メランコリア

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リンドグレーン作品集 8 名探偵カッレくん リンドグレーン/作 岩波書店

2023-08-05 12:19:14 | 
1965年初版 1985年 第22刷 尾崎義/訳 エーヴァ・ラウレル/挿絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します



【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください



リンドグレーンの最も知られた作品は『長くつ下のピッピ』かもだけど
一度も読んだことがなく、本書が初めて

平和なスウェーデンの小さな町で、叔父がそわそわしているのは
恋人からの手紙でも待ってるくらいだと想像して読んでいたら
結構、本格的な事件で、ホームズを思わせる名探偵を目指す少年が
本格的な捜査をしつつも、少年らしさもちゃんと描かれていて
満足した痛快物語だった

挿絵も世界観がよく出ていて好き



【内容抜粋メモ】

登場人物
カッレ・ブルムクヴィスト 名探偵を目指している13歳の少年
ヴィクトル・ブルムクヴィスト 食料雑貨店を経営している父

アンデス 別の町に住む靴屋の息子
エーヴァ・ロッタ・リサンデル カッレの隣りに住むパン屋の娘
エイナル ロッタのママのいとこ

シックステン 郵便局長の息子
ベンカとユンテ

ビョルク巡査
トゥーレ・クルークとイーヴァル・レーディグ(アットゥルとチョンメン)


●名探偵をめざすカッレ




タバコを入れていないパイプをくわえて
ホームズ、ポワロ、ウィムジイ卿らと同じ
名探偵をめざしているカッレ

ロンドンの貧民街やシカゴの暗黒街に生まれたいと思っていても
ストゥールガータン街は毎日がとても穏やかで平和

親友のアンデスとカッレは、エーヴァ・ロッタが大好きで
将来、結婚したいと思っている






●怪しいエイナルおじさん
エーヴァ・ロッタの叔父が会社を辞めて、外国に行こうかと思いついて厄介になる

町の一番の名所の城跡見物に行こうと誘う
地下には穴牢がたくさんあり、迷路になっているため、ドアに鍵がかけられているのに
エイナルおじさんは合鍵を持っていて開けてしまう

3人は興奮して、自分たちの名前を壁に書く
ここに来たことは、他の人には秘密だと念を押すエイナルおじさん

喫茶店でジュースをおごってくれた時
ストックホルムの新聞の記事を食い入るように見る





その後、金物屋で懐中電灯を買うのを見て
ますます怪しいと思い、その新聞をもらってくるカッレ


●『サーカス・カロッタン』
ヒマな3人は、エーヴァ・ロッタの父が経営する
パン工場の外でサーカスを披露しようと計画

屋根部屋から綱をつたって出入りして、馬に乗る出し物などを考える
団長はアンデス

カッレはエイナルおじさんの手紙を出しに行く時
「ストックホルム局留 ローラ・ヘルベルィ宛」
という文字を手帳の「不審人物覚書」にメモする

エイナルおじさんは、エーヴァ・ロッタの飼い猫
ツッセのしっぼに缶を結んでパニックを起こさせて笑う

泣くエーヴァ・ロッタに「静かにしないと、体中の骨を折るぞ!」と脅す(サイアクだな/汗


●城跡の地下室
カッレが深夜に起きて、外を見ると、エイナルおじさんが非常はしごで窓からおりて
道具納屋に入るのを見て、本格的に尾行が必要だと判断する

翌日、逆立ちして見せた時にポケットから合鍵が落ちたのをこっそり盗む





カッレは合鍵を使って城跡の地下室に入ると、昨日書いた3人の名前が消されていた
そして、階段下に小さな真珠を1つ見つける






●命知らず三人組
カッレは、いつも架空の聞き手相手に名探偵になりきって推理を話す
事件解決には証拠が必要で、エイナルおじさんの指紋採取を計画

サーカス当日、町の子どもや、3人の両親らで満席
馬に華麗に飛び乗る予定が、馬はのんきに草を食べて失敗
エーヴァ・ロッタはシャンソンを歌って場をもたせることができた






その後、コーヒーがふるまわれ、エイナルおじさんは夜眠れないとこぼし
リサンデルおばさんは睡眠薬をあげると言うのを聞いて
指紋採取の絶好のチャンスと思う


●夜中の指紋とり
夜2時に起きて、非常はしごでエイナルおじさんの部屋に侵入
スタンプインキを手に塗り、紙に親指の指紋をとる

帰りに、鉢植えをひっくり返して、エイナルおじさんが起きてしまい
枕の下に隠したピストルを突き付ける






カッレは以前、夢遊病で病院にかかったことを思い出し
眠り歩きのクセが出たとごまかす

翌朝、リサンデルおばさんがエイナルおじさんに睡眠薬をあげ忘れたと話す


●エイナルおじさんを探す2人の男
カッレはビョルク巡査に会い、犯人を見つけたらどうすればいいかと聞くが
誰もカッレの名探偵ぶりを真面目に聞いてくれない

ホテルの番頭にエイナルはいないかと聞く不審な男2人組
指で新聞に2つ穴を開けて監視する

ローラに出した手紙で居所がバレて追ってきたぽい
宿帳を盗み見て、トゥーレ・クルークとイーヴァル・レーディグという名前と分かる

車のナンバーをメモし、右後のタイヤだけ新しいため、その模様も書き写す!


