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読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

笹本稜平著「 卑劣犯 素行調査官」

2018-03-28 | さ行

 素行調査官シリーズ第4弾。児童ポルノサイト摘発の指揮を執っていた警視庁生活安全部少年育成課の国枝警部補が、夜のランニング中に轢き殺された。轢いたのは、上司である生活安全部長の車だが、その車は事件の二日前に盗難に遭っていたという。国枝が死の直前までかかわっていた捜査の妨害が目的か・・・「警察の警察」警務部監察係の首席監察官の入江・その入江の引きで裏口入庁した元私立探偵上がりの本郷岳志・定年も視野に入った万年巡査部長北本たち面々は内部犯行を疑い、調査をはじめるが、事件には思わぬウラが・・・・。

その容疑者は警視庁の上級幹部。執拗な捜査妨害で迷宮入り寸前の事件を私立探偵の沙緒里(本郷の古巣の探偵事務所長の娘で共同経営者。根っからの探偵小説マニア)なども動員して追詰める。一気読み出来ました5年ぶりの新作面白かった。

201712月刊 

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佐藤恵秋著「雑賀の女鉄砲撃ち」

2018-01-24 | さ行

戦国を駆け抜けた稀代の女鉄砲撃ち蛍はじめ四姉妹の活躍を描いた歴史時代小説。雑賀衆は、すぐれた射手を輩出する鉄砲撃ち集団。紀州雑賀荘宮郷の太田左近の末娘・蛍は、鉄砲に魅せられ、射撃術の研鑽に生涯をかけていた。武田の三河侵攻に対し織田信長が鉄砲三千挺を揃えたと聞いた蛍は、父に無断で実検に赴く。三州長篠で信長の三段射撃戦法により、天下最強の武田騎馬隊が粉砕される様子を目の当たりにし衝撃を受ける。やがて鉄砲の四人組撃ちの策を編み出し信長、家康を助け、秀吉、雑賀孫一と対立する。

表紙の4姉妹のイラストに誘われて読み始める。和田竜の女海賊「村上水軍の娘」雑賀衆のなかでも群を抜くスナイパーを描いた「小太郎の左腕」と同時代の歴史物だが2番煎じの感があり面白みに欠けた。登場人物の掘り下げも浅く、信長から秀吉、家康へと天下取り三代の武将と蛍との関わりも、どの立場で歴史を描くかによって変わるのは面白いがよく知られた史実やもしももありきたりで驚きはなかった。

2017年5月徳間書店刊

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笹本稜平著「ソロ」

2017-11-04 | さ行

ひたすら登山シーン連続の骨太の山岳小説。オタク系の若いソロクライマー奈良原和志が、周囲の人々との触れあいを通じて世界の檜舞台への成長の物語でもある。あのルートを、たった一人で、しかも名もない日本人が登れるわけがないとの世間の噂。アラスカからヒマラヤへ、数々の難壁に初登攀の足跡を残してきた新進気鋭のアルパインクライマーだが。そんな周囲の雑音をよそに、初めて目指した8000メートル峰が世界第四位のローツェ、しかも最難関の南壁ルートだった。そこは伝説的な登山家トモ・チェセンの“疑惑の登頂”の舞台として、いまも世界の登山界で語り継がれる因縁の壁でもある。心の通い合う仲間に支えられ、いわれない妨害を受けながらも、心の師であるトモの初登頂の真実を証明すべく、和志は自らの限界を超えて世界屈指の壁に立ち向かう。特に大きなトラブルや出来事が起きるわけではないが緻密な山岳描写や心理状態など息使いが聞こえてくるよう。淡々と読めました。

インタビューに答えて登山とは主人公は「冒険です。与えられた世界に安住するのではなく、努力と創造性とリスクに耐える精神力によって、人としてのフロンティアを広げる行為です。」(P38)「容易い道程ではないのはもちろんだが、やってのけようという意思がなければ不可能は永遠に不可能のままだ。・・・そんな意志の力が不可能を可能にしてきた。」(P240)「希望は与えられるものではなく、自らの力で切り開くものだ。」(P415)

