■『気をつけよう! 薬物依存 第3巻 対処と取り組み』(汐文社)
渋井哲也/著
気をつけよう! 薬物依存 第2巻 身近にひそむ危険(汐文社)
気をつけよう! 薬物依存 第1巻 乱用と依存(汐文社)
全3冊のうちの最終巻。
日本にも監獄か治療かって選択があるっていうのは知らなかった。
逮捕したら終わりの犯罪ではなく、「薬物依存=病気」であり、
第三者機関を利用して、身近な人たちと連携して、時間をかけて治療することが重要だということが分かる1冊。
【内容抜粋メモ】
現代の子どもたちが抱えている「生きづらさ」は根深いものがあり、
問題行動をとらない子どもたちも共通の問題を抱えている場合があります。
解決のためには、社会の中にあるいろいろなネットワークを活用することが有効な手段となります。
******************************治療の初期段階
最初の段階で「薬物から切り離す」ことは正しい処置。
裁判では、有罪か無罪かを争うため、依存症の治療について話題になることが少ない。
裁判官・検察官・弁護士も薬物依存に詳しいとは限らない。
●薬物依存がもたらす問題=性格の変化
感情の起伏が激しくなる。嘘をつく。意味不明な行動が増える。大声で暴れる。
●薬物依存は病気
学校の先生、教育委員会、地域の保健センター、精神保健福祉センター、近所の病院などに助けを求めることが必要。
●家族による「共依存」
「自分でなんとかしたい」=「自分が役立っている」と思いたい。「共依存」
家族だけで解決しようとするのは、結局、薬物依存を継続させるようなもの。
家族による監視・抑制は、家族を消耗させ、崩壊につながることもある。
家族は怒り、疲労から「どうしてこんな目に遭うの?」「自分の責任だ」と思いがち。
子どもの起こした問題の尻拭いまでして振り回されてしまう。
薬物依存の子どもが、ほかの子どもたちへの入手ルートのひとつになることもある。
自殺、傷害事件、殺人事件にもなりかねない。
●家族にできること
「あなたを愛しているからこそ、薬物を絶って欲しい」など、子どもを見捨てていないことを伝えることが大切。
「見放さないこと」+「他の機関に頼ること」の両立を家族自身にわかってもらうことが重要。
一般的に、薬物依存になる子どもの父親は威圧的、無関心の傾向があり、
母親は子どもに過干渉の傾向が見られるため、子育ても見直しながら、
薬物依存の知識を共有し、ともに取り組むべき。
「薬物依存の子どもの問題」と「親自身の問題」を切り離す必要がある。
親が尻拭いをすると「何をしても、親が弁償してくれる」と思ってしまうため、
子どもの犯した過ちの責任は、子ども自身に負わせることが必要。
******************************ネットワークを利用する
●学校
薬物依存の子どもは、周りが動揺することで、家族や友人を振り回す手段を知る。
学校は、学校同士、児童相談所、保健所、保健センター、精神保健福祉センター、教育委員会、警察といったネットワークを持っている。
友人間で薬物の交換があることも考えられるため、教師に情報が入ってきやすい場でもある。
薬物乱用・依存は、ほかの非行問題とは異なり、力で押さえ込む方法は有効ではない。
興奮状態、酩酊状態の場合は、それが過ぎてからの対応が有効。
薬物を取り上げる+背景にある問題を見つけ、依存状態から抜け出させる指導をする。
じっくり話を聞き、信頼関係を作りながら、どこまで広がっているか聞き出せればベスト。
周辺情報を固めてから、確信が持てたら本人に聞くという順番が大切。
学校での範疇を超えていたら、警察に委ねる必要もある。
「学校では、真面目な生徒だったのに」ということもあり得る。
もっとも心配なのは「急性中毒症状」。
他人を傷つけることもあるため、保護者自身が警察に通報するのが望ましい。
●保健所は窓口のひとつ
保健所は、健康相談の窓口でもある。薬物依存も含まれる。
セルフヘルプグループ(自助グループ)なども設けている。
「精神保健福祉センター」は、保健所で対応が難しいケースの相談も受け付けている→それぞれの特徴がある。
