Dogma and prejudice

媚中派も媚米派も同じ穴のムジナ
従属主義的思考から脱却すべし
(言っとくけど、「媚米」と「親米」は違うんだよ)

米国家情報評価、イランは2003年秋に核兵器開発停止

2007-12-06 | 外交・防衛
米国家情報評価、イランは2003年秋に核兵器開発停止
 【ワシントン=坂元隆】米政府は3日、イランの核問題に関し、米国のすべての情報機関の情報をまとめた国家情報評価(NIE)を発表し、イランが2003年秋の段階で核兵器開発計画を停止していたとの分析結果を示した。

 ただ、ウラン濃縮活動は継続しているため、2010~15年に核兵器製造に十分な高濃縮ウランを生産することは可能だとも指摘。ハドリー国家安全保障担当大統領補佐官は同日、イランの核問題は依然、「きわめて深刻」として、外交的手段を通じてイランに国際的圧力をかけていくこれまでの政策に変化はないと強調した。

 米情報機関は2005年の同様の報告では、イランは「核兵器開発を決断している」と述べていた。今回のNIE報告は米政府がイランの核問題に関する認識を転換したことを意味している。ブッシュ政権内では、大統領自らが今年10月に「第3次世界大戦を回避したければイランに核開発させてはならない」と発言するなど、イランに対して武力行使も辞さない強硬論が出ていたが、今回の報告で強硬論は沈静化しそうだ。

 NIE報告は、イランが核兵器開発計画を停止したのは国際的圧力によるものだとし、少なくとも今年の半ばまでは計画は再開されていないとの見方を示している。また、核計画に関してイランはコストと利益を考えて決断を下しているとも指摘し、外交交渉のうえでイランは合理的な相手であるとの見方も示唆した。

 一方、イランは計画を停止していても核兵器製造に転用可能な能力をつけてきていると述べ、イラン政府は核兵器開発の選択肢を引き続き確保していると分析している。
(2007年12月4日11時35分 読売新聞)


 「核開発を強行しようとするイランと、『世界の平和』のためにそれを力づくで阻止しようとするアメリカ」という構図を盛んにマスコミは強調し、このままでは、アメリカがイラン核開発に対する予防的戦争をやりかねないと憂慮されていました。

 しかし、イランの核開発は、2003年秋の段階で核兵器開発計画を停止していたとほかならぬ米政府が報告したということです。

 ブッシュ政権は、イランの核開発に対し懸念を示し、核開発させないためには、武力行使も辞さないという強硬論が出ていました。

 下手をすれば、イラク戦争と同様に「嘘の情報」でイランに戦争を仕掛けていた可能性もあったわけで、欧米発の情報を鵜呑みにすることは危険だという認識を持つべきかと思います。

 またこの記事では、

 ただ、ウラン濃縮活動は継続しているため、2010~15年に核兵器製造に十分な高濃縮ウランを生産することは可能だとも指摘。


と述べ、ウラン濃縮活動を継続するイランが引き続き、核兵器製造への野心を捨てない危険な国であるというような印象を読者に与えています。

 このような「イラン核武装懸念」に対して、イラン側の言い分を載せている記事がありました。↓

大村一朗さんの「イラン便り」No.14 イラン核問題 情報操作といじめの構造より、
イランの石油事情
 ハサンは続けた。
 「イランは核エネルギーの技術を獲得する権利がある。核兵器が欲しいって言ってるんじゃない。どうしてイランだけが持っちゃいけないんだ? イランの石油はあと40年ほどで枯渇してしまう。天然ガスはまだたっぷりあるけど、石油はできるだけ節約していかなければならない。そのためにも原子力発電が必要なんだ」
 イランの石油埋蔵量は、1999年時点で930億バレルとされている。採掘量は1日379万バレルほどなので、単純計算すれば約60年後に尽きることになるが、人口の増加など時とともにエネルギー消費は増すと考えれば、40~50年後に枯渇するという計算も間違いではない。この事実は、国家財政を原油輸出による収入に頼りきっているイランにとって火急の懸案事項であり、代替エネルギーの確立とともに、石油の国内消費の節約が求められている。
 イランの抱える「石油問題」についてもう少し説明したい。まず、イランは世界第4位の原油輸出国でありながら、国内消費用の石油を大量に外国から輸入している。原油はたっぷりと出るが、精油施設の不足と老朽化のため、国内で精製された石油だけでは国内消費をまかなえず、わざわざ海外から国際標準価格で買い入れているのである。それをリッター10円ほどの国内価格で流通させるために、せっかくの原油収入を補助金として投入することになる。目下イラン政府の目標は「石油輸入中止」であり、そのために国内の精油施設の増加や改良とともに、国内消費を抑えるため正月明け(イラン正月3月21日)にはいよいよガソリンの配給制を始めることが決まっている。
 こうした背景のもと、イランは石油の代替エネルギーとして原子力発電を求めているわけだが、いつの間にか世界では「イランは核兵器製造を目論んでいる」という印象が先走っている。


「イランの言い分」その1

 「イランは核エネルギーの技術を獲得する権利がある。核兵器が欲しいって言ってるんじゃない。どうしてイランだけが持っちゃいけないんだ? イランの石油はあと40年ほどで枯渇してしまう。天然ガスはまだたっぷりあるけど、石油はできるだけ節約していかなければならない。そのためにも原子力発電が必要なんだ」

