メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

少年少女サスペンス推理 7 尾行された少年たち ポール・ベルナ/著 学研

2023-07-25 19:16:24 | 
1974年初版 榊原晃三/訳 高須賀優/絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください


ものすごい茶色くなった本が他館から届いた/驚
こんな状態でも借りられるのがありがたい

2人の幼い兄弟だけで旅をするだけでもドキドキなのに
家出した金持ちの子と間違われて追われる展開になり
さらに面白さが加速する

自分がもし同じ立場だったら、誰に助けを求めたらいいか?
どう行動したらいいか、考えながら読み進めた

14歳でここまで自立した行動ができるのもスゴイ
さらに幼い弟とペットまで一緒だと余計に難しい
一人のほうが身軽だけど、守るべき存在がいたほうが
ヒトはしっかりできるのかもね

おじいさんがどんなに計画魔だとしても
その通りにいかないのが現実

求められるのは、計画通りに完璧にこなすより
臨機応変に自分で考えて行動する応用力なんだな


【内容抜粋メモ】

登場人物
ダニエル・カン 14歳
マヌー 弟
パタポン 祖父からもらったマヌーのペットのモルモット

パスカル 長男 ダニエル兄弟の父 妻リュシー アルモリック号
ジェローム 次男
ジュール 三男 妻エルビザ 子ども2人

バルボトン 秘密探偵社社員

スティーブとベニー ジャクソン・ヴィラール家の兄弟


この物語の舞台を読後にGoogleマップで確認してみた












●おじいさんの「移動指令」
ダニエルとマヌー兄弟はパリのレジナホテルに泊まり
翌日は汽車に乗って、駅で両親と落ち合い
シベルタの別荘“エショラ荘”で祖父母や親戚一同と会う計画

祖父は計画魔で、近所に行くにも綿密すぎるほど
時間、道順、スケジュールなどを書いたメモを渡すのが大好きで
今回も家族みんなに「移動指令」が渡されていた

ダニエルは幼い弟とペットのパタポンの面倒をみる責任を負っている
自宅のあるヴィッテルからパリのホテルまでは計画通り、完璧だった

その夜、マヌーを寝かしつけるために物語をつくって話す
マヌーとパタポンが旅に出て、途中で財布をなくしたために徒歩になり
空腹に耐えかねてパタポンを食べようとするが
マヌーが反対したため止めて、シベルタに無事着く話にする

祖父の3人の息子らは、それぞれ陸路や航路で
7月15日の約束の日までに着く予定


●計画のズレ
祖父母の治療が長引いたことから計画が崩れはじめる

ダニエルとマヌーは両親と会うためにサン・ラザール駅に向かうと
鉄道、タクシーともにストライキで大混乱!





