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読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

中山七里著「合唱 岬洋介の帰還」

2023-10-04 | な行
「音楽ミステリー」シリーズ。幼稚園で幼児ら5人を惨殺した直後、自らに覚醒剤を注射した“平成最悪の凶悪犯”仙街不比等。彼の担当検事になった天生高春刑事部一級検事は、刑法第39条によって仙街に無罪判決が下ることを恐れ、検事調べで仙街の殺意が立証できないかと苦慮する。しかし、取り調べ中に突如意識を失ってしまい、目を覚ましたとき、目の前には仙街の銃殺死体があった。
指紋や硝煙反応が検出され、身に覚えのない殺害容疑で逮捕されてしまう天生。そんな彼を救うため天才ピアニスト・岬洋介が旧友の危機を救うため、地球の裏側から急遽駆けつける。そして悪徳弁護士御子柴礼司や熱血刑事、死体好きな法医学者光崎教授たちや氏家京太郎と相まみえ・・・。セーンセイショなる設定で始まる事件。犯人は彼でなければこの人以外ありえないので、動機とトリックを謎解く展開、動機に対する伏線が提示されぬまま進むのでミステリーと呼べるかどうか、シリーズのファンならたまらないストーリーだと思うが不満・・・。
2020年5月宝島社刊
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中山七里著「特殊清掃人」

2023-09-23 | な行
特殊清掃業者〈エンドクリーナー〉を舞台にしたヒューマンミステリー。「誰もいなくなった部屋にこそ、住んでいた者の嘘のない生きざまが現れる」。特殊清掃業会社エンドクリーナーには、日々、様々な依頼が押し寄せる。会社は元刑事の社長の五百旗頭亘(いおきべわたる)、新人の秋廣香澄、一年先輩の白井。彼らの仕事をとおして、死者が抱えていた様々な事情が浮かび上がる展開。気持ちの悪い舞台だしテーマもと二の足踏んだが登場人物たちの人間性に惹き付けられてあっ~という間に読了。死体が醸し出す悪臭、腐乱、部屋の床等に染み渡る体液による破損等の、こうした事実を認識すればするほど、孤独死などとても出来ないと思ったし、早く発見できるように一考しないと思った。自分が孤独死するとは、死後の処理を清掃業者が行うということだ。誰にも迷惑を掛けない死など難しい。部屋の清掃と、その後の形見分けの話だが、孤独死の発見が遅れるとなかなかきつい現場だ。そして死というものは、その人の過去の人生を雄弁に語るものなんだなぁと思う。汚部屋に唖然。引きこもりになった原因に立腹・・・「祈りと呪い」。風呂場での独居老人の孤独死・人間シチューにはびっくり・・・「腐蝕と還元」。ミュージシャンになる夢を追い続けた生活困窮者の熱中病死・・・「絶望と希望」。大金持ちの遺産をめぐる話。争いの火種となった遺言書にはそんな意味が・・・「正の遺産と負の遺産」。四つの連作。「負の部分はおいそれとは解消出来るものでない。まずは耐性をつけることだが、その第一段階は客観視から始まる。客観視すれば自虐とブラックジョークが口をついて出てくる。後は、覚悟と向上心が備われば心が剛くなる。」(P168)特殊清掃人も是非シリーズ化してほしい。
2022年11月朝日新聞出版刊
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中山七里著「祝祭のハングマン」

2023-09-19 | な行
法律が裁けないのなら、他の誰かが始末する。司法を超えた復讐の代行者――それが私刑執行人「ハングマン」。ダークヒーロー現代の〝必殺〟仕事人ここに誕生か。警視庁捜査一課の春原(すのはら)瑠衣は、中堅ゼネコン課長の父誠也と暮らす。ある日、父の同僚藤巻が交通事故で死亡するが、事故ではなく殺人と思われた。さらに別の課長須貝が駅構内で転落死、そしてまもなく父も工事現場で亡くなる。追い打ちをかけるように瑠衣の許へやってきた地検特捜部は、死亡した3人に裏金作りの嫌疑がかかっているという。父は会社に利用された挙げ句、殺されたのではないか。だが証拠はない・・・。疑心に駆られる瑠衣の前に、私立探偵の鳥海(とかい)秋彦が現れる。彼の話を聞いた瑠衣の全身に、震えが走った・・・。ご都合主義の展開だし、主人公の瑠衣は頼りない女性系刑事で感情移入出来ず読了。麻生班長、葛城や御厨検視官、犬養まで登場、「月光のスティグマ」の東京地検特捜部の神川淳平が出て来り、「嗤う淑女二人」との事件リンクなど遊び心満載。刑事の春原瑠衣は表の顔は宍戸班の一員、裏の顔は鳥海、比米倉(ひめくら)の三人で仕事人というシリーズ化か?
2023年1月文藝春秋社刊
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永瀬準介著「逃亡遊戯 歌舞伎町麻薬捜査」

