の感情移入しにくい展開だったが在り得る現実と頼りにならない在日米軍、有事には姿を現し攪乱するだろう人民解放軍の侵入スパイたち、北方四島に集結する露軍。露・ウクライナの戦争のニュースを見るにつけ一般人は何も出来そうもない現実に恐怖を覚えた。
2024年3月角川春樹事務所刊
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