あまり長期間放置しておくのもどうかと思うので、特別企画を開催することにしました。
6年前の日記【あるシナリオライターの日常】に登場する私の親友、海藤。現在は生物教師として丹後半島に生きる彼が、その溢れ出る情熱と才能を注ぎ込んで制作した授業用プリントを公開していきます。
生物に興味のない方も、是非読んでみて下さい。
新しい世界に目覚めるかもしれません。
──────────────────────────────
日々の生物(ナマモノ) 第1回
どうしても教科書による授業では細かくて実生活から離れた内容になってしまうので、普段、感じた生物に関する疑問にこちらが(できる限り)答えることで、生物一般に関する興味を持ってもらおうという企画。
質問を渡してもらえれば、その中から「一番、突拍子もないもの」を選んで答える予定。
最初の質問は先週、実際に聞かれた質問より。
Q:「カタツムリの殻を外したら、ナメクジになりますか?」
A:「なりません。しかし、進化の過程でカタツムリから殻がなくなったのがナメクジです」
カタツムリやナメクジは「貝類」に属する生物です。陸上生活ができる「巻き貝」をカタツムリと言います。カタツムリの「貝殻」がなくなった種が「ナメクジ」です。イカやタコも(広義には)貝類に含まれますが、これらの種も大昔は殻を持っていました。進化の過程で殻がなくなるのは、貝類によく見られる現象のようです。
ちなみに貝殻は貝が体の外に炭酸カルシウムを分泌することで作られます。人間で言えば、髪や爪のようなものですから剥がすのはダメージを与えます……と言うより、剥がされるカタツムリの気分になって考えてください。
アンモナイト イカ タコ →貝殻がなくなる→
Q:「アメフラシの正式名称は?」
A:「…………………………アメフラシ」
意外ですが、Web辞書(Wikipedia)によると
「アメフラシ(雨虎、雨降)は、腹足綱 後鰓目 無楯亜目(旧分類 腹足綱 後鰓亜綱 無楯目)に属する軟体動物の総称。狭義には、アメフラシ科に属するアメフラシ(学名 Aplysia kurodai (Baba, 1937))を指す」
……とのこと。
英語ではsea hare(海のウサギ)。頭の突起がウサギっぽいらしい。
ちなみに上のカタツムリとも近い仲間で貝殻がなくなった貝類の一種(ウミウシに近い)。
名前の由来は攻撃されると紫色の液を水中に出して、それが雲に見えるため。アメフラシが雨を呼ぶということはない(大体、海中の生物にとって雨が降ろうが関係ないはず)。
アメフラシの卵は「海そうめん」と言い、食べる地方もある……と「美味しんぼ」に書いてありました。
ところで、丹後では「運動会前に運動嫌いな子が雨にするためにアメフラシを殺す」ってのは本当ですか?
海藤は高校の生物教師なので、游でも充分ついてこられる話になっていると思うから、よければ読んでやってくれると嬉しいです。
アメフラシについては私も食べたことがないのでわかりませんが、塩をかけると縮むナメクジ同様、やはり体積の大半を水分が占めているということなのでしょうね。
このコンテンツに限っては、海藤からのコメントもあると話が弾みそうで嬉しいんだけど……彼が動いてくれるかどうか。
一応、期待してるよ、海藤。
顔を出すつもりはなかったのですが、プリントのフォローも必要かと思ったので書き込むこともします。内容に関しては高校生向けに簡単にしているところもありますしね。
>游さん
アメフラシは煮ると縮むんですか。……知りませんでした。
この前、うっかり菜っ葉についていた青虫を煮てしまった時はかなり小さくなっていたから、そうなんでしょうね。
煮ると縮む理由は篠森の説明でも良いのですが、もう一つの要素は「タンパク質の熱変性」です。要するに生物の体を作っているタンパク質(お肉の成分ですね)は加熱すると縮むのです。わかりやすい例としては「しゃぶしゃぶ」の肉が湯通しすると縮むのがこれです。後は「スルメを焼くと反り返る」のも、「髪の毛を燃やすと縮む」のもこれが理由です(パーマはこの性質を利用しています)。
全ての生物はタンパク質で体を作っているので、煮れば縮むわけですが、体に水分が多い生物ほど縮む割合が大きいことは考えられますね。
アメフラシに関しては一度試してみたいですが……で、その縮んだアメフラシはどうするんですか?
よく解る解説、有難う御座いますっ。
熱変性ですか、むむ、私もお風呂でのぼせたときなんか縮んでいるのかしら。
ちなみにアメフラシはその後、美味しくいただかれたそうです。煮汁が物凄い色になって大変だったそうですよ。味の方はどうだったのか……はて。
こちらこそ篠森がお世話になっております(笑)。
そうか、アメフラシは食えるんですね。知りませんでした。
ちなみに「熱変性」はかなりの高温でないと起こりません。
60℃くらいは欲しいところですので、お風呂では起こらないでしょう。
お風呂につかった場合は、むしろ「ふやけて」、体積が増します。
ご安心ください(笑)。