メランコリア

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少女・世界推理名作選集 1 少女探偵ナンシー キャロリン・キーン/作 金の星社

2023-06-25 11:54:28 | 
1962年初版 1989年第30刷 土居耕/訳
ブックデザイン、カバー・イラスト、挿画/依光隆







「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください


このシリーズの1巻目を飾る少女探偵ナンシーは
大人の探偵や刑事顔負けな推理と行動力!

困っている人を助けずにいられない正義感
一度食らいついたら離さないタフさもある

事件も解決しながら、16歳の少女らしく
映画を観たり、ボートに乗ったり
ダンスパーティーに行ったりと体力は無限

行く場所、行く場所、事件に関係する人物に出会うのは
偶然すぎる気もするけれども
何をしていても、周りをよく観察しているとも言える

少女向けミステリーのプロだけあって
どれもとても面白くて、一気読み
大人気なのもうなずける

2人の親友が助手となって活躍するのもポイント

いくつかの事件が複雑に絡み合い
登場人物も多くて、ジュブナイルとはいえ
レベルの高い構成、展開

最初から怪しい人物のほかに
親切そうなウィルも意外と絡んでいるのでは?と思いながら読んでいた


【内容抜粋メモ】

登場人物
ナンシー・ドルー 探偵が趣味の少女
ドルー弁護士 刑事犯罪専門の弁護士 ナンシーの父
家政婦のグルーエン夫人

ジョージ・フェイン 男の子のような顔の少女
ベス・マービン ジョージのいとこ いつも真面目そうな顔の大人びた少女
ネッド・ニッカーソン ナンシーの親しい友だち
スティーブン・キーリー探偵

カーター夫人 猫屋敷に住む女性
バンスと妻モリー カーターともめている
ガス バンスが後見人をする体の弱い少年
オマール エジプト人のふりでインチキ占い師をしている
ベバリー・バレット 若い女優
ハーラン・ベイリー ネッドの友人
ホレース・ウィル 俳優


●まよい猫
ナンシーはタップダンスでモールス信号を伝える方法を編み出し
友だちのジョージとベスにも教えてあげる





その後、ドライブに出かけると、怪我をした猫を轢きそうになり助ける
とてもキレイなペルシャ猫で、自分で飼いたいと思うが
カーターという女性が迷子の広告を出しているため返しに行く


●カーター
一人暮らしで猫を25匹も飼っているため
近所とトラブルになっている

近所のバンスは、猫を手放すか、引っ越すかと迫る
その上、自分が後見人をしていたガス・ウーントンのことも持ち出して責める







まったく世話をしないのを可哀想に思ったカーターが施設に入れて、お金も出したが
施設からガスが死亡したという通知が来る

ナンシーの父が有名な弁護士と分かると急に態度が変わるバンス
バンスの妻モリーに話を聞くと、ガスには遺産があると言うが
否定するバンス

言い争い中に転んで怪我をしたカーターに同情したナンシーは
グルーエン夫人の親戚のビーリング夫人を手伝いに来させると
家の中で時々、妙な物音がすることに気づく


●バイオレット夫人
カーターの庭に毒エサがまかれて、猫が数匹死んだことにショックを受ける

そこにホレース・ウィルという俳優が来て、バイオレット夫人はいるかと尋ねる
カーターが女優だった頃に『踊るくつ』という劇の主演をしていた






ガスの話を聞いて、ウィルの遠縁にもラルフ・ウーントンという男がいるが
その夫婦に子どもはいない
ガスの父の名前と同じで驚くナンシーら

調べると、ラルフはバンスを秘書で雇っていた
バンスには前科があり、ウーントン夫妻が南アフリカ旅行中に亡くなり
ガスという子の遺産を請求し、あらかた使い込んだ

ウィルはドルー弁護士にバンスの遺産横領事件について依頼する







●バンス
ナンシーはバンスが証券会社のビルに入るのを見かけて追う
バンスがだいぶ大金を失った話を仲買人がしているのを盗み聞く

父の書斎にハシゴがかけられ、ウィルから借りた手紙の束が盗まれた
ナンシーの親しい友だちネッドも事件に興味を持ち協力する

バンスの家に行くと、慌てて家出していた
ドルー弁護士はスティーブン・キーリー探偵を雇って、事件を担当させる


●ベバリー・バレット
カーターは出費がかさんでいるにも関わらず
若手の女優ベバリーの生活費も支援していて
プライドの高さから、弁護士も雇えないことを言えずにいる

ナンシーは改めてバンスの家を探すと
カーターのペルシャ猫が数匹と、謎のメモが見つかり
ドルーから盗んだ手紙を道具箱に隠したとある

ナンシーが自宅の道具箱を開けると
中身は顔にアザのある黒人が持ち去った後


●遊覧船
ネッドに誘われて、遊覧船のダンスパーティーに行く

友だちのハーラン・ベイリーはダンスは下手だが
旅行家で、南アフリカの話からラルフが隣りに住んでいたと話す
黒人の召使がいて、顔にアザがあった!