病院は一般病院より、薬物依存を専門的に扱っているところ探したほうがよい。
●通院治療・入院治療
早期の場合は、援助プランによる通院治療が多い。
「乱用・依存」の場合は、「解毒」が必要。
あくまで「自分で治りたい」という気持ちを援助し、どんなプログラムが必要かを考えるのが医療機関。
******************************薬物依存と司法
「薬物所持(持っていること)」「薬物使用(使うこと)」は犯罪。
警察への通報でなければ、必ずしも逮捕にはならず、「麻薬取締員」が面接して、調査する。
薬物依存専門病院では、患者の同意の上で通報されることもある。医師との信頼関係は治療に影響するため。
ニュースで報道されるのは、警察が逮捕・補導したケース。
本人に治療意欲があれば、通報せず、専門病院での治療のほうがよい。
「麻薬中毒患者」は、法律によって、都道府県知事に届出が必要。
都道府県知事が必要と認めたら、専門病院で診察する。治療中は、経過観察が行われる。
●中毒患者へのアフターフォロー
退院後は、「麻薬中毒者相談員」による観察・指導される。守秘義務で守られる。
「麻薬中毒者相談員」は、強制的に連行・治療させることはできないため、
本人が拒んだり、周囲が治療の邪魔をすると、病院では何もできない。
※知らないフリをしてしまう親も多い。「自分ではどうすることもできないなら、放っておこう」という感情がある。
子どもの薬物乱用・依存にきちんと向き合うのは、親も怖い。
●麻薬Gメン(厚生労働省の麻薬取締官の通称)
警察官や麻薬Gメンに職務質問されて、違法薬物を所持・使用している場合は逮捕・補導される。
カンタンな薬物検査をする疑いがあれば尿検査をする。職務質問は、任意で強制ではない。
逮捕・補導されると、児童生徒の場合、「少年法」によって手続きされる。
●少年法(犯罪を犯した場合は刑法)
20歳未満の場合「少年」として扱われ、大人と違って罰を与えるのではなく、
「性格の矯正」「環境の調整」をする「保護処分」が目的。
14歳以上なら、家庭裁判所の審判(成人の裁判にあたる)を受ける。
14歳未満なら、児童相談所に送致される場合もある。
「責任能力」
自分の行動にどれだけ責任を負えるのか、年齢を基準にしている。
最終的には、家庭裁判所が決める。
1.保護観察所の保護観察に付す。
2.児童自立支援施設、児童養護施設に送る。
3.少年院に送る。
「保護観察」
施設に入れずに、家庭・学校で、保護観察官・保護司の指導監督・援助を受けながら、改善・更生を図る。
逮捕・補導された場合も、本人が「初犯」かどうかでも指導は変わる。
「何を間違えたのか?」といった悩みを抱える家族も辛いため、
機関がどう支えるかという視点で家族と接することも重要。
******************************薬物依存からの回復
回復には大変長い期間を要する。キーワードは「諦めない」ということ。
これは「依存症」との闘いであり、本人の性格ではないということも重要。
薬物から切り離しても体が欲してしまう。依存症が「嗜癖(しへき)」(病的な癖)と呼ばれるゆえん。
「意志が揺らぐ」「嘘をつく」「認めない」ということも「依存症」の症状で、「本人の意志が弱いから」ではない。
2005年「監獄法」が改められ「刑事施設・受刑者処遇法」が成立した。
→矯正施設での矯正教育が義務化された。
薬物依存の背景には、いじめ、学力問題、進路、将来の問題、虐待などが絡んでいる。
依存症の治療で言われる「底つき」体験が必要。
※「底つき」体験:このまま放置すると大変なことになると自覚する体験のこと。
治療方法も状況に応じてどんどん変わる。
「引き金」になるものから遠ざける
薬物自体、薬物を使用していた時のことを連想させるヒト、モノ、場所、時間、曜日を避ける。
その時聴いていた音楽、着ていた服、状況・環境要因も引き金になり得る/驚
「再使用」より「治療から離れること」が問題
これまで薬物によって淋しさを埋めてきた面があるため、患者は「薬物がない生活は寂しい」と思ってしまう。
→周囲のサポートがないと完全な回復は難しい。
