私自身は在宅介護支援センターを中心にして、コーデイネーション論なりケアマネジメント論の研究を深めることが出来た。
在宅介護支援センターを作るときに、当時の厚生省の老人福祉課は私のケアマネジメントの論文をよく読まれて、大蔵省への在宅介護支援センターの予算を取るための説明に臨んだことを、最近当時老人福祉課課長補佐であられた長橋茂さん(現在、(社)シルバーサービス振興会常務理事)等から聞かしていただいたことがある。大変、名誉なことであり、学者冥利につきることである。
私も意気盛んな年で、当時の在宅介護支援センター職員の人々と関西だけでなく全国に亘っていくつもの事例研究会を立ち上げ、そこでのメンバーとの関わりや支援のおかげで研究を深めることが出来た。当時の在宅介護支援センターのメンバーの顔が何人でも頭をよぎる。私のとっては、あれが理論と実践をつなげる大きなばねになったと思うと、感謝の気持ちで一杯である。
ここでは、みんなでコーデイネーション機能をいかに果たすかという、今まで漠としていたことが見えるようになり、在宅介護支援センターの職員が生き生きしていたという印象がある。私も、見えなかったことが見えてきたことで、楽しかった。それまで、措置権をもっている機関がサービスの資格要件を尋ねることの相談(例えば、福祉事務所での老人福祉の担当者は、ヘルパーが利用できる資格要件が整っているかどうかの相談をすること)から脱皮し、生活上でのニーズを明らかにし、そのニーズを満たすためにサービスの利用を支援していく仕組みができあがり、そうした実践ができることに、意義を見いだしていた様な気がする。
ただ、その時には、確かにひとりの要援護高齢者を支援するコーデイネーションの方法については相当解明されたと思う。しかしながら、当時個々のセンターの基礎となる「中学校区」で何をするのかについては、気になりながらも、ほとんど煮詰めることができなかったと考えている。
あえて言うなら、個々の高齢者を支援することに関心を向けることだけで精一杯であった。当時から、地域の実態把握といった仕事も求められていたが、十分理論化され、実践されてはいなかったことが反省点である。あの時期に、多くの研究者が参画し、現場と力を合わせておれば、もっと、中学校区でなにをすべきかについて、理論と実践をつなげられたはずである。
そのことができなかったことが、今日の生活圏域を基にした地域包括支援センターが出現してきたのではにだろうか。今度こそ、生活圏域をもとにした支援体系を作らなければならない。
これについて、未だ地域でのネットワーキング機能が弱いことを示した調査結果がある。それは(社)日本社会福祉士会の地域包括支援センター評価研究委委員会が昨年度地域包括支援センターの社会福祉士を対象とした『平成19年度 地域包括支援センター社会福祉士職 業務環境実態調査 調査結果の概要』である。
ここでは、利用者といった個別レベル、地域包括支援センター内の組織レベル、生活圏域といった地域レベルで、様々な業務ができているかについての自己評価を、社会福祉士に尋ねている。その結果、地域レベルでの業務実施の自己評価が他に比べて極めて低くなっていた。
これは、私たちが実施した調査でも、調査対象者は異なるが、同じような調査結果がでており、次回にでも紹介したいと思う。
ここで問題にしたいのは、この結果は社会福祉士に時間がなくてできていないのであれば、それは人を増やせば解決できることである。実際には、そうした地域レベルでの活動方法が分からない、さかのぼれば、学生時代に教えてもらっていない、さらにさかのぼれば、具体的な方法が理論的に明らかになっていない、とすれば、ソーシャルワークの教育者としてだけでなく研究者としての責任も極めて大きいと言わざる得ない。そのことがあって、この不連続の連載を始めることを決意したのであった。
在宅介護支援センターを作るときに、当時の厚生省の老人福祉課は私のケアマネジメントの論文をよく読まれて、大蔵省への在宅介護支援センターの予算を取るための説明に臨んだことを、最近当時老人福祉課課長補佐であられた長橋茂さん(現在、(社)シルバーサービス振興会常務理事)等から聞かしていただいたことがある。大変、名誉なことであり、学者冥利につきることである。
私も意気盛んな年で、当時の在宅介護支援センター職員の人々と関西だけでなく全国に亘っていくつもの事例研究会を立ち上げ、そこでのメンバーとの関わりや支援のおかげで研究を深めることが出来た。当時の在宅介護支援センターのメンバーの顔が何人でも頭をよぎる。私のとっては、あれが理論と実践をつなげる大きなばねになったと思うと、感謝の気持ちで一杯である。
ここでは、みんなでコーデイネーション機能をいかに果たすかという、今まで漠としていたことが見えるようになり、在宅介護支援センターの職員が生き生きしていたという印象がある。私も、見えなかったことが見えてきたことで、楽しかった。それまで、措置権をもっている機関がサービスの資格要件を尋ねることの相談(例えば、福祉事務所での老人福祉の担当者は、ヘルパーが利用できる資格要件が整っているかどうかの相談をすること)から脱皮し、生活上でのニーズを明らかにし、そのニーズを満たすためにサービスの利用を支援していく仕組みができあがり、そうした実践ができることに、意義を見いだしていた様な気がする。
ただ、その時には、確かにひとりの要援護高齢者を支援するコーデイネーションの方法については相当解明されたと思う。しかしながら、当時個々のセンターの基礎となる「中学校区」で何をするのかについては、気になりながらも、ほとんど煮詰めることができなかったと考えている。
あえて言うなら、個々の高齢者を支援することに関心を向けることだけで精一杯であった。当時から、地域の実態把握といった仕事も求められていたが、十分理論化され、実践されてはいなかったことが反省点である。あの時期に、多くの研究者が参画し、現場と力を合わせておれば、もっと、中学校区でなにをすべきかについて、理論と実践をつなげられたはずである。
そのことができなかったことが、今日の生活圏域を基にした地域包括支援センターが出現してきたのではにだろうか。今度こそ、生活圏域をもとにした支援体系を作らなければならない。
これについて、未だ地域でのネットワーキング機能が弱いことを示した調査結果がある。それは(社)日本社会福祉士会の地域包括支援センター評価研究委委員会が昨年度地域包括支援センターの社会福祉士を対象とした『平成19年度 地域包括支援センター社会福祉士職 業務環境実態調査 調査結果の概要』である。
ここでは、利用者といった個別レベル、地域包括支援センター内の組織レベル、生活圏域といった地域レベルで、様々な業務ができているかについての自己評価を、社会福祉士に尋ねている。その結果、地域レベルでの業務実施の自己評価が他に比べて極めて低くなっていた。
これは、私たちが実施した調査でも、調査対象者は異なるが、同じような調査結果がでており、次回にでも紹介したいと思う。
ここで問題にしたいのは、この結果は社会福祉士に時間がなくてできていないのであれば、それは人を増やせば解決できることである。実際には、そうした地域レベルでの活動方法が分からない、さかのぼれば、学生時代に教えてもらっていない、さらにさかのぼれば、具体的な方法が理論的に明らかになっていない、とすれば、ソーシャルワークの教育者としてだけでなく研究者としての責任も極めて大きいと言わざる得ない。そのことがあって、この不連続の連載を始めることを決意したのであった。