 イランは世界第4位の原油輸出国でありながら、精油施設の不足と老朽化のため、国内消費用の石油を大量に外国から輸入している。

 イランは、石油の国内消費抑制のために、原子力発電を求めているのに、欧米はそれを「イランは核武装を企んでいる」として阻止している。

伝えられないイランの主張と権利
 では、なぜ「イランは核兵器製造を目論んでいる」という欧米の主張がまかり通っているのか。そこには、明らかにマスコミの意図的な報道の仕方がある。
核問題に登場する専門用語は、一般の人には難しい。例えば、争点となっている「ウラン濃縮」という作業は何を指しており、実際どれほど危険なものなのか。そうした説明を抜きにして、「ウラン濃縮活動は国際社会への挑戦である」とか、「イランが核兵器製造につながるウラン濃縮を諦めないかぎり―」などというアメリカ政府ばりの記事を載せて、アメリカのイラン戦略の一翼を担おうとしている日本のメディアのなんと多いことか。
 まず、ウラン濃縮とは何か。天然ウランの中で、原子力発電や核兵器に利用されるウラン235の比重を高めることである。天然ウランを遠心分離器に入れると、軽いウラン235だけが中心付近に残る。この作業を繰り返してウラン235の比重を高めることが、いわゆるウラン濃縮作業である。
 ウラン235は濃縮比率に応じて、低濃縮ウラン(5%以下)、高濃縮ウラン(20%以上)、そして兵器級ウラン(90%以上)の3つに分かれる。原子力発電に必要なのは低濃縮ウランであり、イラン政府が求めているのはこれである。IAEA(国際原子力機関)の監視の下で低濃縮ウランによる核エネルギーの平和利用(つまり原子力発電)を行なうことは、世界のあらゆる国に認められた権利であり、当然、日本もIAEAの監視下でこの低濃縮作業を行なっている。イランもまた、原発のための低濃縮作業だけが目的であり、ひそかに高濃縮を行なわないようIAEAの監視を受けると表明しているにもかかわらず、世界中からこれほどの非難と圧力を受けているのはなぜか。アメリカと敵対しているからである。
 アメリカの言い分は、「低濃縮の技術を獲得すれば、いずれ高濃縮、そして兵器級ウランを獲得することも可能だ」とか、「イランは高濃縮の実験を密かに行おうとしている」といったものだが、長年にわたりイランの核開発を監視してきたIAEAは、そういった証拠は一切ないと退けている。にもかかわらず、こうしたいわれなき非難ばかりを流す報道が巷にあふれ、イランの主張と権利に関しては沈黙が守られているのが現状である。


「イランの言い分」その2

 原子力発電に必要なのは低濃縮ウランであり、イラン政府が求めているのはこれである。

無駄だった3ヵ国協議
 先に述べたように、イラン側の主張は、発電用のための低濃縮作業を自国で行ない、それ以上の濃縮作業を行なわないようIAEA(国際原子力機関)の監視を受け続ける、というものだ。それを認めないアメリカがイランを軍事攻撃することを恐れたイギリス、ドイツ、フランスの欧州3ヵ国は、何とかイランに核開発を放棄させようと、2003年以来、独自にイランと交渉を重ねてきた。
 この欧州3ヵ国との交渉のさなか、2004年11月、イランは一時高まった安保理付託への危機を回避するため、一切の濃縮活動を停止することに合意した。この停止は、しかし、イランと欧州3ヵ国が何か恒久的な合意事項に達するまでの一時的な措置であり、交渉はここからが本番となる。この交渉期間におけるメディアの報道は巧みである。たとえば、ほとんどの記事で見られるのが、「ヨーロッパ側は○○のような提案をしたが、イランは受け入れなかった」とか、「ヨーロッパ側は○○するように強く要請したが、イランはその姿勢を変えなかった」という修辞法が取られ、常に「ヨーロッパ側が説得と努力を重ね、(イランのために)外交的解決を目指しているにもかかわらず、イラン側は自らの主張に固執し、強硬姿勢を崩さない」という印象を読む者に与えている。そしてそれをイランの"瀬戸際外交"と名づけ、まるでイランがより大きな経済的見返りを得るために欧州3ヵ国を"牽制"し、"揺さぶり"をかけ、わざと交渉を長引かせているかのような書き方をするメディアもある。明らかに読む者に北朝鮮を想起させようとの意図が感じられる。
 本来、この件に関する報道は、イランが何を求め、それに対して英独仏がどのような妥協案を提示したか、というものであるべきだ。なぜなら、そもそもイラン側の主張には何も後ろめたいものはなく、それをヨーロッパ側が譲歩させようとしているのだから。
 交渉の争点は、単純である。イラン側の主張は「核燃料(発電用低濃縮ウラン)とその技術の自国での開発」。それに対してアメリカの意を酌む英独仏は、「イランの核開発の一切の放棄」を求め、見返りとして経済援助やWTOへの加盟促進などを申し出た。この交渉が合意を見ないことは、双方の要求のあまりの食い違いから明らかである。イランが「時間の無駄だった」と憤るのも無理はない。
 2006年1月10日、業を煮やしたイランは、欧州3ヵ国との合意を破棄し、研究用のウラン濃縮作業を再開する。それが引き金となり、去る2月4日の安保理付託となったわけだが、日本のメディアは「イランは協定違反をしたのだから、安保理付託はやむをえない」→「このようにイランは違反を繰り返してきた」→「だから核兵器開発を疑われても仕方がない」という論法の大合唱である。この濃縮停止の協定が合意された時、イラン側が口をすっぱくして「これは自主的な措置で、停止する研究活動の内容や期間はイランが独自に決定する」と述べていたにもかかわらず。
 最近になってロシアが、核燃料をロシアで製造し、それを提供しましょうと申し出た。あくまで濃縮はロシア側で行ない、濃縮技術のノウハウまではイラン側には伝えず、核燃料だけを渡す、というものだ。メディアの論評の中には、「イランの核開発が本当に平和利用が目的なら、この提案を受け入れるはずだ」と決め付けているものがある。しかし、技術を与えない、ということはつまり、先進国が後進国に後進性を強いるということである。イランはこの人をバカにしたような提案を、しかし安保理付託が決まった今、一蹴することができないでいる。


