メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

notes and movies(1997.7~ part1)

2013-09-22 10:51:54 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
今回は薄いオレンジ色のノートからご紹介。後半はアジア映画にも目覚めたっぽい。

  

photo1:ノート開くといきなりモルダーとスカリーの2ショットv
photo2:この頃はゲーセン、プリクラ、遊園地にハマってたw
photo3:家族で台湾に行った。

若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『クラッシュ』(1996)

監督:デビッド・クローネンバーグ 出演:ジェームズ・スペイダーデボラ・アンガー、ホリー・ハンター ほか
クローネンバーグが放つこの衝撃。暗闇にライトが揺れ、シルバーの文字が迫っては消える最初から
けだるい音楽とセリフの中で演じられる倒錯の性の世界。ここまできたかヒトの欲望の限りなさ。
カーフェチ、スピード狂、サド・マゾヒスティック、なんといおうか、生死の危険、極限のスリルに快感を覚える、
なさそでありそなとんでもない世界を垣間見た感じ。

ホリー、全身鉄パイプだらけのロザンヌ・アークエットほか美女の大サービスな競演といい、
J.スペイダーの退廃ムードがハマってる美しいヌード(インタビューでそればかり言われて機嫌を損ねた)、
過激なラブシーン(同性相手も含めて)、観る側も思わずひき込まれそうになるほど妖しく美しい映像。

ラスト、妻を事故らせ、殺したかと焦り悲しむどころか「この次はきっと・・・」と終わるあたり、
『セブン』他のスプラッタサイコより怖い。「愛のある精神障害だ」(たしかそーいってた)てあり
「交通安全のプロパガンダにウンザリしてた。事故ってかえってスッキリしたくらいだ」
1人1台車をもっている時代。事故のニュースも日常茶飯事。そのスキをついてヒトの精神的危機を訴えるショッキングな1本。


『海底2000マイル』(1996)
監督:マイケル・アンダーソン 出演:ベン・クロス、リチャード・クレンナ ほか
やっぱり原作のスゴさとの違いばかり気になって見劣りする。女性を加えたのはいかにもハリウッド映画らしい。
ネモ館長は自分から「ネモです」「ノーチラス号です」なんて説明したり、女を口説いちゃいけないよ!
「彼女は処女か?」なんて聞く、ただの根暗いスケベオヤジみたい。

海底探検ではネモが嫉妬からネッドの潜水服にフェロモンを塗ってサメに襲わせたり、もーなんだか分かんない。
「私は外界を憎んではいない。否定してるだけだ」とだんだんネモの人格が歪んでいく。

深海で巨大イカならぬ巨大ヒラメお化けみたいなのにくわえられて退治しようとした部下はあっけなく消化されちゃうのに、
ネッドはシンガポールで別れた妻の思い出話までして、銛を打ち込んで消化液かけられてもピンピンしてる。
なんでレーザー光線が効かないのに、銛と爆弾で助かるんだ
で最後はなんとネモ自らが決心して3人を海上へ解放し、ゴムボートまで貸してくれるし。

これで原作を元にしてるっていったらヴェルヌは怒り出すかも。
ま、前作のノーチラス号に比べればひと周り大きくてそれほどちゃっちいつくりじゃなくなったし、
実写で海中を撮れるから海中シーンはキレイ。
原作を読んでなければ、それなり感動したかも。CGや特撮技術で前作より映像はクリア。


『アディクション』(1994)
監督:アベル・フェラーラ 出演:クリストファー・ウォーケン、リリ・テイラー ほか
近年のドラキュラもののロマンティック系と対照的に『ゾンビ』や『デモンズ』系じっとりくる怖さ。
血みどろシーンでも生々しい醜悪感がないのはモノクロのおかげ。ウォーケンのシーンがもっとあればいいのに。
彼の吸血鬼を吸う吸血鬼役もっと観たい。『キング・オブ・ニューヨーク』『ボディ・スナッチャー』の監督。
ベトナム戦争やナチ虐殺の本物写真をアップに撮り、フツーのニンゲンの中に存在する邪悪さの怖さが伝わる。

