メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

森雅之出演 『婦系図 湯島の白梅』(1955)モノクロ 116分@新文芸坐 池袋(ネタバレ注意

2021-08-29 17:47:59 | 映画
山本富士子 日本映画に咲いた美しく気高い一輪の花@新文芸坐 池袋

「森雅之さん出演作まとめ」に追加します


原作:泉鏡花『婦系図』
監督・脚本:衣笠貞之助

出演:
お蔦:山本富士子
早瀬主税:鶴田浩二
酒井俊蔵:森雅之
酒井妙子:藤田佳子
酒井きん:平井岐代子
松村雪子:川上康子
河野英吉:三田隆
小芳:杉村春子
万太:高松英郎
宮畑閑耕:八木沢敏
お源:町田博子
めの惣:加東大介
お増:沢村貞子
柳沢教授:小沢栄太郎 当時の芸名は「小沢栄」
遠山:中村伸郎
交番の巡査:見明凡太朗
綱次:耕田久鯉子
秀弥:藍三千子
千代丸:高野英子
古道具屋:河原侃二
ほか










たまたまタイミングが合って
森雅之さんが出演していると知って慌てて観に行った

新文芸坐はまだまだ怪しい界隈で
「ヌード劇場」なんて看板が出ていてビックリ






30分前くらいに着いて、整理番号をもらい、15分前に呼ばれて入る自由席
日曜だというのに、お客さんは50~80代くらいの男女が20人ほど

好きな席が選べて、真ん中あたりの端にした
というのも、新しく買ったメガネを忘れて
普段かけているメガネは度が弱いから
真ん中あたりでも少しボヤけたのが残念すぎ

イスが細長くて、小さい人が座ると
前のイスが邪魔かも

2本立てがこの映画館の特徴
学生の頃は2本立てで角川映画を観ていたけど
今では2時間の1本観るだけで疲れるし
2本目観たら、1本目の印象と感動が薄れてしまうから
2本目は観ずに出た











森さんは白髪の厳格な学者役
当時44歳で色気溢れてた頃だから
森さんが早瀬役でもよかったのになあ

まあ、鶴田さんが人気なのも分かる
正当派の色男っぷり

ヒロインの山本富士子さんの艶っぽいこと!
甘い声、1つ1つの身のこなしが洗練されていて見惚れた

杉村春子さんと、加東大介さんがいればもう間違いないよね
でも、森さんの役の昔の恋人が杉村さんで
スラっとした美人の娘さんの実母の設定はえ・・・?!てなった(失礼/謝
今で言えばどの役者さんに当てはまるだろうと考えても浮かばない唯一無二の存在

明治の後半の設定だけど、ほぼ江戸時代に思える
毎日、あんなに込み入った髪型をどうやって結っていたのか/驚
座布団1つも手作りだし



静岡の地震?に被災したって設定だったっけ?
そんなに酷い災害があったのだろうか?

子どもの時に救われて、育ててもらったとしても
自分の妻を選ばないのは泣けるというより腹立たしかった
静岡で一から出直すなら、2人で行ったっていいじゃん

芸者と学者ってそんなに身分が違うのかね?
今でいえば、それほど世間体を気にして
一緒に暮らせない状況なんてあるだろうか

自分の履物ひとつ置けないなんて!
いろんな家具を揃える様子を想像する姿がいじらしいけれども
終始、男尊女卑が気になった

別に芸者でなくても、フツーに妻の立場でも
扱いは同じじゃないかな

何時間も早く起きてご飯を炊いたり
出かけるたびに着物を着せたり・・・

こういう耐え忍んで泣く、弱い女性像は
時代が進んでも、古今東西、男の妄想的な?

あるあるな展開とストーリーって分かっていても
最後はじぃーんと泣けてくる人情話

こうした昭和の名作邦画を親にもスクリーンで見せてあげたい




【内容抜粋メモ】(ネタバレ注意 記憶違いがあったらごめんなさい
お祭りで賑わう中、人目を気にして歩く早瀬主税とお蔦
ハヤセは学者で、オツタは元芸者
同居して20日くらいになるが、まだ正式に結婚していない

ハヤセは実家の静岡で震災に遭い、親を亡くしたところを
有名学者の酒井俊蔵に救われ、子ども同然に育てられた恩義があり
その名を汚すことを恐れて、なかなかオツタのことを切り出せないでいる

知人にも内緒なため、誰か来るたびに、狭い家の中で隠れるオツタ
女中や魚屋?めの惣(加東大介)は事情を知っているため味方になってくれる

ハヤセはサカイが5年もかけて手掛けているドイツ語辞書の翻訳を手伝って
少しの生計を立てている

ハヤセのもとで働く男(名前を忘れたからA)は
サカイの年ごろの美人娘を見て、ひと目で気に入り
ハヤセからサカイに自分をすすめてくれないかと強引に頼むが
きっぱりと断ったために恨まれる

芸者を辞める時、もう二度と戻らないと誓ったが
なんとなく不安な毎日を相談しに行くと
芸者の女将・小芳(杉村春子)は気持ちがよく分かると言う

(ここでもしや、いやまさかと思った

小芳からもらった古い着物?で座布団を新調しようと綿を買った帰り
スリに遭った店主が財布を返せ!と言うと
スリは着物を脱いでみせる

その後、オツタを追ってきて、帯に隠したと言う
そこに警官が来て、オツタは訳も分からず財布を投げたため
スリに間違われて交番に連れていかれる

自分の立場を明かせば、夫に迷惑がかかると思い
苗字も住所も言えずに、女スリと疑われる

近所の子どもが「交番でオツタが泣いている」としらせに来て
迎えに行き「自分の妻だ」と明かして連れて帰るのを見たAは

学界?で噂を立てて、メンバーの間でもちきりになるが
サカイ:三面記事より、私はハヤセを信じる!