ホテルの支配人エベール氏は、祖父からの手紙をもらっているため
兄弟の面倒をよくみてくれる







アルモリック号の乗客はパリまで来たが、両親はまだ着いていない
ル・アーブル港で滞在しているのかもしれないと教えてくれる

長距離電話は1日中混んでいて、連絡も不可能
でも、明日になれば祖父母がパリに来るから
宿泊を1日延ばしてもよいと考える

祖父母が泊まるヴィッテルのホテルに電話を申し込むと、夜まで待たされた挙句
ホテルのスタッフからジュール一家が交通事故に遭ったため、南フランスに発ったと言われる

(スマホがない時代はこうしたすれ違いが起きたよね・・・/汗


●2つの電報
祖父からと父パスカルからの電報が届き
どちらもストや事故の事情が通じてないと分かる
再びサン・ラザール駅に行くと汽車が動く気配はなく大混乱のまま

階段のうしろで声がして振り向いたところを写真に撮られる





北アメリカ汽船会社の旅客案内係でアルモリック号のカン夫妻について聞くと
なぜかサザンプトンに上陸したと言われる
兄弟はホテルに戻る際、スタッフにホテル名を教える

父から祖父宛ての電報には、急な仕事が入ったため、シベルタに直行するとある
兄弟もホテルの高い部屋に留まるより、シベルタにバスで向かうことを選ぶ


●やぶにらみの男 秘密探偵社のバルボトン
新聞の一面にダニエル、マヌー兄弟の写真が載り
富豪ジャクソン・ヴィラール家の家出した兄弟と間違われる

秘密探偵社のバルボトンはカン兄弟がホテルから出たと聞いて尾行をはじめる


●バスの切符
バイヨンヌ、ビアリッツ方面に行く臨時のバスが出ているアンバリッド広場に行くとここも大混乱
ホテルの支払いをした残金を数えて心もとないダニエル

優先的に切符を売ってあげようと言う優しそうな男に60フラン払って切符を2枚買うが
運転手に渡すと2人は騙されたと分かる!





モメているとすぐに警官が来て、彼らも2人が家出少年だと思い、そのまま待つよう指示する
取り調べを受けたりしたら、さらに面倒に巻き込まれると判断したダニエルは逃げる隙をうかがう
マヌーは自分たちをずっと尾けているやぶにらみの男に気づく

男女の旅行者が、長距離トラックが荷物といっしょに
どこにでも連れていってくれると情報をくれる


●長距離トラック
教えてもらった「ボーブール広場」を探しても見つからない
それは名前ではなく、トラック運転手が停める場所を
そう呼んでいるだけだと教えてくれる新聞売りの女性





サン・マルタン街の角にあるコーヒーショップの奥の部屋に運送屋の事務所があり
シャルロが荷物の電話を受けると運転手が引き受けて
同じ方向に行く客を乗せていくシステム

会計のジュリーにわけを話すと、長く待つことになる
そこに兄弟を探す警官が来る

ダニエルは新聞に自分たちの写真が載っているのを見て驚く
スティーブとベニー兄弟は両親が離婚したら
兄弟が離れ離れになるのがイヤで家出した

荷物でいざこざがあったり、遅れたりしたら、最高2000フランの罰金のため
面倒に巻き込まれたくない運転手らは兄弟を乗せるのを断る

夜になり、お腹の空いた兄弟に老給仕が夕食をタダでごちそうしてくれる
(こういう親切は身に染みるね

古いトラックに乗る老人ペイロールは兄弟の事情を知り
自分がバイヨンヌまで連れて行き、その先は友だちに頼むと言ってくれる
祖父の波止場の倉庫で昔、運転手をしていた縁があると分かる






●事故
重い荷物を積んだトラックを黄色いタクシーが尾けてくる
そこにはやぶにらみの男が乗っている

運転手仲間が、この先で警察が規制していて
全部の書類、荷物を検査しているから
子どもを降ろしたほうがいいと忠告する

ペイロールは彼が教えてくれた遠回りの道を選ぶが
途中で道を間違えて、細い道に乗り上げて
古いトラックは横転しバラバラになってしまう







奇跡的に怪我がなかったことを幸運に思い
警察が来る前に逃げろとうながす


●おんぼろ自転車
バス停留所まで歩くが、ストによる臨時バスは子どもも大人料金で足りないと分かる
まるで昨夜見た夢とおんなじ!

やぶにらみの男がパタポンをつかまえようとしているのを見て
「近寄るな!」と言ってもとぼけている

お金のない人、バスに乗れなかった人はヒッチハイクをしているが
それも早いもの競争でなかなか見つからない

17、8歳くらいの青年がサイクリングで500キロ踏破したと自慢するが
もう限界だからバスに乗るというので、自転車を売ってくれと頼むと
レモネードと引き換えにタダでくれる