2017年8月祥伝社刊

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雫井脩介著「望み」

2017-10-14 | さ行

 東京のベッドタウンに住み、建築デザインの仕事をしている石川一登と校正者の妻・貴代美。二人は、高一の息子・規士と中三の娘・雅と共に、家族四人平和に暮らしていた。規士が高校生になって初めての夏休み。友人も増え、無断外泊も度々するようになったが、二人は特別な注意を払っていなかった。そんな夏休みが明けた9月のある週末。規士が2日経っても家に帰ってこず、連絡するも途絶えてしまった。心配していた矢先、息子の友人が複数人に殺害されたニュースを見て、二人は胸騒ぎを覚える。行方不明は三人。そのうち犯人だと見られる逃走中の少年は二人。息子は犯人なのか、それとも被害者なのか。息子の無実を望む一登と、犯人であっても生きていて欲しいと望む貴代美。揺れ動く父と母と妹の思い。息子が犯罪者?これから、仕事はどうしたらいいのだ・・・・

「兄が犯罪者?勉強しても無駄なの?受験は・・・」「生きていてくれたらそれでいい!私が一家を支えていく!」

「それまで穏やかだった一家の気持ちは決して一つにならない。」「どっちにしても困るんだったら、両方の心構えをしとかないといけない」(P281

不穏な空気感と家族の濃密な心理描写が凄かった。他人ごとではない、いつ自分にも降懸って来る可能性に考えさせてくれた。

20168月角川書店刊

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城山真一著「二礼茜の特命 仕掛ける」

2017-09-17 | さ行

2015年『このミステリーがすごい! 』大賞を受賞した「ブラック・ヴィーナス 投資の女神」の続編。主人公「株取引の天才」二礼茜が今度は、内閣金融局"特命係"として、企業救済のミッションを託される。 茜は、同局の秘密部門、通称SII(エスツー)に所属する国家公務員。相棒だった百瀬良太が今度は茜の上司となって、トレーディングンのアシスタント役を務めることに。SIIは、経営危機に直面した企業からの依頼を受けである茜らを派遣。茜は、依頼人のもっとも大切なものと引き換えに、その場で設けたディーリングルームでデイトレードにより資金作りに努める。新たな依頼主である創薬会社のエヌメディックは、提携していた大手製薬会社が共同研究から撤退し、銀行から融資引き揚げの通告を受けている上、株価が乱高下したことで、インサイダー情報が漏れていた可能性まで噂されていた。茜は「インサイダー取引にかかわった人間を特定すること」を条件に、株取引を開始する。しかし、大型株の市場ではヘッジファンドなどが操る自動売買システムが高速取引で相場を牛耳っていた。さらには会社を先導していた取締役が怪しい振る舞いをみせるようになった。生き残りのための最後の切り札となった茜の資金作り。しかしヘッジファンドが操るコンピューターによる超高速取引が立ちふさがり、危機は深まる一方に。茜は超高速のスキにできる「瞬間」に勝負をかけた。茜対巨大アルゴリズム取引。 金融や証券市場のことが詳しくなくても、茜のトレーディングの様子がガイドになり、市場の最前線のスリルが味わえる。実在の人物をモデルにしたと思われる実業家らを登場。実際の出来事とオーバーラップして、裏話がこうだったのかもしれないと想像する楽しみもあった。2017年7月宝島社刊