「イランの言い分」その3

 イラン側の主張は「核燃料(発電用低濃縮ウラン)とその技術の自国での開発」。それに対してアメリカの意を酌む英独仏は、「(ウラン濃縮を含む)イランの核開発の一切の放棄」を求めている。彼らは、イランの原子力発電への道を阻んでいる。

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 「イランの言い分」の言い分が正しいか否かは、ひとまず置いておくことにします。

 ただ、少なくとも、イランにはイランの言い分があり、欧米発の報道は、余りにも欧米側の論理一辺倒で色づけられているということに、欧米でもイスラム諸国でもない日本の国民は、気づくべきでしょう。

 あるイラン人が日本に対して言及している箇所を引用します。↓

 2月初旬、前期試験が終わったばかりの閑散としたキャンパスで、偶然クラスメートのひとりハサンと出くわした。彼は私を見ると、にやりと笑って口を開いた。
 「サラーム、元気か? 昨日、日本は賛成票を入れてくれたなあ。日本人ってのは、ちょっと昔に原爆落とされたこと、もう忘れちまってるのか?」
 昨日2月4日のIAEA(国際原子力機関)の緊急理事会において、日本を含む27ヵ国がイラン核問題の安全保障理事会への付託に賛成票を投じた。「安保理への付託」という言葉は、3年前アメリカによるイラク開戦に道を開いた安保理決議1441を連想させるように、これまで数年にわたってイランへの脅し文句であった。それがとうとう現実になってしまった。もちろん、そこで即イラン攻撃が審議されるわけではない。まずは経済制裁からじわじわと始めることになるだろう。いずれにしても、これまでIAEAの枠内の問題であったイラン核問題が、安保理という国際舞台で料理されることになったのは、イランにとっては致命傷だ。IAEAでの協定はけっして義務ではないが、安保理での決議は、違反すればすなわち国際法違反として制裁の対象となる。
 「いいや。日本人は原爆を落とされたことを忘れてはいないよ。戦争を早く終わらせるためだったとアメリカは言うけど、結局は実験材料にされたんだ。それは1つの歴史的事実として忘れないけど、いつまでも恨んでいたって仕方ない」
 私がそう言うと、彼は鼻を鳴らすようにこう答えた。
 「そうだな。それに、原爆2発も打ち込まれて戦争にも負けて、国は米軍基地でいっぱいだけど、最後は経済で勝ったんだしな」
 彼が言いたいことはわかっていた。この世界には正義もくそもない。アメリカの言いなりになって繁栄するか、逆らって潰されるかだ。どんなにイランが正義を唱えようと、西側のメディアが伝えるのは、「世界の秩序を守るアメリカがならず者のテロ国家による核兵器入手を懸命に阻止しようとしている」という構図ばかりである。