ダニエルはマヌーとパタポンを乗せて
やっとのことでボルドーまで着くと同時に壊れる
「直せるよ!」という少年にパンと引き換えに自転車をゆずる

(こうした物々交換が本来の形だよな 親切の循環 エコでもあるv

兄弟は川沿いの小屋に野宿する


●パリ祭
電話をかけるのに残金を使うが、ビアリッツは出ない

ベンチで休んでいると、マヌーに瓜二つのベニーを連れたスティーブ兄弟と出会う!
自分たちが彼らに間違われている話をする






スティーブ:
お父さんは仕事に追われて家にいないし
お母さんは映画界へ戻りたいんだ
僕たちはこの6日間、キャンプ場で静かに過ごしていた
電報を打てば警察や記者の大軍が押し寄せてくる

ダニエルは彼らもシベルタに誘う

レストランで最後の20フランを全部食べてしまう
男の子の食べっぷりは爽快だな

郵便局からスティーブの代わりに両親に電文を打つ


●オープンカー
ヒッチハイクをするにも、4人ではさらに難しい
免許取り立てで初めての旅の青年がバイヨンヌまで連れていくと言う

彼はとんでもないスピード狂で、土手に突っ込んでもヘーキ/汗
白バイがきて“初めての違反切符”をきられる






クルマは煙を出して、とうとう停まってしまう
子どもたちに後ろから押してもらい、そのまま全速力で消えてしまう

やぶにらみの男もモーターバイクで通り過ぎる

4人はパリ祭の旗ざおをのぼってソーセージなどを持ってかえるゲームに参加する
太い木の棒にはわざわざ脂肪が塗りつけてあってよく滑る

一番最後に残った20ポンドの大ガチョウをダニエルが見事に捕まえて
マツカサ旅館の主人が料理してあげると提案し
少年たちはここでもたらふく食べる


●旅客列車
今夜も農家の小屋で寝泊まりしようとしていたら
機関車が停まっているのを見つけて、一等車で眠ることにする

翌朝、目覚めるとストが明けて、列車が走っている
運よく、バイヨンヌ行き

駅で捕まる前にスピードを落とした時に下りると
同じような切符のない客が5、60人降りた

シベルタまでバスに乗り、やっとエショラ荘に着いたら少年たちが一番乗りで
隣りのベグーおばさんにカギを開けてもらい
スティーブらは友だちだと紹介する

庭にやぶにらみの男が見張っていて、新聞にはスティーブらを見つけたら賞金5万フランとある
男はさらに値上がるのを待っているから、今すぐスティーブの両親に電報を打つことにする


●銃声
次に着いたのはイタズラ好きなジェローム叔父さん
事情を聞いて、男の耳元でゾウ撃ちの銃を撃つと慌てて逃げていく





次に着いたのはパスカル夫妻
ダニエルが5万フランをうけとったら、親切にしてくれたのに大損害をこうむった
ペイロールさんにあげたいと話すと許してくれる

ほかの親戚も全員揃い、祖父母のために、子どもの冒険談は話さず
移動指令の通りに無事着いたことにする







ジェローム叔父さんは、パタポンを狙う猫2匹にも銃を鳴らす
(こういうところが外国ぽいな・・・/汗

ヴィラール夫婦が来て、カン一家の仲の良さを見て考えを変える
ダニエルに5万フランの小切手を渡す

ダニエル:
今ではスティーブは、まだ頼ることしか知らない幼い者のために
どんなに気をつかって苦しんでやることができるかをよく理解しています

この言葉がヴィラール夫妻の胸を打つ
夫妻もしばらくシベルタに滞在することにする

シャンパンがないことに気づき、ダニエルが使いに行こうとすると
祖父は早速「移動指令」を書くが、その時はもう出た後だったw



訳者あとがき

ポール・ベルナ
フランスの有名な児童文学作家
原題は『シベルタへの巡礼者たち』

ダニエルの行動力、冷静沈着、少年らしい正義感、勇気を描くとともに
旅で出会うさまざまな人間、生活、人情も見どころ

『首のない馬』
『オルリー空港22時30分』など



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