でも、何千年も前からこんな調子で増えてたら、今ごろはとっくに世界中が吸血鬼のはず。
戦争、殺戮とヒトの歴史は、同類の生き血を吸い続けてきた。歴史の過ちからヒトは何も学べないといわれても納得。
テイラーのいかにも演劇っぽい演技も迫力。けしてリブ・タイラーにはできない役。
東京ファンタスティック映画祭の受賞作らしく、主催者のオヤジの前説がやけに長い。
ウォーケンはクローネンバーグの『デッドゾーン』でも受賞して来日したらしい/驚
作品中に「裸のランチは読んだか?」てセリフあり


『フェティッシュ』(1996)
監督:レブ・ブラドック 出演:アンジェラ・ジョーンズ ほか
チープだけど憎めない短編映画ってとこ。本当はすごい怖いことなのに、
これだけ殺人事件が日常茶飯事になると、それをおちょくるコメディがあってもあまり驚かない。
最初の味のある事件スケッチのクリップのポップさといい、この残虐かつ軽いノリはまさにタランティーノ。
スペインの熱い空気をスパイスに、途中で前作の犯人写真(タランティーノともう1人)が出るサービスまであり。
ジョーンズのコケティッシュではじけた演技が今作のメイン。


『バードケージ』(1996)
監督:マイク・ニコルズ 出演:ロビン・ウィリアムズ、ジーン・ハックマン ほか
次から次へとヒット作を飛ばし続けるロビンが、ちょっとだけスマートになって、抑え気味な演技で
ゲイ中年カップルの可笑しさ、悲哀、そして家族愛を演じた今作。
隠れコメディ派のハックマン、ダイアン・ウィースト、アップにも耐えられる濃くないオカマぶりで大活躍のN.レインがイイ。
サウスビーチってヌーディアンや同性愛者らが集まってるとっても自由なところなのね。
指輪やチェーン首輪、ちょっとした歩き方など、日本人には分からない「ゲイ風」ポイントに工夫ぎっしり、そんな勉強にもなる。
ショーガールに扮して逃げ出す時、思い切りハックマン顔なのに誰も気づかないのがおかしいw

「ヒトの数%は、必ず同性を好むよう遺伝子に仕組まれている」なんて説も現れるほど、
今や同性愛はポピュラーで映画界でもおなじみのテーマのひとつにまでなってるのに、
まだまだ生活の中では誤解や差別、プレッシャーが多い。
息子から「今でもまだ傷つくよ」とか「一晩だけよそに行ってほしい」なんて言われて
ゲイ両親の奮闘ぶりやショック、悲しみ、複雑な心境が伝わってくる。


『サロメの季節』(1984)

監督:クリストファー・フランク 出演:ベルナール・ジロドー、バレリー・カプリスキー ほか
これぞプチ・ブルジョワの世界か。遅く起きて昼じゅう浜辺で半裸で肌を焼いたり、ちょっと泳いだり、
冷たいものを飲んで、夜はパーティ、ディスコ、はたまた不倫、ひと夏の恋。
仏映らしく、言葉のやりとり、男女の駆け引きが巧妙で悲しい結末。
夏はこうして過ごしたいって見本みたい。暑い日差し、海、砂・・・
炎のようなロリータ、サロメと対照的な母(『妻への恋文』の女優)の大人の魅力がイイ。

「君にはゾッとする。君の未来の姿は分かってる。平凡な男と結婚して2人の子ども、血統書付きの犬、
 40まで俺みたいな男に出会わないかぎり夫には飽きる。でもそれで幸せだと思ってるんだ」
これまたキツイ文句だけど、真実は突いているかも。

ヒトを愛するって自分をコントロールできず、さらけ出すことなのかも。
「君は絶対母のような女らしさは身につかない」「愛してる」「君に似合わないよ」
すっかりしらばくれてクリスの犯罪は闇の中なの? 結局クリスは運命を変えられなかったのかしら?
小説のような構成。「エーゲ海に捧ぐ」もそうかな?