周囲と自分たちの状況を比べて「どうして、あの人たちみたいに笑顔がないんだろう?」と考えて、寂しい者同士が寄り添うことになる。
人は急に変われないため「再使用」につながり「自分なんかダメな人間だ」と思ってしまう。
諦めずに付き合ってくれるスタッフ、支える側も「辛い」「苦しい」と言えるチームが必要。
受け入れ態勢をつくり、本人も受け入れる経験を充実させる、回復とはその繰り返しそのもの。
******************************体験談
●Sさん(35歳)
25歳の時、遊び仲間に誘われて「脱法ドラッグ」を使ったのがきっかけ。そして覚せい剤にハマった。
その場の一時的な快楽だったのが、覚せい剤の使用も増えた。
次第に精神症状が出始め、何もやる気がなくなった。
辛くなったため病院には通ったが、薬物のことは言えなかった。
「具合が悪い」と会社を休み、自宅で覚せい剤を使う悪循環を繰り返した。
逮捕後、父の死に目にもあえなかった。
判決は懲役1年6ヶ月。執行猶予3年。精神科医に通ったが、薬物依存の専門病院ではなかったため、
「逮捕後、薬物使用が止まっているなら大丈夫」と言われて安心した。
そして、再び薬物を使用してしまった。
2度目の逮捕までの1年間は仕事をしていたが「こんなのは自分の仕事じゃない」と癇癪を起こし、
「バレなければ大丈夫だ」と再使用していた。
しかし、クスリの切れ目で暴れて母と口論し、近所の人の通報で再逮捕された。
執行猶予中だったため、判決は1年4ヶ月+前回の分を合わせて刑務所に3年入った。
出所後、ようやく薬物依存専門のクリニックで治療し、セルフヘルプグループを知り、通った。
そこで、自分の薬物依存の背景には、父親不在の家庭問題、末っ子だったため、
母に気に入られるため「いい子でなければいけない」と強く思っていたことが分かった。
20歳で両親は離婚した。
これまで信頼できる友人もいなかったが、グループでは弱音を吐き出すことを覚え、仲間と共感することも知った。
薬物に頼らないためには、なんでも話せる友だちをつくること、
心の底から許し合える人間関係を一人でも多くつくることがが大切です。
渋井哲也/著
気をつけよう! 薬物依存 第2巻 身近にひそむ危険(汐文社)
気をつけよう! 薬物依存 第1巻 乱用と依存(汐文社)
全3冊のうちの最終巻。
日本にも監獄か治療かって選択があるっていうのは知らなかった。
逮捕したら終わりの犯罪ではなく、「薬物依存=病気」であり、
第三者機関を利用して、身近な人たちと連携して、時間をかけて治療することが重要だということが分かる1冊。
【内容抜粋メモ】
現代の子どもたちが抱えている「生きづらさ」は根深いものがあり、
問題行動をとらない子どもたちも共通の問題を抱えている場合があります。
解決のためには、社会の中にあるいろいろなネットワークを活用することが有効な手段となります。
******************************治療の初期段階
最初の段階で「薬物から切り離す」ことは正しい処置。
裁判では、有罪か無罪かを争うため、依存症の治療について話題になることが少ない。
裁判官・検察官・弁護士も薬物依存に詳しいとは限らない。
●薬物依存がもたらす問題=性格の変化
感情の起伏が激しくなる。嘘をつく。意味不明な行動が増える。大声で暴れる。
●薬物依存は病気
学校の先生、教育委員会、地域の保健センター、精神保健福祉センター、近所の病院などに助けを求めることが必要。
●家族による「共依存」
「自分でなんとかしたい」=「自分が役立っている」と思いたい。「共依存」
家族だけで解決しようとするのは、結局、薬物依存を継続させるようなもの。
家族による監視・抑制は、家族を消耗させ、崩壊につながることもある。
家族は怒り、疲労から「どうしてこんな目に遭うの?」「自分の責任だ」と思いがち。
子どもの起こした問題の尻拭いまでして振り回されてしまう。
薬物依存の子どもが、ほかの子どもたちへの入手ルートのひとつになることもある。
自殺、傷害事件、殺人事件にもなりかねない。
●家族にできること
「あなたを愛しているからこそ、薬物を絶って欲しい」など、子どもを見捨てていないことを伝えることが大切。
