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読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

有川 浩「フリーター、家を買う。」

2009-09-09 | 有川浩
主人公である武誠治は、大学卒業後に就職はしたのだけれど、会社の体質が自分には合わないと3ヶ月で退職、フリーターで職を転々としながら居心地の良い実家に引きこもりを状態だったのだが、母親は重度の精神病・鬱病で言動がおかしくなったからさあ大変。
原因は長年による家の近所からのイジメ。「母さん死ぬな―」。
一番の治療法は他に引っ越すこと。
自己中の父親は当てにならないへなちょこな25歳が嫁に行った姉から喝を入れられて一念発起!・・・目標:就職する。目標、100万円金を溜める。
やり甲斐とか、本当にやりたい仕事とか、言ってる場合じゃないと・・・。
崩壊しかかった家族の再生と、「カッコ悪すぎな俺」の成長を描いた勇気と希望の再生物語。
自分が駄目だったことを認め、それを生かして仕事につなげていく展開部分は痛快。
特に、人材募集のキャッチコピーなど「ダメな就活」が徹底的に解説されており、シュウカツ中の人には実用的。
姉さんといい、彼女といい、この著者の本に登場する女性陣はいつもかっこいい。
最終章で後輩の視点から語られる後日談が面白い。
「予期せぬ矢を射られないためには、矢を射られそうなタイミングを回避する事。そのためには、むやみとひとに突っかからない。蔑ろにしない。」

2009年08月  幻冬舎 刊
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有川浩著「三匹のおっさん」

2009-07-08 | 有川浩
連作短編6話。主にSF・ミリタリー色の濃い著者だが「ラブコメ」や「阪急電車」と同じ部類か。
「三匹のおっさん」とは…定年退職後、まだまだジジイではないと近所のゲーセンに再就職した剣道場の師範キヨ。
柔道家で居酒屋「酔いどれ鯨」の元亭主シゲ。
機械をいじらせたら無敵の頭脳派、工場経営者のノリ。
キヨの孫の祐希とノリの娘の早苗の高校生コンビも手伝って、詐欺に痴漢に動物虐待…身近な悪を成敗。
還暦を迎えた元悪ガキの3人が最近物騒になってきた町内でボランティアの自警団を結成しての地域限定正義の味方を始める!
カラオケ店の売上金をチンピラから守り、強姦まがいの痴漢をひっとらえ、振り込め詐欺紛いを阻止し、虐待カモを見張るため夜の学校を見回り、スカウト詐欺をこらしめ、悪徳商法の拠点を探る。
元気な彼らに加えてのフレッシュな祐希と早苗のほのぼの恋愛の行方も面白い。
那須正幹著「ズッコケ中年三人組 age43」を以前読んだがこの本は37歳の女性らしい感性で若い女性の心理の細やかな描写が生きている。
ダサいジジイ脱出の為のファンションの薀蓄も為になる。
挿絵もいい味出してます読み出したら止まらないほどに魅力的な3匹のおっさんだ。シリーズ化も期待します。
2009年3月 文藝春秋刊 
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有川浩著「 阪急電車」

2008-12-25 | 有川浩
電車は、人数分の人生を乗せて、どこまでもは続かない線路を走っていく。
恋の始まり、別れの兆し、そして途中下車・・・関西のローカル線を舞台に
繰り広げられる、片道わずか15分の胸キュン物語。
阪急電車の今津線、宝塚駅から西宮北口までのわずか8駅を一つづつ進む
たび毎にバラエティに富んだいろんな人々の日常描写と群像劇。
その中で繰り広げられる日常はあくまでどこにでもある普通の日常のこと。
若いカップル圭一とごんちゃんの話、小さな子とおばあちゃんの会話、
恋する女の子の悩みや葛藤、過去に決別すること男との別れを決意したミサ。
翔子とショウコの出会い。
主人公を変えて一駅ごとの物語が語られ、それぞれが相互に関連し合い、
折り返し地点から電車は時間を経てその後の主人公達をまた運んでいく
・・・人生の決定的な瞬間が鮮やかに描かれた傑作電車を舞台にした短編連作。
2008年1月 幻冬社刊 1470円
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有川浩著「ラブコメ今昔 」