 残念ながら、最近の日本は、アメリカの干渉で、経済さえもが駄目になりつつあります。

 最後に、大村一朗さんが、アメリカの論理に絡めとられている今の日本を憂慮する締めくくりの箇所を紹介します。↓

日本の姿勢を問う
 安全保障理事会への付託によって、これまでアメリカが個人的に世界に対して圧力をかけてきたイランへの経済制裁を、今度は国際的な取り決めとして実行できるようになる。イランの対応次第では、軍事攻撃もいずれ検討されるかもしれない。その前にアメリカかイスラエルが単独でイランを爆撃する可能性も十分にある。
 「アメリカの攻撃? 怖くないよ。攻められたらもちろん戦うよ」
 サーズ奏者の芸術学部生が静かに答える。
 30歳のタクシードライバーは、
 「国内の弾圧や革命に巻き込まれるのはごめんだけど、イラン人のことなんか何も知らないアメリカに攻められて、統治されるのはごめんだね。そんなときは戦うよ」
 情報統制の厳しいイランだが、こと核問題に関しては、イラン人は世界中のどこよりも正しい情報をメディアから得ていると言えるかもしれない。イラン政府が核兵器保有を意図しているかどうかはイラン人の間でも意見が分かれるが、少なくとも現段階では核エネルギーが焦点である。その権利を奪うためにアメリカが攻めてくるというのであれば、戦わないわけにはいかない。
 イランの若者の多くが、アメリカの音楽、映画、ファッション、そして自由にあこがれ、現体制の窮屈さに辟易としている。だからといって、ひとたびアメリカが爆撃を始めたら、国民がこぞって体制転覆のために蜂起するなどと、アメリカが誤解していないことを祈るばかりだ。
 一方日本は、イラン核問題の安保理付託に際し、新聞各紙は社説などで、「最悪の事態(イラン空爆のことか、それともイランによる原油輸出停止のことか)を招かないよう、イランは自重すべきだ」とアメリカの恫喝そのままの論法で、本末転倒なイラン批判を展開している。
 いつだったか、川口順子外相がハタミ政権のハラジ外相と会談した際、こんなやりとりがあった。川口外相がIAEAの非難決議をイランは素直に受け入れるべきだと忠告したのに対し、ハラジ外相は「これは国のプライドの問題なのです」と政治家らしからぬ返答をしたのだ。ひょっとしたらハラジ外相は、日本人なら理解してくれるかもしれないと思って、こんな言葉を吐いたのではないか。その時ふと、そう思った。
 先に述べたモサッデク政権による石油国有化が実現したあと、イギリスによる圧力で石油の買い手が見つからず窮していたイランに、日本は手を差し伸べた数少ない国の1つだった。当時、イランが国の独立をエネルギーの国有化に見出したように、日本政府もまた、戦後アメリカから買い続けていた原油を、自前で調達するようになるのが真の独立だと考えていた。そんな日本が目を付けたのが、買い手が付かず安かったイラン原油である。イギリスの強い反対を押し切り、出光石油のタンカー日章丸が神戸港を発ったのは1953年3月。当時イギリスは、イランの原油を購入したタンカーを片っ端から海上で拿捕しており、日章丸はイギリス統治下のシンガポールを避け、遠回りを余儀なくされながらも、翌月、イランのアーバーダン港に無事入港した。日章丸入港のニュースにイラン国中が沸いたという。
 イギリスは日本政府に激しく抗議するとともに、東京地裁に提訴した。日本政府はこれは一私企業の取引であるという態度を貫き、東京地裁もまた、イランの石油国有化の正当性を擁護し、イギリスの訴えを退けたという。
 今、小泉政権はもちろん、マスメディアまでが、アメリカの意に反してイランの正義を代弁することなど、思いも及ばないらしい。
 「日本は経済でアメリカを倒した」
 この言葉が、賞賛から皮肉へと急速に変わっていくのを、ひしひしと感じる今日このごろである。


 <イギリスの強い反対を押し切り、出光石油のタンカー日章丸が神戸港を発った>

・・・1953年の日本は、独立直後でありながら、イギリスの圧力をはねのける力があったようです。

 今の日本だったら、自称現実主義者(実態は「長いものには巻かれろ」の妥協主義者)が「イギリスとの関係悪化を招きかねない」という反対論を唱えて、このような話は、きっと握りつぶしていたことでしょう。


日本郵政から切り捨てられたザ・アールの奥谷禮子

2007-12-05 | 構造改革
日本郵政から切り捨てられたザ・アールの奥谷禮子
2007年12月1日 FACTA

日本郵政グループ内で「おんな西川」などと陰口を叩かれている人材派遣会社「ザ・アール」の奥谷禮子社長が追放されそうだ。同社は旧日本郵政公社発足当時から職員研修プログラムの業務を受託しているのに、社長自身も日本郵政の社外取締役にちゃっかりおさまっていることが11月1日の参議院総務委員会で追及された。増田寛也総務相が「社外取締役は経営陣からの独立性が求められ、国民に誤解を与える」と苦言を呈すと、西川善文日本郵政社長もさすがにかばいきれないとみて「ご指摘を踏まえ、改めて検討します」と応じた。郵政グループはザ・アールとの契約が年度内に切れるのを待って、同社との関係を絶つ方針だ。
 
奥谷氏は年初に、「過労死は自己責任」などと大胆な主張をして物議を醸した人物だが、公私のけじめについてはまったく無頓着の様子。関係者によると、ザ・アールがこれまで郵政公社から請け負った商売は「職員のマナー講習」など7億円前後にのぼる。
 
「厚顔無恥にも程がある。西川社長の副業問題と構図は同じだ」と、日本郵政に詳しい参院議員は憤慨する。西川氏は今春、郵政公社総裁という公職にありながらも TBSなど上場企業6社の社外取締役や監査役を兼務していることが内部告発され、「総裁がアルバイトしていいのか」と非難を浴びた。西川社長が三井住友銀行時代のかつての部下たちを郵政グループ各社の幹部に据えていることへの風当たりも強い。「公私混同のやりたい放題が日本郵政の伝統として根付かなければよいが」と、幹部職員は心を痛めている。


 「既得権益」さえぶっ潰せば、日本はきれいになるとかいった単純思考しか出来ない「カイカク馬鹿」に対する反証になりうる記事です。

 「既得権益」とやらを奪い取った「いわゆるカイカク派」が、今度はそれを「カイカク利権」という形に変えて、おいしい思いをしているという実例が、今回やり玉に挙がった「ザ・アール」の奥谷禮子社長というわけですね。結局、「カイカク」といったところで、利権の所有者が変わっただけのような気もします。

 今もなお「小泉改革」を応援するブロガーがもしいるのであれば、改革後の不正や不公正についてもしっかりと目を光らせてほしい。それをしないで、「旧守派」は悪だから叩くが、「改革派」は善だから大目に見るというようなアンフェアな態度を取るのは止めてもらいたいものです。

