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メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『こころ』

2007-12-16 12:25:08 | 映画
『こころ』(1955)
原作:夏目漱石 監督:市川崑
出演:森雅之、新珠三千代、三橋達也、安井昌二、田村秋子、鶴丸睦彦、北林谷栄 ほか

昔の邦画も次々とDVD化される中で、こうしてまた森雅之の出演作品に出逢えることはほんとに感激×3000。
日本文学には疎いので、この名作ですら学校の教科書で見かけたくらいの記憶しかなく、
こうして映像化されることで改めてその素晴らしい価値に触れることができた。

story
学生・日置は、海辺で波に飲まれんとするかのような野淵を見てから、その影のある雰囲気と人間哲学に惹かれ、先生と慕ってきたが、甲斐甲斐しく身の回りの世話をする美しい奥さんとの申し分ない生活の中にもどこか不可解な溝があることが気にかかり、問いただすと、
野淵は、「わたしは自分自身を信じていないから、他人も誰ひとり信じることができないのだ。
 しかし、君だけは信じたい。いつか必ずワケを話すが、いまじゃない」と言う。
奥さんもほんとうのワケを知りたがるが、どうやら書生の頃、ともに下宿をしていた親友・梶に関係があるらしい。。

時代は明治天皇崩御とともに、まさに大正へと変わろうとしている頃。
女性はまだ髪を結い上げていたし、男も袴で歩いていたりしているけど、
いろんな文化や思想が大きく変わろうとしていた熱が感じられる。明治もまた魅力的な時代だな。
この頃って、若くてもみんな力強い信念を持ってて、友人同士の会話でも思想のぶつかりあいが真剣ですごい。
親子や兄弟関係にしても、どこか一線を引かれたような秩序がある感じ。
でも、父親を失った一人娘の結婚相手を選んで、したたかさも見え隠れする母親にもある通り、どんな時代・場所でも、女は政治や秩序とは別に雄々しく暮らしに根ざして生きていたんだな。

固い友情すらバランスを崩す恋のチカラ、そして、結婚してもなお幸せになれなかった友情のチカラ。
強くも、弱くも、悪にも、善にもなりきれない、真摯であるがゆえに苦しんだ悲劇の話だ。

森雅之のただ、ただ、耽美な美しさにみとれるばかりであります。。(はぁ~・・・
新珠三千代もキレイだなあ!少女時代を本人が演ってもまったく違和感がない。
それにしても昔の邦画って、なぜ子役を使わずに本人がムリムリ学ランとか着て頑張ってるのか?w
髪をザンギリにした森雅之と三橋達也もまた貴重だけど。
たしかな感動が残る素晴らしい1本



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