『ナッティ・プロフェッサー』(1996)
監督:トム・シャドヤック 出演:エディ・マーフィ ほか
nuttyは「一風変わった」だから、原題は「変な教授」。
この前の『ジキル博士はミスハイド』同様、CGふんだんに使って変身しちゃうSFコメディ。
肉の切れ目?も分からないメイク七変化もスゴイし、その上にエディのはじけた七変化演技が加わってトリプル変身。
どこまでもブラックな笑い。こんな家族いるんだろーなぁって思わせる親近感がエディの笑いのツボ。

「見た目じゃない。自分自身を認めることが大切だ」ってのが今作のテーマ。
ラストは七変化演技中のNG集でも笑わせてくれる。やっぱエディはコメディだよ。
メイクと比較するせいかスリムな彼が一段とハンサムに見えてくる。歌うシーンもあってプロ並みのノドも披露。
ダイエットブームの中でこれでもえーじゃないかっていいたかったのね、この作品は。


『エビータ』(1996)

監督:アラン・パーカー 出演:マドンナ、ジョナサン・プライス ほか
昨年の話題をさらったマドンナ主演作。美しさそのままに円熟期を迎えた彼女が次に的を絞るのはオスカーか?
プライスも『ブラジル』の頃のマヌケな青年役が懐かしいほど見事に重い風格を備えた政治家を熱演。
マドンナの誘惑をはねて、M.グリフィスと新婚ホヤホヤのバンデラスも今作では美男美女の共演、
エヴィータを客観視しながらも敵味方なく心情を理解してるガイド役を務める。

♪Don't cry for me Argentina は、かつてカレン・カーペンターがその聖母の如き歌声でアルバムに吹き込んだもの。
今回はマドンナ自身が歌い、サントラも売れそう。
これはマドンナが敬愛するマリリンも含め、崇められたがゆえに悲劇的な運命をたどったヒロインに共通する「愛し愛されたい」という想い。
1人のニンゲンが崇拝され、一体どこまで限りないひとの欲望を満たせるものか?
しかし今、世界のヒロインとして、注目の的のダイアナ妃もエバも、
どんなに貧しくても美しい女性の微笑みで人々の心は一時救われるのだから。政治って時に単純なものだ。

マドンナは15歳の少女役から演じている。40歳過ぎたんだよね? 信じられないくらい透き通る白い肌に、完璧なプロポーション。
常に努力し続ける強靭な精神と、こんなにフェミニンなスタイルを両立できるなんて本当スゴイ。

「国民に言いたいことがあります」から始まる感動的な演説のこのテーマ曲。
実際の言葉を元にしたか分からないが「わたしは平凡で貧しい者です」と語る今作の圧巻でもあり、
国民が当時この演説にどれほど感動したか想像に難くない。


『マイ・ルーム』(1996)
監督:ジェリー・ザックス 出演:メリル・ストリープ、レオナルド・ディカプリオ、ダイアン・キートン ほか
製作指揮のロバート・デ・ニーロが自ら出演も兼ねて、昔なじみのストリープやダイアン、
前に共演したレオら演技派メンバーを集めて家族愛を静かに描いた作品。戸田奈津子さん訳。
高齢化と介護問題はアメリカでもかなり身近で深刻な問題。
自分と自分の家族の未来をとるか、親の老後をみるか、微妙で根の深い重大な選択だ。

「私はラッキーで幸せ者だ」「2人から愛されて?」「いえ、2人を愛することができて」というセリフは心に残る。
治療で抜けた髪、カツラをカットして若返るシーンや、ディズニーランドで出血したショックで失神するシーン等、
1つ1つのシーンの積み重ねで病気の不安と死への恐怖、克服する勇気が伝わる。
今作で今や大人気スターのレオをキートンは手ばなしで気に入ったとか。
憧れていた父に幼い頃、暴力を受けていたという複雑な役所をベテラン陣に囲まれながら、
その存在感は確かにしっかりしたものがあるのに注目。


『マーズ・アタック!』(1996)
監督:ティム・バートン 出演:ジャック・ニコルソン、グレン・クローズ ほか
今年の話題作のひとつは最近のSF大ヒット作『ID4』含めすべてのSFパニック映画をおちょくったコメディ。
連帯を組んで飛ぶUFOののっけからのシーンは大げさ、テーマに合わせて美しいものがあるけど。
目玉クリクリ緑の体液、CGカクカク動きのエイリアンは、いかにも特撮で全然コミュニケーションもとれず殺戮ばかり。
せっかくの豪華キャストも次々現れては死んでく軽いノリ。
最近やたらめった映画で皮肉られる大統領やホワイトハウス(『ID4』では珍しくコテコテに褒めちぎられてた
本当にエイリアンが襲撃or到来してきた時の対応準備はできてるかな?


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