Dogma and prejudice

媚中派も媚米派も同じ穴のムジナ
従属主義的思考から脱却すべし
(言っとくけど、「媚米」と「親米」は違うんだよ)

「軍事オプション」カードの無い日本

2007-05-10 | 外交・防衛
■ くっくりさんが、「5/9放送「アンカー」青山繁晴の“ニュースDEズバリ”」の内容を紹介されています。その一部を引用させてもらいます。ぼやきくっくりFC2版 「アンカー」日米報道の差 首脳会談・銃乱射・慰安婦より、

村西利恵(進行役)
「どれも最近報じられたものなんですが、日米首脳会談、バージニア工科大学銃乱射事件、従軍慰安婦問題。まずはこちらの日米首脳会談の、日米のニュースのギャップについてお願いします」

青山繁晴
「特にテレビの取り扱い方でギャップは大きく現れるんで、日本のニュースではどうだったか……」

室井佑月
「知ってる。『ジョージ、シンゾーと呼び合い、いい感じであった』」

青山繁晴
「それはもちろん正解なんだけど、いま室井さんが言ったことが正解の一つなのは、ブッシュさんも安倍さんもちゃんと取り上げられてるねと。これは特にね、日米首脳会談やった後に共同記者会見やったでしょ。ワシントンから南へ100キロぐらい下がった所に、キャンプ・デービッドという有名な大統領の山荘があって、ネクタイ外した、はっきり言って似合わない姿で共同記者会見、2人立ってやってたでしょ」

山本浩之
「あの休日のオヤジの格好はどうかなと……(笑)」

青山繁晴
「特にブッシュさんの方は似合ってなかったですね(笑)。で、あの絵でね、日本ではもちろん、安倍さんだけでなくブッシュさんも両方取り扱われてましたよね」

村西利恵
「ちょっとその映像ありますんで、ご覧いただきましょう。日本のニュースです」

 …………………………VTR開始…………………………

(日米首脳会談 共同会見 4月28日放送「FNNスピーク」より)

ブッシュ大統領
「(北朝鮮に)さらなる制裁を行う能力はある」

安倍首相
「この(北朝鮮の)問題の理解、そしてまた方向性は、私とジョージの間で完全に一致をしています」

 …………………………VTR終了…………………………

村西利恵
「このように、安倍さんのコメントもブッシュさんのコメントも、両方紹介されていましたね」

青山繁晴
「当然、日本の視聴者は、こういう絵がアメリカでも流れてると思うじゃないですか」

山本浩之
「そうでしょ?」

青山繁晴
「それがそうじゃなくて、じゃあアメリカのニュースでどうだったかというと、アメリカでもリアルタイムで共同記者会見は生中継されました。その意味では一見、扱いは大きいように見えるけれども、しかしこれが一番肝心で……」

アメリカのニュースでは共同記者会見を生中継!でも「安倍首相はカット」……とパネルに表示される)

山本浩之
「えええーー!?カット!?」(一同驚き)

青山繁晴
「もっと具体的に言いますけど、まず生中継始まる時の文句としてね、『プレジデント・オン・ライブ・スピーチ』、我々の大統領が生で発言します、というタイトル。日米共同記者会見とか、日米首脳会談が終わった後の会見、という言葉自体がない。つまり日本の総理がそこにいるかいないかは、全然問題にされていない。実際に僕や、僕といっしょにいた独立総研の連中が見てるところで、どんなふうにニュースが流れたかというと……」

青山繁晴
「漫画にしてみました。なぜか僕は首がありませんけど」(パネルに「安倍・ブッシュのツーショットが映ったテレビを見ている青山」てな画像が出る)

山本浩之
「そんな細かいところはいいじゃないですか!(笑)」(スタジオ大爆笑)

青山繁晴
「このように、これ、実際はこれは(この画像は)まだ甘くて、これは最後の握手かもしれないけど、ツーショットは時間にして1秒あったかどうか。ぱっと残像が残らないぐらいの、ぱっと映って次にどうなったかというと……」(ブッシュ一人の絵が出る)

青山繁晴
「ブッシュ大統領のスピーチが始まった。このスピーチも基本的に共同記者会見ですから、質問に答えるでしょ。日米関係の質問が出るんじゃなくて、もっぱらアメリカ人の記者からは、安倍総理なんてほっといて、イラク戦争どうするんだとか、特に下院が予算はもう出さないと言ったが、断るって話ばかりしてるわけです」