船員ペネロがスタッフ船長に怒られているのを見かけるナンシー

遊覧船はほかのボートに衝突し、火事も出て、パニックになった客が
片方に寄ったため傾いて、大勢が冷たい海に投げ出される







ナンシーは大やけどを負った船長を助け出す
ペネロがしきりに船長のせいにしているのを聞くが
舵に仕掛けがされていたと船員が話していた


●エジプト式運勢判断所
ナンシーらは映画を観た帰り、ペネロを見かけて尾けると
「エジプト式運勢判断所」に入る
そこにはアザのある黒人もいる

エジプト人には見えない預言者オマールと熱心に話しているのを盗み見ていたら
お香がきつくて3人は意識を失う






3人を誘拐して身代金を取ろうと企み、部屋に閉じ込めるオマール
少女をどろぼうと思ったフリン巡査が助け出し
パトロールカーで警察署に連れて行く







一方、ドルー弁護士はナンシーがなにか事件に巻き込まれたと思い
郵便局に行くと、オマールの出した脅迫状を読み
12時間以内に指定した場所に3000ドル置けという指示がある

お金を置いて、その木の上にキーリー探偵が待ち伏せする

ナンシーが帰宅し、キーリー探偵と合流するが、オマールは来なかった


●スタッフ船長
ナンシーは船長を見舞う
新聞では船長の責任を追及し、資格を取り上げられると落ち込んでいるのを見て
気の毒に思い、ペネロについて保険会社に話すと、調査員が動くことになる







その後、ペネロから脅迫電話がかかってくる


●ニューヨーク
ドルー弁護士は心配して、しばらく町を離れるようすすめる
カーターからベバリーの住所がNYだと聞いて
ジョージ、ベスと一緒に出掛けると列車でウィルと再会する

彼は『踊るくつ』を再上演させ、権利金がカーターにいくように働いている
主演女優はベバリーを考えていると聞いて驚く

ニューヨークに住むベスの叔母ミラー夫人の家に泊る

ベバリーを訪ねると高慢な態度で
カーターがお金持ちではないと話しても信じないが
ウィルが来て、態度が一変する







カーターがベバリーを支援していた話をするとウィルも驚く


●汽船会社
ミラー夫人と食事しているレストランにバンス夫妻がいて尾けると
南アメリカに逃亡するらしく、船は来週出航予定







夫婦のホテルまで追い、キーリー探偵に電話すると
彼も逮捕状を持ってNYに向かっていて、明日朝着く予定

ナンシーはガスの施設に電話すると、ガスはまだ生きていた!
バンスが来て、後見人だと言って連れ出した

キーリー探偵とホテルに行くと、もう感づいて出たあと

NY観光をして、帰る際、改札でバンスと黒人に気づいて、帰宅を延ばして尾ける
スタッフ船長を騙してゆすっていることが分かる
ハーランが船長の行方知れずの息子と分かり驚く

ウィルはキーリー探偵と警察を呼びに行き
ナンシーは2人に見つかり、車で誘拐される








●マレー航海士
バンスらはマレー航海士を仲間にして、ナンシーも南アメリカまで連れて行くことにする
ジョージとベスが探しに行くと、マレー航海士が案内してくれてナンシーはいない

マレー航海士が怪しいと思い、もう一度船に潜入
壁から変な音がするという女性客の話で
ナンシーのモールス信号を思い出し
縛られたナンシーを見つけ出す







バンス夫婦は老夫婦の変装をして乗り込むところを逮捕される


●裁判
ガスはバンスの子どもだが、精神薄弱なのを恥じて
バンスがウーントン夫妻の子と偽り、後見人になって遺産を奪った
施設から連れ出し、農場に預けたが逃げ出してしまった

ウーントン夫妻の遺産はウィルが相続
『踊るくつ』の上演権を買い、カーターに渡す

ナンシーはカーターの屋敷の幽霊騒ぎを調べて
猫のエサの肉を食べに来たガスを捕まえる

農場を抜け出し、親切にしてくれたカーターの屋敷に隠れていた
その後、脳の手術を受けて元気になる

舞台は成功し、カーターとウィルは結婚する



解説 白木茂

キャロリン・キーン
少女ミステリーを専門に書くアメリカの作家
ナンシー・ドルー・ミステリーシリーズの最初の1冊は1930年に出版され
今でも大人気


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