goo blog サービス終了のお知らせ 

読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

下村敦史著「生還者」

2017-08-24 | さ行

同じ女性を好きになってしまった登山家の兄弟。弟は兄を超えて清水美月を自分に振り向かせようとするが、その思い叶わず美月は兄を選んだ。そんな失意の最中に悲劇は起き、兄とは絶交状態へ。ヒマラヤ山脈東部のカンチェンジュンガで大規模な雪崩が発生、4年前に登山をやめたはずの兄が34歳の若さで命を落とした。弟の増田直志は返された遺品のザイルが何者かによって切断されていたことに気付き、兄は事故死ではなく何者かによって殺されたのではないかと疑問に思う。やがて他の生存者が絶望視されていたなか相次いで二人の男が奇跡の生還を果たす。高瀬は猛吹雪のなか兄たち登山隊に出会い助けを求めたが冷たくあしらわれ、登山隊の加賀谷だけが残って自分を助けてくれたという。行方不明の加賀谷が英雄としてマスコミを賑わせる中、遅れて生還した東は高瀬が嘘をついていて、加賀谷こそが卑怯者だと証言するのだった。二人の生還者はどちらが真実を語っているのか? 兄の死の真相を突き止めるため、直志は女性記者の八木澤恵利奈とともに山に隠された謎に挑む。

真相を追及するミステリーとして人物や心理感情が丁寧に書かれていて面白かった。「生きるためには誰もが様々な選択をしている。赦されるもの赦されないもの。・・・極限状態で生還するために全力を尽くした結果だ。」(P2762015年7月講談社刊 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 荻原浩著「海の見える理髪店」 | トップ | 和田竜著「村上海賊の娘」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

さ行」カテゴリの最新記事