村西利恵
「国内の話ばっかりってことですね」

青山繁晴
「アメリカだけに関わる話ばっかりで。しかし日本人の記者もいますから、質問が出て、安倍さんが答えるシーンになりますね。さぁ、ワシントンで見てる僕たちは、安倍さんが映ると思ったでしょ。そしたら、この絵になったんです」(ヒラリーの絵が出る)

山本浩之
「関係ないじゃないですか!(笑)」(一同驚きと笑い)

青山繁晴
「もう1回言いますが、事実をありのままに言ってんですよ。しかも1局だけじゃなくて全局がそうでした。生中継ですから、このへんに安倍さんがいて喋ってるんですが、安倍さんが喋る段になると、安倍さんは映らずに突然違うニュースがインサート、挿入されるわけです。この場合は何を言ってたかというと、ヒラリーさんが『もともとイラク戦争に賛成したというのは、私の間違いじゃなくて、ブッシュ大統領が違う情報を言ったからよ!』という、怒ったという、違う話が流れた。で、ぱっとブッシュさんの絵に戻る。ブッシュさんだけの絵に戻るんです。ヒラリーさんのニュースやってる間に、安倍さんの発言が終わっちゃって、またブッシュ大統領の発言になったら、ぱっと映る。これを何度も何度も繰り返して、とうとう最後まで安倍さんの発言はなし!ゼロ!」

室井佑月
「バカにされてるの?」

青山繁晴
「これ、安倍総理がバカにされてるとみんな思うでしょ?違います。僕は日米関係取材してもう28年ですが、例えば、実際にあったことなのに日本では報道されてない事実、一つ紹介します。(竹下&レーガンの画像出る)懐かしい絵。1988年当時です。僕はまだ政治部の若手記者でした。当時レーガン大統領、若いですね。レーガン大統領、全盛期。これは日本では実力総理と呼ばれた竹下登総理です。両方亡くなっちゃいましたが。この竹下さんが88年1月に初めて訪米して、レーガン大統領とにこやかに長い首脳会談をやって、今回と同じように共同記者会見になりました。その時に僕は、忘れられないんですけど、レーガン大統領が会見の冒頭、じーっと紙に目を落としてるわけです。アルツハイマーになった後のレーガンじゃないですよ。全盛期のレーガン。どうしたのかと思ったら、『うーんうーん』、何をうーんうーんと言ってるか。そこに書いてある日本の総理大臣の名前が読めない(一同「えー?」)。会談後、当然、TAKESHITAとアルファベットで書いてあるわけです。それを悩んだ後に、『テイクシーター』と言った(一同「えー!」)。『タケ』と読めない。英語読みで『テイクシーター』と言った」

室井佑月
「やっぱり日本のことバカにしてるー!」

青山繁晴
「バカにしてるんじゃなくて、日本の存在感が昔から、1988年ですからもう20年前から全くないわけです。この現実を僕たち、よく知らないといけないのは、室井さんが言ったバカにしたという感情だけでは、とらえるだけでは足りない。なぜそうなのか、それは一言で言うと、日本は経済だけ。お金儲けだけの戦後を過ごしてきたんで。国際社会で印象に残るというのは、とにかく政治と軍事。軍事もあわせて、そのリアルな発言をしないと。例えば北朝鮮の拉致被害者いるんだったら、日本はひょっとしたら武力を使うかもしれないというような話が出たら、当然印象に残るけれども、いつもお金の話だったら、別に誰の印象にも実は残ってないんです。経済というのは基本的に企業が出ていくもんですから」

山本浩之
「もうね、じゃあ向こうが長年そういうふうに考えてるんだったら、こっちも『ロン・ヤスと呼び合う仲です』とか、そういうのやめません?そういうことわざわざ、ことさらに総理大臣自ら言うのって……」

青山繁晴
「やめたいんですが、実は今回も安倍という名前を、実は総理の側近が、これひょっとして青山さん、『エイブ』って読まれたりしないだろうな、と。だからシンゾーとジョージにしましょう、という裏話があるぐらいなんです。……次の話題に行きましょう」


 青山繁晴氏によると、「日米首脳会談の共同記者会見で安倍さん一切映らず」 との事。日本人として、ショックです。世界第二位(そろそろ第三位に落ちるかも)の経済大国といっても、軍事オプションカードの無い国の存在感など無いに等しいという事のようです。アメリカばかりでなく、北朝鮮からも韓国からも中国からも馬鹿にされているのは、結局、日本が、「軍事オプションカードの無い国=無視しても構わない国」として見られているからなのでしょう。