2023-09-06 | な行
前作「最後の相棒」の続編。伝説のカリスマ捜査官・桜井文雄の後を継ぎ、新宿署組織対策課に異動して歌舞伎町で命がけの麻薬捜査に取り組む若手刑事・高木誠之助。
 高木は組織対策課のやり手主任・洲本栄とコンビを組み、時に鍔迫り合いを演じながら捜査に邁進する。やがて二人は、宿敵ともいうべきテロリスト広瀬姉弟と再び相まみえることに・・・刑事たちの熱い生き様が面白い警察エンタテインメント。
主人公が高木に変わったけど劣悪な環境からの脱却と革命らしきの物語。結構悲惨な境遇の登場人物たちだけど陰鬱な感じが薄く爽快な疾走感を感じる。最終ページでは決着はつかず
続編がある感じで楽しみですね。
2023年6月文春文庫刊
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中山七里著「人面島」

2023-08-01 | な行
シリーズ2弾目。毒舌人面瘡のジンさん&ポンコツ相続鑑定士ヒョーロク、今度は孤島の密室殺人に挑むミステリー。相続鑑定士の三津木六兵の肩には人面瘡が寄生している。毒舌ながら頭脳明晰なその怪異を、六兵は「ジンさん」と呼び、頼れる友人としてきた。ある日、六兵が派遣されたのは長崎にある島、通称「人面島」。村長の鴇川行平が死亡したため財産の鑑定を行ためだ。島の歴史を聞いた六兵は驚く。ここには今も隠れキリシタンが住み、さらに平戸藩が溜め込んだ財宝が埋蔵されている伝説があるという。一方、鴇川家にも複雑な事情があり、行平には前妻との間に長男・匠太郎と後妻との間に次男・範次郎がいる。だが二人には過去に女性をめぐる事件があり、今もいがみ合う仲。さらに前妻の父は島民が帰依する神社の宮司、後妻の父は主要産業を統べる漁業組合長である。そんななか、宮司は孫の匠太郎に職を継ぐべく儀式を行う。深夜まで祝詞を上げる声が途切れたと思いきや、密室となった祈祷所で死んでいる匠太郎が発見された。ジンさんは言う。「家族間の争いは醜ければ醜いほど、派手なら派手なほど面白い。ああ、わくわくするなあ」戸惑いながらも六兵は調査を進めるが、第二の殺人事件が起きる。・・・台風の接近と連絡船の欠航、鉄塔が壊れて通信手段がなくなるなどの状況だが、島の内部で起こる殺人事件。自ずと犯人は絞られ、誰なのかは想像がつく。しかしキャラクター設定と描き方が上手で引き込まれる。ヒョーロク&ジンは掛け合い漫才の趣もあり面白かった。
2022年3月小学館刊


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中山七里著「能面検事の奮迅」

2023-06-07 | な行
大阪地検一級検事の不破俊太郎シリーズ第2弾。どんな圧力にも屈せず、微塵も表情を変えないことから、陰で「能面」と呼ばれている不破俊太郎は忖度しない、空気を読まない、 完全無欠の司法マシン。事務官の総領美晴と、政治とカネの闇にかき消された真実を暴く。モリカケ・近畿財務局。国有地払い下げ・大阪地検・決裁文書改竄とくれば安倍の絡むあの話かと思ったが見事に裏切られて、過去の秘密を手がかりに事件の真相の謎が解き明かされる展開。一切の私情を挟まず、現場に執着して起訴か不起訴かを見極めることに全力を尽くす仕事ぶりに感服。事実が明らかになっても罪を公平に正しく裁く難しさを痛感、忖度しないが結末の読後感は晴れやかでした。検察ミステリー続編の第3弾「能面検事の死闘」が楽しみ。
2021年7月光文社刊