●バラ戦争
宿敵シックステンと仲間のベンカとユンテは
「大平原」と呼んでいる広い公有地で待ち合わせることに決まる
「白バラと赤バラの戦争」ごっこは夏休みの格好の遊び

カッレはカエデの木の上で監視する

川幅2mのところに橋がわりの板がかけられていて
シックステンらが通る時にズラして水びたしにし、屋根部屋に籠城する





アンデスがトイレに入ったため、外からカギをかけられ、指揮官が捕虜となる
エーヴァ・ロッタはトイレの屋根にのぼり、カギを外して、アンデスは逃走したが
逆にエーヴァ・ロッタが捕まってしまう





赤バラ軍は、郵便局長の家のガレージが司令部で
エーヴァ・ロッタはそこに監禁される

カッレは木の上から例の2人組の男を見つける







エイナルおじさんは、アットゥルらにピストルを突き付けられ
3人で盗んだモノを山分けする計画が
エイナルおじさんが独り占めして逃げたことが分かる


●宝石どろぼう
新聞の速報ニュースで、銀行重役の家に合鍵で侵入し
巨額の宝石が盗まれた事件の記事が載っている

エイナルおじさんは宝石を城跡に隠したのだと分かり
ストックホルムの警視庁充てに手紙を書き、指紋の紙を同封して投函する
私立探偵カール・ブルムクヴィストとして






●ブリキ箱の中の宝石
3人はパン工場の屋根部屋を白バラ軍司令部にして
ブリキ箱にこれまでの講和条約文や秘密文書などを入れてしまっている
指揮官のアンデスは鍵をいつも紐に通して首からかけている





カッレは2人に事件について話して協力を求めると
エーヴァ・ロッタは白旗をたてて、赤バラ軍に無条件降伏を申し出る

3人は宝石を探しに城跡の地下室に入る
階段の石がズレていたため、そこを掘ると
自分たちと同じ金物屋で買ったブリキ箱の中に
10万クローナ分の宝石がしまわれていた

ブリキ箱を司令部の屋根部屋に隠し
ビョルク巡査に話しに行くと出張で明日帰るといわれる


●縛られたエイナルおじさん
エーヴァ・ロッタの家の女中フリーダに聞くと
2人の男から手紙をもらったエイナルおじさんは出かけたきり戻らないという

カッレらはエイナルおじさんの部屋を家宅捜査する
ゴミ箱に破ったメモを見つけて、パズルのように合わせると
宝石は山分けしようというアットゥルからの手紙で
これも証拠になると、タバコの箱に詰める





城跡の地下室に入ると、エイナルおじさんが縛られてひと晩過ごしたことが分かる


●地下室に閉じこめられる
アンデスが警察を呼ぼうとすると、アットゥルとチョンメンが来て
エイナルおじさんは、3人が宝石をとったと説明





仕方なく宝石の隠し場所を教えるが、3人は地下室に閉じこめられる
エイナルおじさんは、安全な場所まで逃亡したら
3人の居場所を手紙で知らせると言ったがウソかもしれない


●赤バラ軍
食べ物はエーヴァ・ロッタが持っていた甘パン(どんなパンだろう? なんか美味しそう)3つだけ
叫んでも人気がない場所
エイナルおじさんの懐中電灯を持って、暗い迷路を探検する

その頃、ストックホルム警視庁の2人の刑事が私立探偵ブルムクヴィストを探しに来た
現場の指紋と同じ指紋を送ってきたと話すと、ビョルク巡査はカッレの住所を教える

赤バラ軍は、白バラ軍が急に戦いを止めた理由が気になり
屋根部屋に来て、マンガを読んだりして寛いでいるため
エイナルおじさんは待つしかない


●地下室を脱出




ようやく1階に通じる階段を見つけて外に出た3人
宝石を取り戻した3人が黒いヴォルヴォで逃げるのを見る

家には刑事が待っていて、パトカーで逃走車を追う
分かれ道になり、タイヤ跡を見て、正しい道を教えるカッレ!

犯人らはパトカーに向かって発砲し、3人は車の床に隠れる
ビョルク巡査の弾がタイヤに当たり、犯人は逮捕される
アットゥルは有名な極悪人だった





ブリキ箱を開けると、中から白バラ軍秘密文書などが出てきて、3人は爆笑する
慌てておたエイナルおじさんは、同じ箱2つのうち間違えて持ってきていた


●ふたたびバラ戦争
翌日の新聞の一面には、ブルムクヴィスト名探偵の写真と活躍記事が載る
被害者の銀行家から1万クローナをもらい、3人で分けたのは本当?!

ブルムクヴィスト氏:
ぼくは金銭のためにやっているんじゃない
社会における犯罪を撲滅するのが唯一の目的だ
悪事は損だ 正直がいちばん長持ちする

アンデスはシックステンに「鼻たれ小僧!」と言って
ふたたびバラ戦争が始まる






訳者のことば

アストリッド・リンドグレーン
1907年 スウェーデン生まれ
小学校教師などした後、作家となる
テレビ、映画など、多彩な活動もした
本書では、とくにスウェーデンの子どもたちの生活を生き生きと描いている





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