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下村敦史著「生還者」

2017-08-24 | さ行

同じ女性を好きになってしまった登山家の兄弟。弟は兄を超えて清水美月を自分に振り向かせようとするが、その思い叶わず美月は兄を選んだ。そんな失意の最中に悲劇は起き、兄とは絶交状態へ。ヒマラヤ山脈東部のカンチェンジュンガで大規模な雪崩が発生、4年前に登山をやめたはずの兄が34歳の若さで命を落とした。弟の増田直志は返された遺品のザイルが何者かによって切断されていたことに気付き、兄は事故死ではなく何者かによって殺されたのではないかと疑問に思う。やがて他の生存者が絶望視されていたなか相次いで二人の男が奇跡の生還を果たす。高瀬は猛吹雪のなか兄たち登山隊に出会い助けを求めたが冷たくあしらわれ、登山隊の加賀谷だけが残って自分を助けてくれたという。行方不明の加賀谷が英雄としてマスコミを賑わせる中、遅れて生還した東は高瀬が嘘をついていて、加賀谷こそが卑怯者だと証言するのだった。二人の生還者はどちらが真実を語っているのか? 兄の死の真相を突き止めるため、直志は女性記者の八木澤恵利奈とともに山に隠された謎に挑む。

真相を追及するミステリーとして人物や心理感情が丁寧に書かれていて面白かった。「生きるためには誰もが様々な選択をしている。赦されるもの赦されないもの。・・・極限状態で生還するために全力を尽くした結果だ。」(P2762015年7月講談社刊 

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下村敦史著「失踪者」

2017-08-17 | さ行

2016年、ペルーのシウラ・グランデ峰。山岳カメラマンの真山道弘は単身で峰を登っていた。10年前、氷河のクレバスに落下しまま置き去りにしてしまった親友・樋口友一を迎えに来たのだ。「長い間待たせて悪かったな」クレバスの底に降り立ち、樋口を発見した真山だったが、その遺体を前に驚愕する。極寒のクレバスに閉じ込められた遺体は、歳を取ることなく凍りついてしまうはず。しかし、樋口は明らかに10年前より年老いていたのだ。「まさか、樋口はあの時生還していたのか? ならばなぜ連絡をよこさなかった?そしてなぜ同じ場所で命を落としている?樋口、お前は一体何をしていたんだ?」親友が過ごした、謎に包まれた“歳月を真山が辿る。

山男の心の絆が描かれて面白かったがミステリーとしては途中で真相が予想できてしまった。重要な役目の榊や宮崎含め生い立ちや心理状況生活感などモッと掘り下げられておれば深みが出たのに残念。

2016年9月講談社刊

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雫井侑介著「犯人に告ぐ2・闇の蜃気楼」

2017-06-16 | さ行

前作「犯人に告ぐ」で神奈川県警が劇場型捜査を展開した「バッドマン事件」から半年の設定。巻島史彦警視は、誘拐事件の捜査を任された。和菓子メーカーの社長と息子が拉致監禁され、後日社長のみが解放される。社長と協力して捜査態勢を敷く巻島だったが、裏では犯人側の真の計画が進行していた。警察、犯人、被害者家族。前代未聞の騙し合いの中で!巧妙に仕組まれた知恵の回る犯人たちによる誘拐ビジネス

2004年に書かれた前作は読んだが余りにも間が離れてホボ忘れていて登場人物を最後まで思い出すことがなかった。オレオレ詐欺の実態や主犯の淡野の特異なキャラの面白さ、犯行に加わる兄弟の生い立ちや心理状態、警察対犯人たち、被害者の心理的駆け引きの妙も感じたが結末が不完全で、取り逃がした犯人の一人に巻島が「お前はそれまで震えて眠れ」という最後のセリフも、犯人を逮捕できる根拠や証拠が示されているわけでもないので、捨てセリフに聞こえてむなしかった。続編も有りそうでそれに期待する。

20159月集英社刊

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柴田哲孝著「クラッシュマン」

2017-04-19 | さ行

過剰防衛による殺人の裁判で無罪となり、警察庁警備局公安課特別捜査室通称「サクラ」に復帰した田臥健吾を、新たな任務が待ち受けていた。東京発博多行きの“のぞみ167号”の車内でTNT爆弾が発見されたのだ。さらには、イスラム国の対日本専門のテロリスト“クラッシュマン”が入国したという情報がICPOのリヨン事務総局よりもたらされる。田臥は、“サクラ”の仲間たちと共に深く静かに捜査を開始する。世界中でテロ事件が多発する中、三重の賢島でサミットが開催される、米国のオバマ大統領の広島訪問が・・・

警備に大わらわの背景を絡ませてISテロ要員が平和ボケの日本に潜入しテロ計画、それを阻止しようとする公安との攻防を描いた裏話的サスペンス。テロは元CIA崩れの仕業説は?