「見放さないこと」+「他の機関に頼ること」の両立を家族自身にわかってもらうことが重要。
一般的に、薬物依存になる子どもの父親は威圧的、無関心の傾向があり、
母親は子どもに過干渉の傾向が見られるため、子育ても見直しながら、
薬物依存の知識を共有し、ともに取り組むべき。
「薬物依存の子どもの問題」と「親自身の問題」を切り離す必要がある。
親が尻拭いをすると「何をしても、親が弁償してくれる」と思ってしまうため、
子どもの犯した過ちの責任は、子ども自身に負わせることが必要。
******************************ネットワークを利用する
●学校
薬物依存の子どもは、周りが動揺することで、家族や友人を振り回す手段を知る。
学校は、学校同士、児童相談所、保健所、保健センター、精神保健福祉センター、教育委員会、警察といったネットワークを持っている。
友人間で薬物の交換があることも考えられるため、教師に情報が入ってきやすい場でもある。
薬物乱用・依存は、ほかの非行問題とは異なり、力で押さえ込む方法は有効ではない。
興奮状態、酩酊状態の場合は、それが過ぎてからの対応が有効。
薬物を取り上げる+背景にある問題を見つけ、依存状態から抜け出させる指導をする。
じっくり話を聞き、信頼関係を作りながら、どこまで広がっているか聞き出せればベスト。
周辺情報を固めてから、確信が持てたら本人に聞くという順番が大切。
学校での範疇を超えていたら、警察に委ねる必要もある。
「学校では、真面目な生徒だったのに」ということもあり得る。
もっとも心配なのは「急性中毒症状」。
他人を傷つけることもあるため、保護者自身が警察に通報するのが望ましい。
●保健所は窓口のひとつ
保健所は、健康相談の窓口でもある。薬物依存も含まれる。
セルフヘルプグループ(自助グループ)なども設けている。
「精神保健福祉センター」は、保健所で対応が難しいケースの相談も受け付けている→それぞれの特徴がある。
病院は一般病院より、薬物依存を専門的に扱っているところ探したほうがよい。
●通院治療・入院治療
早期の場合は、援助プランによる通院治療が多い。
「乱用・依存」の場合は、「解毒」が必要。
あくまで「自分で治りたい」という気持ちを援助し、どんなプログラムが必要かを考えるのが医療機関。
******************************薬物依存と司法
「薬物所持(持っていること)」「薬物使用(使うこと)」は犯罪。
警察への通報でなければ、必ずしも逮捕にはならず、「麻薬取締員」が面接して、調査する。
薬物依存専門病院では、患者の同意の上で通報されることもある。医師との信頼関係は治療に影響するため。
ニュースで報道されるのは、警察が逮捕・補導したケース。
本人に治療意欲があれば、通報せず、専門病院での治療のほうがよい。
「麻薬中毒患者」は、法律によって、都道府県知事に届出が必要。
都道府県知事が必要と認めたら、専門病院で診察する。治療中は、経過観察が行われる。
●中毒患者へのアフターフォロー
退院後は、「麻薬中毒者相談員」による観察・指導される。守秘義務で守られる。
「麻薬中毒者相談員」は、強制的に連行・治療させることはできないため、
本人が拒んだり、周囲が治療の邪魔をすると、病院では何もできない。
※知らないフリをしてしまう親も多い。「自分ではどうすることもできないなら、放っておこう」という感情がある。
子どもの薬物乱用・依存にきちんと向き合うのは、親も怖い。
●麻薬Gメン(厚生労働省の麻薬取締官の通称)
警察官や麻薬Gメンに職務質問されて、違法薬物を所持・使用している場合は逮捕・補導される。
カンタンな薬物検査をする疑いがあれば尿検査をする。職務質問は、任意で強制ではない。
逮捕・補導されると、児童生徒の場合、「少年法」によって手続きされる。
●少年法(犯罪を犯した場合は刑法)
20歳未満の場合「少年」として扱われ、大人と違って罰を与えるのではなく、
「性格の矯正」「環境の調整」をする「保護処分」が目的。
14歳以上なら、家庭裁判所の審判(成人の裁判にあたる)を受ける。