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中山七里著「越境刑事」

2023-06-01 | な行
『逃亡刑事』の高頭冴子シリーズ第二弾。「県警のアマゾネス」の異名を持つ千葉県警の高頭冴子は、留学生の不審な失踪が相次いでいるという噂を耳にする。その数日後、中国国籍で新疆ウイグル自治区出身の留学生カーリの死体が発見される。捜査に乗り出した冴子は、事件に中国公安部が絡んでいることを掴むも、やがてカーリの雇い主のカーディルも殺害される。冴子に保護を求めていたカーリの同僚のレイハンも連れ去られてしまい、その容疑者は逃亡。レイハンを救い、事件の真相を暴くため、冴子と部下の郡山は中国への捜査を強行するが、そこで二人が目にしたのはウイグル民族が置かれた恐るべき状況だった・・・。中国公安部のウイグル人弾圧と殺害がテーマの物語。民族や文化が異なるウイグル人を漢人に同化させる政策の中で実際起きている中国での現状、ウイグル人弾圧の凄まじさ。自国民を拉致されても手も足も出ない日本政府、ウイグル人ジェノサイドの現実にも他の民主主義国の対応と異なるし、沈黙する国会のだらしなさや無策さは、同じ日本人として情けない。後半中国での展開から失速感があるがスパイ天国日本の現状に憂慮御覚えた。
2022年9月PHP研究所刊

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中山七里著「嗤う淑女二人」

2023-05-02 | な行
ダークヒロイン嗤うシリーズ第3弾。高級ホテル宴会場で17名が毒殺される事件が発生。 犠牲者の一人、国会議員・日坂浩一は〈1〉
と記された紙片を握りしめていた。防犯カメラの映像解析で、衝撃の事実が判明する。世間を震撼させた連続猟奇殺人に関与、医療刑務所を脱走し指名手配中の「有働さゆり」が映っていたのだ。さらに、走行中の大型観光バス爆破〈2〉、
深夜の中学校舎放火殺人〈3〉
経営的に成り立たないフィットネスジム爆破事件〈4〉・・・と、
新たな事件が続発。犯行現場には必ず、謎の番号札と、有働さゆりの痕跡が残されている。さゆりは「ある女」に指示された手段で凶行に及んでいたが、捜査本部はそのことを知る由もなく、死者は増え続ける一方で、犠牲者は49人を数えるのだった・・・。蒲生美智留が、綿密な計画を立てて、殺人を企てる。人を説得して、犯罪を起こさせるという頭脳犯。自分自らは、手を下さない。刑務所を脱走し指名手配中の「有働さゆり」を巧みに、行動犯として実行させる。罪なき人が巻き添えで狙われる大量殺人・個人テロが描かれている不条理な格差社会の歪さがなせる業なのか悪女2人がサラッと殺人を犯す、振り回される警察が情けない。
2021年9月実業之日本社刊

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中山七里著「ハーメルンの誘拐魔」

2023-04-17 | な行
犬養刑事シリーズ。病院からの帰り道、母親が目を離した隙に 15 歳の少女・香苗が消えた。現場には中世の伝承「ハーメルンの笛吹き男」の絵葉書が残されていた。警視庁捜査一課の犬養隼人が捜査に乗り出し、香苗が子宮頚がんワクチン接種の副作用によって記憶障害に陥っていたことが判明する。数日後、今度は女子高生・亜美が下校途中に行方不明になり、彼女の携帯電話と共に「笛吹き男」の絵葉書が発見された。亜美の父親は子宮頚がんワクチン勧奨団体の会長だった。ワクチンに関わる被害者と加害者家族がそれぞれ行方不明に。犯人像とその狙いが掴めないなか、さらに第三の事件が発生。ワクチン被害を国に訴えるために集まった少女 5 人が、マイクロバスごと消えてしまったのだ。その直後、捜査本部に届いた「笛吹き男」からの声明は、一人 10 億、合計 70 億円の身代金の要求だった。
70 億の札束の持ち運びはリアリテーに欠けるが、誘拐犯の目的は医者、産婦人科協会、製薬会社、厚労省との癒着など医療の闇に切り込んでいく様子は社会派ミステリとして面白く読めた。ワクチン接種による副反応はコロナワクチンでも起きていることで考えさせられた小説でした。
2016 年 1 月角川書店刊