201611月双葉社刊

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柴田哲孝著「Mの暗号」

2017-01-07 | さ行

戦中戦後に消えた莫大な資産30兆円の金塊。遺された暗号。GHQ、日銀、日本金銀運営会、亜細亜産業、そしてフリーメイソン・・・。東京大学の特任教授で歴史作家・浅野迦羅守を訪ねてきた美女・小笠原伊万里。何者かに殺害された彼女の義父が、祖父から預かっていた謎の地図と暗号文を解読してほしいと言う。彼女の祖父が戦後史の闇に君臨した亜細亜産業とGHQ、そしてフリーメイソンに繋がる人物だったことが判明した時、戦時中〝金属類回収令〟によって集められ、消えた膨大な金塊の存在が浮上した! 迦羅守は数学の天才〝ギャンブラー〟と元CIAのエージェント南部正宗の協力を得て、その行方を追う。

登場人物の掘り下げ不足、感情移入出来ず著者に都合のいいような謎とき展開と内容の薄ぺラさにゲンナリ。現実感もなくミステリーとしても興味が持てなかった。

 201610月祥伝社刊

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新宮広明著「サマーキャンプ 潜入捜査官・高階紗香の慟哭」

2016-11-07 | さ行

警視庁捜査一課特殊班4係に所属する高階紗香に与えられた極秘捜査は新興宗教「聖浄心会」の宗教施設。ターゲットは連続殺人事件解決の鍵を握る教祖。 1人目は東京立川に住む主婦。1年前に5歳の息子を幼稚園に預けたまま忽然と姿を消した。2人目は急成長中のデベロッパー勤務エリート社員で、半年前、職場のトイレで自殺。そして先々週、司法書士が幹線道路でダンプカーに轢かれ死んだ。一見何の事件性も関係もない3人の残された持ち物からは新興宗教「聖浄心会」のチラシが発見された。謎の教団が事件に関与しているのか・・・。 「集団心理の機微」に挑んだミステリー。先日見た宗教施設へ女性が潜入する映画「コロニア」みたいだと思って読んだが、期待した展開にはならず宗教の内部の掘り下げが不足していて後半の展開は残念だった。

2016年4月幻冬舎刊

 
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笹本稜平著「大岩壁」

2016-07-23 | さ行
ヒマラヤ、ナンガ・パルバット8126m。
ヒマラヤ、8000メートル級の山のなかで、多くの犠牲者を出し、通称「魔の山」「人食い山」の異名で恐れられてきた。
立原祐二、48歳。5年前に、46歳の木塚隆とハードクライミングのエキスパート24歳の倉本俊樹の3名のパーティーで挑んだが、
頂上を目前にして猛烈な嵐に行く手を阻まれ、凍傷により手の指3本と足の指を5本、そして下山中に倉本の命を失ってしまうってしまう。
しかし「もう一度やるとしたら、ルパール壁を狙いませんか」という、倉本のあの言葉が蘇り、クライマー人生を締めくくるにあたって、
生還した木塚とともに、「魔の山」に挑むことを決意する。
緻密な計画を積み重ねているうちに、予期せぬ参加希望者があらわれた。倉本の弟、春彦だ。
卓抜たる技術を持つもまだまだ経験に欠け、高度順応も未知数。しかも、協調性をふくめて人間性に問題があるばかりか、
兄の死に不審を抱いている気配がある。さらに、同じく冬期初登頂をめざすらしいロシアのパーティも出現して、
さまざまな不安要素を抱えながらも、登攀は開始された。
「天候だけでなく、予期せぬ事態が出来し、人を、その人生を試すのが山なのだと」立原はあらためて、その思いを強くする。
苛烈な状況のなか、登頂を目指す彼らの息遣いが聞こえてくるような緊迫の感動山岳小説。
「金にもならない。世間がそれほど注目してくれるわけでもない。そのうえ命まで失いかねない。
そんなことに夢中になれる馬鹿がいるから、逆に世の中は正気を保っていられるんじゃないですか」(P116)
「合理主義の観点からは無駄でしかないことが、人類にとっては心の栄養になるわけだ。」(P116)
「人間は一度は死ぬことが決まっている以上、死を選べることはむしろ幸福だ。」(P46)
「人が生きる理由は損得ずくの合理性だけを尺度には決められない。」(P266)
2016年5月文藝春秋刊
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笹本稜平著「ボス・イズ・バック」