2008-12-15 | 有川浩
自衛官を題材にした恋愛小説が得意な著者の前作「クジラの彼」から自衛隊ラブコメ第二弾。
更に進化した自衛隊員のベタ甘恋愛短編集だとか。
突っ走り系広報自衛官の女性(千尋ちゃん)二尉が鬼の上官に情報開示を迫るのは、「奥様とのナレソメ」。双方一歩もひかない攻防戦の行方は?・・・「ラブコメ今昔」
出張中新幹線の中で一目ぼれ、超かわいい年下の彼は海上自衛官だった。海上勤務で遠距離恋愛も恋する二人にはトキメキの促進剤だったけれど・・・「軍事とオタクと彼」
「広報官には女たらしが向いている」と言われつつも彼女のいない政屋一尉が、仕事先で出会ったいい感じの女性。だが現場はトラブル続きで・・・「広報官、走る!」
ブルーインパルスに乗る旦那。かっこいいのはいいことだ。
旦那がモテるのもまあまあ赦せる。しかし今度ばかりは洒落にならない事態が。
追っかけファンが妻の私に挑戦状・・・。・・・「青い衝撃」
よりによって上官の愛娘と恋に落ちてしまった俺。
彼女への思いは真剣なのに、最後の一歩が踏み出せない。・・・「秘め事」
「ラブコメ今昔」で登場の千尋ちゃんの恋のなれそめ編。
積極性で攻めまくる元気自衛官の千尋ちゃん、自分の恋でもやっぱり攻め捲ったけれど自分の恋はいっこうにままならず。・・・「ダンディ・ライオン~またはラブコメ今昔イマドキ編」
「どうしてこの2人が…」と年上部下と年下で上司の千尋ちゃんのイマイチ不明な
カップルが何故くつっいたのかこの章を読むと納得出来ます。
怖い上司の若き日の純情模様、人妻の家庭内ラブコメなど多彩な「恋」を
描いた5つの短編集。
「青い衝撃」・・・ミステリーぽい意外な展開でいちばん面白かった作品。
素敵な恋愛がいっぱい癒されますよ!
2008年1月 角川グループパブリッシング 刊
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有川 浩著 「海の底」  

2007-12-21 | 有川浩
はじめて読んだ気がする「怪獣小説」ともいうべき小説です。
年数回行われる米軍横須賀基地の基地開放の桜祭りの日に、ザリガニに
似た巨大甲殻類の大群が襲ってきた・・・
ガシャガシャ赤い絨毯のように這って来て、逃げ遅れた人を
襲い食っている・・・津波のようになって逃げ惑う人々・・・
夏木三尉と冬原三尉が逃げ遅れた基地見学に訪れた15人の
少女少年を助けてとっさに逃げ込んだのは潜水艦埠頭に接岸中
の潜水艦「きりしお」の中だった・・・

著者の有川浩はてっきり男性だと思って読み進めたらやたら、
女性と子供の描写がリアル途中プロフィルを見て
「ありかわ・ひろ」女性とびっくり・・・

人間を捕食するレガリスの大群と戦う警察の苦闘。
前代未聞の大惨事に、型破りな指揮官と最前線で命を張る機動隊が、
プロの意地と誇りを胸に、一丸となって立ち向かう。
ゴジラ映画を見るような電撃作戦など怪獣と人間の対決が、
臨場感たっぷりと描かれる。もうひとつ、閉じ込められてしまった
少年少女たちと、2人の海上自衛隊実習幹部の人間ドラマも面白い。
同じ町内で暮らす少年少女たちは、地域社会の矮小な人間関係を、
無意識に狭い潜水艦「きりしお」に持ち込む。彼らの、
異常な環境と、いままで無縁だった2人の大人の存在により、
新たな自我を獲得していく、成長小説部分も楽しめる。
2005年6月 メ㈱ディアワークス 刊  値段 1680円  
☆☆ ☆ ☆☆☆☆ ☆ ☆

コメント (2)
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有川浩著「クジラの彼」

2007-09-24 | 有川浩
恵美がピンチヒッターで行った合コンで出会い、つき会いはじめた男は
クジラのような潜水艦に乗る男だった。・・・表題作
航空設計士として絵里は、空自の次期世代輸送機のトイレを
めぐる攻防で出会った男との恋愛を描いた。「ロールアウト」
隊員同士の恋愛を扱った「国防レンアイ」
潜水艦乗りの隊員の男の立場から彼女との付き合い描いた「有能な彼女」
あのフェンスを乗り越えれば彼女に会える・・・
駐屯地や基地から脱走する話し
「脱柵エレジー」
女性パイロットとの恋愛を描いた「ファィターパイロット」

どの短編も自衛隊に取材して国防を仕事とする
男女の日々いついて書かれた心温まる愛の短編集。

角川書店1400円2007年1月刊

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有川浩著「塩の街」

2007-08-26 | 有川浩
あとがきに
第10回電撃大賞<大賞>受賞作にて有川浩のデビュー作。
『塩の街』が、本編大幅改稿、番外編短編四篇を加えた大ボリュームで
ハードカバー単行本として刊行された。・・・とある再刊行本
☆☆ ☆ ☆☆ ☆ ☆

宇宙から飛来した謎の巨大物体が、世界中に落ちて・・・その時から
生きている人間が塩の塊に変化し、その後もその被害は、
原因不明のまま「塩害」として続いていく。
そして、そんななか、普通に暮らしていては出会うことなかった、
女子高生・小笠原真奈と空自の戦闘機乗りだった秋庭高範が出逢い、
静かに暮らす二人の前を、さまざまな人々が行き過ぎ暫くは平穏だったが、
塩害に侵され残された時間がわずかしかない2人の人間と関わったことで、
二人の意識が世界が再び変わることになるという・・・・。
塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。塩は着々と街を飲み込み、
社会を崩壊させようとしていた。その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女。
非常時の極限状況における3組の男女の愛の形(野坂夫妻と入江を主人公とする短編エピソード)を女性の立場から描かれた近未来SF作品。

「恋する女性の想いは一途で強いです」それにくらべて男は・・・?

自衛隊を描いた小説でもあります。
イラクに赴任する自衛官の生活をちょっぴり思った作品でした。 
2007年メディアワークス 刊
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