 

(参考記事)
shionosさんの「大和ごころ。ときどきその他」切り捨てられる奥谷と居座る西川


music12.05 メリー・ホプキン / 悲しき天使

2007-12-05 | music
■メリー・ホプキン
you tube ♪(音声あり)




■メリー・ホプキン
メリー・ホプキン(Mary Hopkin, 1950年5月5日 - )は英国の歌手。ウェールズ出身でウェールズ語を母語に育ち、民謡歌手として音楽活動に入り、地元のインディーズ・レーベルでいくらかの録音を残した後、ツイッギーに見出されて、ビートルズのアップル・レコードと契約。

ポール・マッカートニーがプロデュースしたシングル「悲しき天使 Those Were the Days 」は1968年8月30日にイギリスで発表され、有名なスター、サンディ・ショーと競作する格好となったにもかかわらず、彼女の録音が全英シングル・チャートの首位に輝き、全米シングル・チャートでも第2位を射止めた。

1969年2月21日に、やはりポール・マッカートニーのプロデュースによる処女アルバム「ポストカード」を発表。アルバム・セッションに参加したドノヴァンから3曲をカバーしているほか、ジョージ・マーティンやハリー・ニルソンの作品も1曲ずつカバーしている。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


■悲しき天使 (Those Were the Days)
悲しき天使 (Those Were the Days) は、イギリスのヒット・ソング。原題は、直訳すると「あの頃は……の日々だった」という意味であり、歌詞の大意は、壮年期の人間が、青春時代を思い返してロマンティックに美化するというものである。したがって、日本語訳の名称は、英語歌詞の内容とは何の関係もない。

イギリスで活躍したアメリカ合衆国出身の歌手、ジーン・ラスキンの作詞作曲とされているが、正確に言えば、ロシアもしくはウクライナの歌謡曲をラスキンが編曲したものにほかならない。

より厳密に言うならば、コンスタンチン・ポドレフスキー(Konstantin Podrevsky)の詩にボリス・フォーミン(Boris Fomin, 1908年~1948年)が、クレツマーないしはジプシー音楽の様式で曲づけした歌“Дорогой длинною”(この道に沿って、この道を)にほかならない。ソビエト連邦からの亡命者によって欧米に広められるうち、いつしか作者不詳の「ロシア民謡」と呼ばれるようになり、その後1962年にラスキンが自作として発表したために、ラスキンの作品と呼ばれるようになったらしい。

1968年にポール・マッカートニーが、弱冠18歳のフォーク歌手メリー・ホプキンをプロデュースして「悲しき天使」のシングルを発表し、国際的にヒットし、その後さらにスペイン語版、ドイツ語版、ヴィッキーによるフランス語版もリリースされた。なお、シングル「悲しき天使」は、アップル・レコードから発売された最初のレコードである。

日本では発売されて約2ヶ月後に200万枚を超す大ヒットとなったピンキーとキラーズ『恋の季節』を抜いてオリコン・シングルチャートの1位に輝いている。また、漣健児によって訳詞が付けられ、森山良子や広川あけみによってカバーされた。ブラジルでは、この旋律がテレビ番組のオープニング・テーマに利用されたため、曲名を知らぬままにこの旋律に親しんでいる人々が多いといわれる。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 日英米のヒットチャートで、第1位を記録し、アメリカ国内では275万枚、日本でも200万枚を超す売上を記録した凄い曲。こんな地味な曲がなぜそんなに売れたのか不思議と言えば不思議です。

 人生の曲がり角を過ぎてしまった人が、自分の若かりし頃を思い出して、ほろ苦い追憶に耽るというような曲を、18歳のメリー・ホプキンが歌っていたというのもちょっとした驚きです。

未だに、安倍晋三に幻想を抱いているブロガー

2007-12-03 | 政治
「雅子皇太子妃殿下そして皇太子(東宮)御一家を憂う」さん「保守大敗(7)横田めぐみさん拉致から30年,滋さん代表退任…改めて「安倍辞めろ」論への怒り」より、
さて,すでに本サイトでも指摘してきたように,一部保守派は拉致被害者の方々の思いを無視して安倍退陣を叫んでいた.

きわめて遺憾ながら,一部保守系にも拉致被害者やそのご家族への思いやりに欠けている御仁がいるようだ.


 未だに、安倍批判者に対する怒りが冷めやらぬ人がいるようですね。

 一体、いつまで、怒りのTBを送ったら気が済むのかしらね。

 そして、いつまで安倍晋三に幻想を抱いているのかしらね。

 私にとっては、安倍晋三など、首相になった途端に、党内左派に遠慮して、靖国参拝を見送るは、河野談話を継承するはという見下げ果てた政治家でしか有りません。

 この人は、慰安婦問題では、アメリカに謝罪までしてしまいました。

 アメリカに膝を屈し、首相でありながら、党内左派の顔色を窺うような卑屈な人物が、金正日に対してどれほどのことが出来たというのでしょうか。

 安倍晋三が「拉致問題」を解決して、拉致被害者を奪還するのが確実視されていたなら、国民は経済問題などの懸案を一時的に我慢しても、安倍晋三を支持し続けたかもしれません。

 しかしながら、国民は、様々な懸案に対する安倍晋三の言動を見て、「信ずるに足らず」という結論を下したのです。このような人物が「拉致問題」を解決できるわけなどないと見切ったのです。

 安倍晋三をまるで、救世主のように考えているこのブロガーより、よほど一般の国民の方が見る目があったと私は思います。

 ①「国民の生活が第一」の耳に心地よい言葉に惑わされ,多くの有権者が拉致被害者を忘れて民主党に投票した.