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直島翔著「警察医のコード」

2023-03-01 | な行
横浜を舞台に司法解剖と犯罪捜査をテーマにした、連作の短編集。主人公は死者と語り、どこまでも真実に執着する警察医である法医学者。幕旗法医学研究所の所長幕旗治郎(元ニューヨーク市検視局11年のキャリア)と助手の小池一樹。多様化する性を取り巻く犯罪に立ち向かうジェンダー班の村木響子刑事班長以下久米勝治、戸口遥香たち。
 死に隠れた謎を解き明かす、医師が最期を確認する病死以外は「異状死」と呼ばれる。欧米では異状死の五割を解剖しているが、日本の解剖率は二割に届いていない。国内に法医学者の絶対数が少ないうえ、犯罪捜査のための解剖を行う公的機関が常設されていないからだ。重大犯罪が見逃されていないか。主人公が抱える孤独が、各篇進んでいくことで浮き彫りにされて明らかになる。犯罪被害者の遺体が語りかけてくる情報に真摯に耳を傾け、事件のわずかな手がかりを見つけ、捜査員と協働して解決する。被害者やその周囲の人物の抱える哀しみや取り巻く状況への視線は温かい。各個人のキャラクターが個性的であるし各々持つ過去が見え隠れして、興味深かった。
「親が死んだ子は孤児、夫を亡くして妻は寡婦。子亡くした親は何というんだ?」
コード1「死因に推定はない」コード2「事実は一つだが、真実は人の数だけある」コード7「黙っていろ」コード21「軽率な推論は事実を逃す」(P292)
2022年9月角川春樹事務所刊

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直島翔著「恋する検事はわきまえない」

2023-02-16 | な行
第三回警察小説大賞受賞作『転がる検事は苔むさず』に続く続編、連作短編4つと+α。
「特捜部初の女性検事」として期待と嫉妬を一身に背負う常盤春子は、着任早々、下水道事業の五社談合事件を任された。落とし所は末端社員たちの摘発。しかし、取り調べ中に闖入してきた被疑者の幼なじみによって、捜査は思わぬ方向に転がり始めた。築地の魚屋で働く男は、被疑者を庇いながら言葉を吐く。「おれはよ、法に背いたのは人間じゃねえ気がするんだ。人間の周りを囲んでいる全体みたいなもんだ」覚悟を決めた春子は、検察幹部仰天の一手に出た・・・「表題作」。
 見習い検事倉沢ひとみが異動先の鹿児島で一騒動を起こす・・・「ジャンブルズ」。
小倉支部の万年窓際検事久我周平が組織から孤立しながら凶悪な日本一凶悪な指定暴力団白王会に立ち向かう・・・「海と殺意」。
交番巡査有村誠司は保育園で出会った魚屋の長谷川健介とネット掲示板のトラブルに挑む・・・「健ちゃんに法はいらない」
 仲間との友情や恋のドラマもあって、ふしぎな味がある人間ドラマ。法律家をバカ扱いする健ちゃんの活躍がいい。「恋する検事」は意外な人だった。前作に登場した人物の過去と今のエピソードが語られる。人が持つ不器用さに、人間に対する優しい眼差しさに愛を感じた。続編が待ち遠しい。
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直島翔著「転がる検事に苔むさず」

2023-02-13 | な行
第3回警察小説大賞受賞作。夏の夜、若い男が鉄道の高架から転落し、猛スピードで走る車に衝突した。自殺か、他殺か。戸惑う所轄署の刑事課長は、飲み仲間である検事・久我周平に手助けしてほしいと相談を持ちかける。自殺の線で遺書探しに専念するが、このセールスマンの周辺には灰色の影がちらついた。ペーパーカンパニーを利用した輸入外車取引、ロッカーから見つかった麻薬と現金――死んだ男は何者なのか。交番巡査有村、新人の女性検事倉沢ひとみとともに真相に迫る。さすが著者は元検察担当の現役記者。豊富な取材経験と知識をもとに描かれた捜査や取調べのリアリティが面白い。主人公の地検浅草分室の検事久我周平のキャラと久我を指導官仰ぐ任官1年半の倉沢ひとみのキャラいい。検察庁という派閥と出世争いのパワーゲーム序列社会の嫌がらせ苛めに憤慨させられ、地味な検事の仕事ぶりとその矜持がよくわかった。映画の名セリフを織り交ぜながら、笑いやほろっとさせるシーンもあって感動させられた。法曹ドラマでもあり主人公の家族や人生も織り込まれていて続編も楽しみな小説でした。
2021年9月小学館刊
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中山七里著「棘の家」