メンバー:
サカイさんも昔、芸者さんと噂がたって
子どもまでいると言われて縁を切ったんだ
二代に渡るスキャンダルってわけだ と笑う

サカイはハヤセを部屋に呼び出し
サカイ:これが事実か、そうでないかだけ答えろ

ハヤセ:
今日オツタのことを話してお許しを得たいと思っていました
オツタがスリをやるような人間か直接会って見ていただきたい

サカイ:
そんな芸者とは別れろ
私を選ぶか、女を選ぶか 今決めるんだ

サカイに話せばようやく妻として堂々と認めてもらえると信じて疑わないオツタは
料理を作って待っている

ハヤセ:月を見に散歩しよう

学問の神さまの天神様にお参りするオツタ

ハヤセ:何をお願いしたんだい?

オツタ:
あなたの仕事がうまくいきますように
Aとサカイさんのお嬢様の縁談の話が失敗しますように
あとは聞かなくても分かるでしょう?w

ハヤセ:君は神さまみたいな人だな

サカイの許しがもらえず、突然の別れ話に驚き泣くオツタ
オツタ:いっそ死ねと言ってくれれば死にます

それでも最後にはハヤセのために身を引く

オツタ:だってそれよりほか仕方ないじゃありませんか(ほんとだよ

ハヤセ:君はどうする?

オツタ:あなたこそどうなさるの? ご自分で何も出来ないのに

ハヤセ:静岡に戻るか、あてのない旅に出るかもしれない

オツタ:私はあなたより先に死ぬまで人の髪結いをします

ハヤセ:
階段の帰り道を2人で歩くのもこれが最後なんだな
足元に気をつけるんだよ



早々に荷物を片付ける手伝いをするめの惣は
腹立ちまぎれに酒を飲みながら

めの惣:学者さんだか知らねえが、生木を裂くような真似をしやがって!

列車に乗るハヤセをひと目見ようと駆けつけるオツタ
ハヤセもオツタを探して、2人は一瞬目が合うがそれきりになる

列車の中でAと再会し、サカイの娘との縁談がおじゃんになったのは
ハヤセが自分を恨んでやったことだと因縁をつけ
サカイを侮辱したため、思わず平手打ちを食らわすハヤセ



その後の春
オツタは病に臥せってめの惣の家で寝て面倒をみてもらっている
時々、小芳が様子を見に来るが、オツタは生きる気力をなくしているのを見て
たまらずにサカイに会いに行く

辞書が完成した祝賀会

サカイ:
今のスピーチで5年間たった1人で作ったと言ってくれたがそうではない
ハヤセが手伝ってくれたから完成できた
しかし隣りは空席のままだ
ぜひハヤセに乾杯してほしい

それを遠目に見ながら、めの惣の家を訪ねるハヤセ
ハヤセが来たことを告げると

オツタ:
迷惑がかかります
会えばまた未練がわきます
もう二度と会うまいと思っていたのに とまた泣き崩れる

仕方なく言われた通りに「出かけていていない」と告げると

ハヤセ:
僕はどこか旅に出るつもりです
もう二度と会えないかもしれない
どうか元気でいてくれと伝えてください


家に戻るとかつてのスリが待っている
彼はハヤセと同じく静岡で被災した時に助け合った仲間

ハヤセに諭されて今ではスリを辞めたが
自分のせいで妻と別れることになったと知って
なんとしても償いたいからそばにおいてくれと頼むが

これからあてもなく旅に出るからと
その晩は2人つもる話をしながら
枕を並べて寝る

明け方、「虫がついたから取って!」とせがむオツタの幻を見る
オツタは病で危ないからすぐ来るようサカイから電報が来る

サカイはようやくオツタに会いに来て
もう長くないと知ると許しを請う

サカイ:
私は自分と同じ苦しみを味合わせたくなかったんだ
恨むなら、私を恨め!

この手を早瀬だと思って握れ!
未来で一緒になったら、絶対離れるなよ!
先生など気にせずに


オツタはうなされつつ
まるでハヤセと再会したようにつぶやいて息を引き取る

そこにハヤセが来るが「遅かったよ」


サカイとハヤセは階段を歩く

ハヤセ:この階段はオツタと一緒に最後に歩いた場所なんです

サカイ:女房と呼んでやれ 女房と




オツタの死因は肺炎らしいけど
ヒトって生きる気力をなくすと
自ら病を生み出せるものなんだなと思った

今ごろはもう魂になってハヤセの周りにいるんじゃない?
こうした強い念はやすやす成仏しそうにないから/汗







他にも観たい企画ものが目白押し!






このポスターが即効盗まれたそうで 気持ちは分からないでもない



















































神保町 二十世紀記憶装置 @ワンダー
ここ絶対行ってみたい!








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