 こんなことを書くこの人は、日本政府の経済政策の失敗で、辛酸を舐めている人たちのことを、何と考えているのでしょう。

 このブロガーは、北朝鮮に拉致されて苦しんでいる人たちに対するシンパシーはあっても、国内で、ワーキング・プアとして苦しんでいる人や、経済的困窮により自殺を余儀なくされる人に対するシンパシーはおそらく皆無なのでしょう。




ティー・ブレイク12.03

2007-12-03 | 構造改革
■ポートレート 松下 奈緒



松下奈緒(まつした なお、1985年2月8日 - )は、日本の女優、モデル、ピアニスト、歌手である。2006年4月、所属事務所を研音からジェイアイプロモーションに移籍した。

来歴・人物
* 生まれは、奈良県生駒市。
* 3歳よりクラシックピアノを習い、高校進学後、師に恵まれ音大進学を決意。
* 視力が悪く、コンタクトレンズを使用している。
* 2000年、エリートモデルルック日本グランプリ獲得を経てモデル活動を開始。その活動の中で芸能事務所からスカウトされ、活動の幅を拡げる。
* 2001年、冨永愛、滝沢沙織とともに爽健美茶のCMキャラクターに抜擢され、6代目爽健美人を務めた。しかし音大進学の夢を優先させるため、高2、3年時は芸能活動をセーブしていた。
* 2003年、兵庫県立川西北陵高等学校の英語コースを卒業し、演奏家を育てるコースの開設で著名な東京音楽大学に進学。現在はピアノを学びながら主に女優として活躍している。自動車免許を取得している。
* 2005年、フジテレビ系ドラマ『恋におちたら~僕の成功の秘密~』でヒロインを務める。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

■画像1 記念写真撮るのかnya~




■画像2 家庭教師(nya)




■画像3 これで庭も駆け回れるnya




■ネットの話題 2ちゃんねらー、英国旗をネタにする

英国旗、200年ぶりに変更も=ウェールズの赤い竜をデザインに
 【ロンドン28日時事】連合王国の象徴であるユニオン・ジャック(英国旗)が約200年ぶりに変わるかもしれない-。国旗にデザインが採用されていないウェールズの不満を背景に、ホッジ文化担当閣外相が「変更を検討する」と語り、注目を集めている。
 英国旗のデザインは1606年、イングランド(白地に赤十字)とスコットランド(青地に白の斜め十字)の組み合わせで原型ができ、1801年にアイルランド(白地に赤の斜め十字)が加わった。ただ、ウェールズは早くからイングランドに併合されていたため、ウェールズの旗にある赤い竜のデザインは組み入れられなかった。
 こうしたことから、ウェールズの国会議員らは「4つの連合国を表現するデザインに変えるべきだ」と訴えてきた。ホッジ文化担当相も「すべての国民が望むデザインを考えることはより大きな課題だ」と述べ、国旗変更の可能性を示唆した。


この記事をネタに2ちゃんねるで、デザイン論争が巻き起こる↓。

「痛いニュース(ノ∀`)」さん:「英国旗「ユニオン・ジャック」がウェールズ国旗を組み入れたデザインに変更か」

その経緯が「youtube」にUPされる↓。

新・英国旗 / New Union Flag(音声あり)

2ちゃんねらーの一人が、デザイン案を英紙(Telegraph)に送る↓

「痛いニュース(ノ∀`)」さん:「英国旗変更問題に日本から解決案」 2ちゃんねらーが考案した国旗デザインが英紙に掲載される

music12.02 マーシー・ブレーン / ボビーに首ったけ

2007-12-02 | music
■Bobby´s Girl - Marcie Blane
you tube ♪(音声あり)




■マーシー・ブレーン /「Bobby's Girl」

 アメリカでは1962年秋に発売されたこの曲は、セヴィルというマイナー会社から出たわりには、全米3位まで上る大ヒットとなりました。

 日本では1963年春にキング・レコードより発売。
 「ボビーに首ったけ」という邦題が付けられ、かなりの話題になり、伊東ゆかりなど、日本人のカヴァーもテレビなどでよく取り上げられていました。
(参考)「PET SOUNDS RECORD」さんのサイトの「2005年3月19日(土) マーシー・ブレーン 「Bobby's Girl」」より


額賀氏証人喚問 民主「見送り」探る 江田議長が収拾か

2007-11-30 | 日米防衛疑獄
額賀氏証人喚問 民主「見送り」探る 江田議長が収拾か
2007.11.30 01:09
 自民、公明両党欠席のまま参院財政金融委員会で野党が12月3日に行うと議決した額賀福志郎財務相の証人喚問が見送られる公算が大きくなってきた。共産、社民、国民新の各野党が29日、慎重論を唱えて民主党に働きかけた結果、同党内にも喚問見送り論が広がっている。自民、公明両党の参院幹事長が30日、江田五月参院議長に「喚問の議決は全会一致が原則で議決は無効だ」と抗議するのを受けて、江田氏が事態収拾に乗り出すとの見方が与野党で強まっている。