2016-07-03 | さ行
S市最大の暴力団山藤組を主な得意先とするS市の私立探偵おれが主役の6つの連作短編の探偵小説。
「恋する組長」の続編か?泣く子も黙る悪相の山藤組のボス山虎。飼い主よりも凶暴で、いったん噛みついたら決して離さない、
山虎の愛犬ベルちゃん。
なぜか、山虎以外で唯一ベルちゃんが懐いている探偵事務所の電話番由子。組の解散騒ぎ、失踪、そしてまさかの殺人事件!
悪徳刑事ゴリラこと門倉権蔵や朴念寺の生臭坊主喜多村向春も巻き込んでのコメディタッチのてんまつ「おれ」が
突き止めた意外な真相が・・・。表題作他「師走の怪談」「任侠ビジネス」「和尚の初恋」「ベルちゃんの憂鬱」「由子の守護神」
軽いタッチでスラスラ読めるので暇つぶしにいい。
201 5年10月光文社刊
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嶋中潤著「貌なし」

2016-06-26 | さ行
父木村純一が突然失踪した。行方を追う娘フリーのジャーナリストの木村香。
父が25年前の殺人事件の法廷で、被告に有利な証言をしていた事実を知る。
真相を求めて父の過去をたどる娘は、「無戸籍」という不条理な境遇に生まれた父の、あまりにも過酷で無慈悲な人生に向き合う。
「誰にも慣れない誰か、何者にもなれない私」「存在を証明するすべがない自分」日本にも無国籍の人がたくさん居て、そのことがそれが何を意味するのか、本人の落ち度でも責任でもないのに存在を無視される。
戸籍がないゆえの無国籍の父の過酷な人生を振り返る視点とわずかな手がかりから父親を追い求める現在の娘の視点で交互に展開される。
途中から展開は想像できたが不条理な人生を強いられた男の生き様に感動した。
2015年9月光文社刊
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沢村鐵著「ノヴェリストの季節」

2016-05-28 | さ行
大手出版会社「行文社」の編集者・黒島郁生は、かねてから愛読していた学生で若き女流小説家・結城日向子の担当者となった。
打ち合わせ、取材旅行、執筆、原稿直し。原稿を日向子が挑む初めてのジャンルであるミステリー『サクラメント』を
二人はまさに二人三脚で作品を作り上げてゆく。俺ならこの人の力になれる。あるべき姿に近づける中、黒島は特別な感覚を覚える。
この作品には、小説が持つもっとも大切な何かがある。ついに刊行の日を迎え、黒島は日向子に、
編集者としての枠を越えた思いを抱いていることに気づく。そしてもう一つ、別の思いも抑えられなくなっていた・・・。
「小説には人を変える力がある他の呑ア者にも負けないぐらいの力がある。」(P301)
「小説では事実は描かない。だけど真実は描けるのです・・・知・情・意を全部兼ね備えてる。だから人を変えられる」(P302)
「歴史上最も長く生き延びてきた芸術形態・・・文字で綴られた物語こそが、人間にいちばん理想的形態で働きかける。そして人を変える。」
特に山場や盛り上がりは感じられないが恋愛小説ですね。編集者と作家の関係がよく分かりました。」
2016年3月徳間書店刊
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