■ 話は変わりますが、「草莽崛起」さんは<安倍訪米と「対米依存」の終焉>というエントリーで、以下の様な記述をされています。

 拉致問題について改めてブッシュ大統領が言及したことを、産経新聞は高く評価している。

 この拉致問題について気がかりなのは、同盟国アメリカの理解を求めることは必要だが、問題は、アメリカ頼みになっているのではないか、という
ことだ。

 数年前、米軍関係者と話をしていた際、我が国が「北朝鮮に対する経済制裁をしよう」としていたことが話題となった。

 その米軍関係者は、「日本が、国民を拉致した北朝鮮に対して経済制裁をしようとすることはよく理解できる。しかし、経済制裁は当然のことながら、戦争に発展する場合がある。その際、当然、日本の自衛隊は北朝鮮と戦うつもりなんだよな」と、言ってきたのである。

 私が黙っていると、「もしも、北朝鮮との戦争になった際、米軍に頼ろうと思っているならば、そんなにひどいことはないぞ。自国の国民を助けるために経済制裁を実施し、いざ戦争となれば、アメリカ軍にお任せします、ということは、日本国民のために日本の青年は死なないが、アメリカの青年には死んで欲しい、ということだぞ。そんなひどい同盟国があるのか」と、厳しく追及してきたのである。


1.「日本が、国民を拉致した北朝鮮に対して経済制裁をしようとすることはよく理解できる。」
2.「しかし、経済制裁は当然のことながら、戦争に発展する場合がある。」
3.「自国の国民を助けるために経済制裁を実施し、いざ戦争となれば、アメリカ軍にお任せします、ということは、日本国民のために日本の青年は死なないが、アメリカの青年には死んで欲しい、ということだぞ。・・・そんなひどい話はないぞ。」

 ある米軍関係者の語ったことだそうですが、米軍の側から見れば、こうした見解が一般的なのかもしれません。

 敷延すれば、「日本が突っ張って、他国と緊張関係になるのは勝手だけど、その尻拭いをアメリカにさせるなよ」という事です。(この言い分も分からなくはありませんが)

 他国と緊張関係になっても、その次の「軍事オプション」というカードが日本にはありません。そして、日本を守ってくれるはずのアメリカも、そのような場合にどれだけ頼りになるか。「自分の蒔いた種は、自分で刈るべきだ」と言われるだけかもしれません。

 というか、米軍は、日本に対して、「他国との間に緊張関係を作るな。米軍を厄介ごとに巻き込むな。」という思いでいるのでしょう。

 そう考えれば、日本の外交が常に、妥協的で、従属的なのも、むべなるかなという事ですね。自国に「軍事オプション」というカードが無いのは勿論、頼りにしているアメリカも、そのときカードを切るとは限らないのですから。

 実際に「軍事オプション」というカードを切るかどうかというのは、ともかくとして、そうしたカードそのものが無いというのは、外交的には、致命的な事です。

 日本としては、憲法を改正してでも、この「軍事オプション」というカードを手に入れるべきです。そうしないと、どこまでも、従属国家の悲哀を味わい続けなければいけないし、他国によって暴力的に蹂躙された自国民の人権を取り戻すことも出来ません。

 自立した国家になるためにも、拉致問題を解決するためにも。「憲法改正」による「軍事オプション」カードの獲得というのは大きな意味のあることです。

 ところで、「憲法改正」に関する、いわゆる「親米保守」の言い分を聞いていると、「日本も国際貢献できる国になるべきだ」というような声ばかりが聞こえてくるのが気がかりです。

 「親米保守」の言う「国際貢献」というのは、「対米貢献」のことでしかありません。彼らは「軍事オプション」というカードをアメリカの為に使うことしか考えていないのでは無いでしょうか。「軍事オプションというカードを持たない日本の自衛隊は使いにくいから何とかしろ」というアメリカの意向に沿うことが、憲法改正の動機だとしたら大きな問題です。

 日本の自衛隊を、アメリカの国益のための下請け機関にするような事の無いように注意していかないと、「憲法改正」が裏目に出ることになりかねません。

 「自立した国家」になるためには、「軍事オプション」カードが必須ですが、「軍事オプション」カードを正しく使うには、「自立した国家」である事が必須という事で、考えてみれば、悩ましい話です。


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