メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『カフカの絵本』(小学館)

2012-09-25 13:34:11 | 
『カフカの絵本』(小学館)
フランツ・カフカ/著 田口智子/絵 たぐちみちこ/文

  

これぐらいのサイズで、絵が好みな絵本が大好き
分厚い書籍に挟まれていたりすると、つい手にとってしまう。


「恩返し」
帰ると家に鎮座していた卵からコウノトリのような鳥が孵化した。
男はいつかこの鳥に南の島に連れて行ってもらうよう契約し、育てることにする。

「生まれてきてどうするつもりなの?」

その後恩返しをしたのかどうか気になるじゃん!?


「初めての悩み」
空中ブランコ乗りの青年は、つねに空中にいなければ落ち着かない。
移動の途中で、網棚の上で「もう1本必要だ」と言って泣き崩れてしまう。

なんて繊細な空中ブランコ芸人。
まるで空に魅せられたサン=テグジュペリみたいだ。
額に初めての皺ってなんだか悲しい。


「羊猫」
父の形見で譲り受けた羊猫は、羊でもなく猫でもなく。
仕事に失敗した主人公を慰めてくれる。

こんなステキなコが傍にいてくれたらなあ
不気味な物語りばかり書いているイメージだったカフカが
こんなにもあったかい話も書いていたなんて/驚
1回読んだだけで胸が一杯になって大好きな話になってしまった。

羊と猫それぞれに会わせてみると、
「おとなしく顔を合わせて、それぞれの存在を認めあっているだけで終わってしまった」
って、とても動物らしくもあり、羊でも猫でもない半端な存在、
どこにも属せない孤独も感じた。


どれも緻密に描きこまれた繊細でリアルな画法。
とても素晴らしい才能をもった画家さんだ。
こうした最近出版された絵本の中には『MOE』出身者もいるだろうなあ!


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