2022-12-30 | な行
主人公はクラスで起こるいじめに目を反らすような、事なかれ主義の中学教師、穂刈慎一。小6の娘由佳がいじめで飛び降り自殺をはかり重症を負うが、被害者の親になってしまう。
 加害児童への復讐を誓う元教師の妻里美。穂刈を責める中2の息子駿。家庭は崩壊寸前だった。そんな中、マスコミを利用しようとするが、犯人と疑われていた少女の名前が何者かにインターネットに書き込まれてしまう。追い込まれた穂刈は、教育者としての矜持と、父親としての責任のあいだで揺れ動く・・・。いじめを巡る教育問題を家庭の社会問題として描かれていて面白い。しかし、亡くなった女の子がどういった子なのかその家族の掘り下げ不足。後半明らかになる犯人の意外性は認めるが動機に難点を感じる。主人公のクラスのいじめはどうなったのかも中途半端で消化不良、もともと主題の学校のいじめ問題は読んでいてストレスが溜まる話で加害者でも被害者でも生活が脅かされ、ネットという終わりのない誹謗中傷や悪意はとても難しいテーマで読了後の後味は良くない。色んな悪意がチクチクしてまさに棘の家。
2022年5月角川書店刊
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中山七里著「ラスプーチンの庭」

2022-11-11 | な行
社会派医療ミステリ。中学生の娘・沙耶香を帝都大学付属病院に見舞った警視庁捜査一課の犬養隼人は、沙耶香の友人の少年・庄野祐樹と知り合う。長い闘病生活を送っていた祐樹だったが、突如自宅療養に切り替え、退院することに。1カ月後、祐樹は急死。犬養は娘と一緒に告別式に参列するが、そこで棺桶に横たわる祐樹の遺体の身体に奇妙な痣があることに気が付く。やがて同時期に同じ痣を持った女性の自殺遺体が見つかり、本格的に捜査の許可がでて聞き込みが始まる。やがて2人共「ナチュラリー」という民間医療団体で民間療法を受けていたことが解るのだが・・・。藁をもすがる家族の心理をついた芸能人や政治家が治ったという影響力ある人の発言で広まった民間療法、ハンガリー大学卒の医師と称する主宰の謎の男「ラスプーチン」の「素顔」と、団体設立に隠された真の狙いが謎解きになっている。高額な保険無摘要薬の使用の問題点や民間療法の闇を描いた医療ミステリで読みごたえはあるのだが初めに登場する姉妹の動機に難を感じた。
2021年1月角川書店刊

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永瀬準介著「殺し屋の息子」

2022-10-09 | な行
引退刑事と元極道が「平成の刀狩り」に封じた過去が、裏社会に血の嵐を巻き起こす。昭和のオヤジ二人。冷血善次郎と名を馳せたケンカ極道・明石善次郎は出所後に元舎弟の安田を嬲り殺し現金1億円を奪って逃走。刑事を定年退官した藤原勝巳(62歳・警備会社勤務)に元部下の坂口(警視庁刑事部捜査一課課長)から明石を殺してくれと依頼が。藤原は断るが今度は元不倫相手の部下橘沙耶子(公安部係長)から明石を殺せとの依頼。藤原と坂口は新宿署時代に明石とズブズブの関係で拳銃の摘発で功績上げ出世した過去がある。極道も恐れるギャグ集団"ゼウス"の山王と新規事業を起こそうとする若者、南部洋介(29歳ギャング集団ゼウス、高校中退・前科一犯)と一之瀬賢斗(元大手化学メーカー研究員、東大大学院卒、遺伝子工学専攻、児童養護施設出身)が絡み、話が展開される。前半は話が飛び読みにくいなぁ~、と感じていたが、中盤以降は一気。疑問のあれもこれもそれも回収され、果たして息子は誰か、過去の事件事柄の真相が明らかになるクライムエンタメミステリーでした。
2022年6月中央公論新社刊 


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