 共産党の穀田恵二国対委員長は29日、緊急に記者会見し、「野党単独で証人喚問を採決したときに(共産党が)賛成したのは間違いだった。証人喚問は全会一致が望ましい」と、異例の方針転換を表明した。国民新党の亀井久興幹事長も民主党の鳩山由紀夫幹事長に対して「衆院で自公両党が勝手に(野党議員らの)喚問を議決したらどうするのか」と反対の意向を伝えた。社民党幹部も民主党に「守屋武昌前防衛事務次官の逮捕で状況が変わってきた。無理をするのはいかがなものか」との意向を伝えた。

 こうしたことを受けて、民主党の菅直人代表代行が同日の会見で「野党の仲間から意見がある場合には十分耳を傾けるべきだ」と述べた。また、鳩山氏が同日夕、小沢一郎代表の意向をただしたところ、小沢氏は「幹事長に任せる。(最初に慎重論を唱えた)国民新党にも配慮してほしい」と述べた。

 参院民主党は「(12月3日の喚問の)方針に変わりはない。真実を明らかにすることを放棄することになる」(輿石東参院議員会長)と喚問実施の姿勢を表面上は崩していない。ただ、参院民主党関係者は29日、江田議長の斡旋(あつせん)で、額賀氏への喚問が先送りされるとの見通しを示した。

 民主党が額賀氏の証人喚問を見送れば、野党共闘の維持には有効だが、「民主党は、昨年12月4日の額賀氏の宴席同席の指摘に自信がなくなったのか」との批判にさらされるリスクがありそうだ。

 一方、自民党各派は29日に開いた派閥総会で、「民主党は乱暴すぎる」との批判の声を一斉にあげた。伊吹文明幹事長は伊吹派総会で「いまや参院は政争の府で、衆院が良識の府になった」と民主党を皮肉った。


 案の定、額賀福志郎財務相の証人喚問が見送られる公算が大きくなってきたようです。

 共産、社民、国民新の各野党が、慎重論を唱えだしたらしいですね。

 「空気の読める」政治家たちが、「守屋前防衛事務次官の逮捕」によって生じた微妙な空気の変化に、すぐさま対応し始めたということです。まさに自民党の思うつぼですね。

 この聞き分けの良さというか大勢順応ぶりには呆れますなあ。きっと、どこもかしこも、脛に傷もつ身で、下手に強気に出るとブーメランが襲ってくるという怖れにびびっているのでしょう。

 結局、庇い合いのなあなあで、一件落着としてしまうつもりなのでしょう。

>伊吹文明幹事長は伊吹派総会で「いまや参院は政争の府で、衆院が良識の府になった」と民主党を皮肉った。

・・・伊吹幹事長の言う「良識」とは、「与党が好き勝手にできる状態」のことらしいですね。このおっさんは、何かと腹立たしい発言ばかりしますね。国会というのは、政争の場であるべきで、変な妥協や庇い合いなどない方が良いと思うけどね。

 それにしても、自称保守の面々は、道路族や郵政族は、執拗に叩き続けるくせに、防衛族には、腫れものに触るような対応をするんだね。

 国内のゼネコンに流れる金は惜しいけど、アメリカに流れる無駄金は、気にならないらしい。防衛利権に、「見ざる・言わざる・聞かざる」の態度を取るような輩が、改革派を自称するとは、お笑い草と言うしかないのだけど・・・。




守屋容疑者への参院出張尋問、東京地検が協力姿勢

2007-11-29 | 日米防衛疑獄
守屋容疑者への参院出張尋問、東京地検が協力姿勢
 東京地検の渡辺恵一次席検事は28日午後、守屋武昌容疑者らの逮捕を発表した記者会見で、参院が来月3日に証人喚問することを決定した同容疑者の逮捕について「捜査で同容疑者に収賄の嫌疑が生じ、逮捕の必要があった。国会の証人喚問を妨害するために逮捕したのではない」と異例の説明をした。

 参院財政金融委員会などが国会での証人喚問に代わる出張尋問を決めた場合については「国政調査権の重要性は十分理解しており、法令の許す範囲内で協力したい」と拘置中の守屋容疑者の出張尋問にも応じる姿勢を示した。民主党は証人喚問に代わる出張尋問を求める方針。出張尋問の実施には改めて委員会の議決が必要になる。(21:21)


 東京地検の渡辺恵一次席検事は、守屋武昌容疑者の逮捕について「国会の証人喚問を妨害するために逮捕したのではない」と異例の説明をした・・・。

 わざわざ、このような釈明をするということは、「守屋容疑者の逮捕は、国会の証人喚問を妨害するためだ」とする声が多いためかな。

 「国政調査権の重要性は十分理解しており、法令の許す範囲内で協力したい」とすることで、検察批判の声を宥めようということらしい。とりあえずは、今後の成り行きを見守ってゆきましょう。