14歳未満なら、児童相談所に送致される場合もある。
「責任能力」
自分の行動にどれだけ責任を負えるのか、年齢を基準にしている。
最終的には、家庭裁判所が決める。
1.保護観察所の保護観察に付す。
2.児童自立支援施設、児童養護施設に送る。
3.少年院に送る。
「保護観察」
施設に入れずに、家庭・学校で、保護観察官・保護司の指導監督・援助を受けながら、改善・更生を図る。
逮捕・補導された場合も、本人が「初犯」かどうかでも指導は変わる。
「何を間違えたのか?」といった悩みを抱える家族も辛いため、
機関がどう支えるかという視点で家族と接することも重要。
******************************薬物依存からの回復
回復には大変長い期間を要する。キーワードは「諦めない」ということ。
これは「依存症」との闘いであり、本人の性格ではないということも重要。
薬物から切り離しても体が欲してしまう。依存症が「嗜癖(しへき)」(病的な癖)と呼ばれるゆえん。
「意志が揺らぐ」「嘘をつく」「認めない」ということも「依存症」の症状で、「本人の意志が弱いから」ではない。
2005年「監獄法」が改められ「刑事施設・受刑者処遇法」が成立した。
→矯正施設での矯正教育が義務化された。
薬物依存の背景には、いじめ、学力問題、進路、将来の問題、虐待などが絡んでいる。
依存症の治療で言われる「底つき」体験が必要。
※「底つき」体験:このまま放置すると大変なことになると自覚する体験のこと。
治療方法も状況に応じてどんどん変わる。
「引き金」になるものから遠ざける
薬物自体、薬物を使用していた時のことを連想させるヒト、モノ、場所、時間、曜日を避ける。
その時聴いていた音楽、着ていた服、状況・環境要因も引き金になり得る/驚
「再使用」より「治療から離れること」が問題
これまで薬物によって淋しさを埋めてきた面があるため、患者は「薬物がない生活は寂しい」と思ってしまう。
→周囲のサポートがないと完全な回復は難しい。
周囲と自分たちの状況を比べて「どうして、あの人たちみたいに笑顔がないんだろう?」と考えて、寂しい者同士が寄り添うことになる。
人は急に変われないため「再使用」につながり「自分なんかダメな人間だ」と思ってしまう。
諦めずに付き合ってくれるスタッフ、支える側も「辛い」「苦しい」と言えるチームが必要。
受け入れ態勢をつくり、本人も受け入れる経験を充実させる、回復とはその繰り返しそのもの。
******************************体験談
●Sさん(35歳)
25歳の時、遊び仲間に誘われて「脱法ドラッグ」を使ったのがきっかけ。そして覚せい剤にハマった。
その場の一時的な快楽だったのが、覚せい剤の使用も増えた。
次第に精神症状が出始め、何もやる気がなくなった。
辛くなったため病院には通ったが、薬物のことは言えなかった。
「具合が悪い」と会社を休み、自宅で覚せい剤を使う悪循環を繰り返した。
逮捕後、父の死に目にもあえなかった。
判決は懲役1年6ヶ月。執行猶予3年。精神科医に通ったが、薬物依存の専門病院ではなかったため、
「逮捕後、薬物使用が止まっているなら大丈夫」と言われて安心した。
そして、再び薬物を使用してしまった。
2度目の逮捕までの1年間は仕事をしていたが「こんなのは自分の仕事じゃない」と癇癪を起こし、
「バレなければ大丈夫だ」と再使用していた。
しかし、クスリの切れ目で暴れて母と口論し、近所の人の通報で再逮捕された。
執行猶予中だったため、判決は1年4ヶ月+前回の分を合わせて刑務所に3年入った。
出所後、ようやく薬物依存専門のクリニックで治療し、セルフヘルプグループを知り、通った。
そこで、自分の薬物依存の背景には、父親不在の家庭問題、末っ子だったため、
母に気に入られるため「いい子でなければいけない」と強く思っていたことが分かった。
20歳で両親は離婚した。
これまで信頼できる友人もいなかったが、グループでは弱音を吐き出すことを覚え、仲間と共感することも知った。
薬物に頼らないためには、なんでも話せる友だちをつくること、
心の底から許し合える人間関係を一人でも多くつくることがが大切です。