 さて、11/28放送「アンカー」青山繁晴の“ニュースDEズバリ”の終盤で、青山繁晴氏らがこう↓発言していました。

「ぼやきくっくり」さん「「アンカー」守屋逮捕でどうなる日米防衛疑獄」より、
青山繁晴
「今日の僕の話をもう一回思い出して下さい。この番組ではずっと『日米防衛疑獄』と言ってるわけですね。日米と言ってるわけです。さっき言いましたね。航空自衛隊の輸送機のエンジンがなぜかアメリカ製で、いつまでもアメリカ製で、それからさっきの日米文化・平和交流協会もですね、日本とアメリカをつなぐ役割をやってて云々かんぬん、それから実は検察には隠れた目標があって、航空自衛隊の輸送機だけじゃなくて、ほんとのほんとの本丸はそれを超えて沖縄なんです。沖縄の米軍基地は今、大きく再編されようとしてる。普天間の海兵隊が名護に移る。そこで莫大な利権がすでにい動いてて、それが本丸で、さっきの5人の中のうちの1人はそこがターゲットになってるわけです。そうすると……」

山本浩之
「いやあ、知りたいですねえ。やってほしいですね、それは」

青山繁晴
「その通り。だから日本が戦争に負けてから62年間、ずっといわばほったらかしにしてきた日米関係の闇を、これで追及することができるのか。そこにメスが本当に初めて入るのかどうか。その分かれ目だから、世論が判断していただく時に、日米関係をフェアなものにするために何が必要かということを、皆さんに考えていただきたいんです」

山本浩之
「それは私たちはそういう気でいますよね、少なくとも。いかがですか」

室井佑月
「うん、もちろん検察のこと応援してるし、あたしはもうどこまで明らかになるか、すごい楽しみにしてる」

山本浩之
「守屋って男1人が何回ゴルフしようがですね……」

室井佑月
「関係ないよ」

青山繁晴
「だけどね、室井さんね、この62年間ね、こういう日米でやってきたってことは、実は社会全体、経済全体がそれで成り立ってるわけで……」

一同
「う~ん」

青山繁晴
「そこをやろうとするというのは、ほんとはものすごいプレッシャーで。さっき言った、『政界には来ないんだ、青山くん』って電話かかってくるのも、『お前、そんなことまでやって大丈夫なのか』と僕への脅しなわけですから、だから大変ですよ、検察が受けてるプレッシャーも」

室井佑月
「でも本当に悪い奴を捕まえてもらいたいよね」

青山繁晴
「その通りです、はい」

山本浩之
「そこまで行ってほしいですよね。東京地検特捜部の皆さん、がんばって下さい!(ちょっとヤケ気味)(一同笑)」


 青山氏は、今回の疑獄を「日米防衛疑獄」だと言っています。

 「日本が戦争に負けてから62年間、ずっとほったらかしにしてきた莫大な防衛利権をめぐる日米関係の闇を、これで追及することができるのかどうかの正念場に来ている」という青山氏の指摘に、耳を傾けるべきかも。

 「アメリカにおんぶに抱っこ」の日本がどこまで、「日米関係の闇」を追求できるか、心もと無いことではありますが・・・。




東京地検、守屋前防衛次官を収賄容疑で逮捕

2007-11-29 | 日米防衛疑獄
東京地検、守屋前防衛次官を収賄容疑で逮捕=報道
 [東京 28日 ロイター] NHKや共同通信など国内の各メディアが報じたところによると、東京地検特捜部は28日、守屋武昌前防衛事務次官を収賄容疑で逮捕した。

 東京地検は、守屋前次官が防衛専門商社「山田洋行」の元専務、宮崎元伸容疑者に防衛装備品の調達などで有利な取り計らいをした見返りにゴルフ旅行などの接待を受けていたとして、28日午前から取り調べを行っていた。

 共同通信によると、特捜部は航空自衛隊次期輸送機(CX)のエンジン発注をめぐる便宜供与の有無など、巨額の防衛利権をめぐる疑惑の全容解明を目指す。


 東京地検特捜部は28日、守屋武昌前防衛事務次官を収賄容疑で逮捕した・・・。

 逮捕、収監された守屋氏は、国会で喚問できないってこと?

 参院で証人喚問招致が決まったその翌日に逮捕かい。幕引きのための国家権力発動としか見えないね。

 額賀vs守屋のバトルで、政界の膿を出せ、真相を暴けと思っていた国民を肩透かしか。

 結局、お前ら政治家の自浄能力なんて、こんなもんだったわけだ。少しでも期待した私が馬鹿だったよ。



額賀氏の喚問を議決・参院委で野党

2007-11-28 | 政治
額賀問題 与野党攻防は「泥仕合の様相」
2007.11.27 19:52

 額賀福志郎財務相の守屋武昌前事務次官らとの宴席同席疑惑をめぐり、自民党は27日、宴席の夜の額賀氏のスケジュールや証拠写真の公開に踏み切った。自民党は「これで額賀氏の潔白が証明できた」(幹部)と反転攻勢をかける構えだが、民主党は守屋氏から情報提供があったことを暴露した上で、参院財政金融委員会で額賀、守屋両氏の証人喚問を決定。自民、民主両党の攻防は“泥仕合”の様相を帯びてきた。

 自民党国対幹部は27日朝、国会内の一室で、額賀氏が昨年12月4日に出席した防衛関係の勉強会のCD-ROMを顧問弁護士から受け取り、再生スイッチを押した。

 13分後…。「いま額賀先生がご到着されました…」「遅くなりました」。間違いなく額賀氏の声だった。国対幹部はニヤリと笑い、「これならいける」とつぶやいた。

 27日午後2時、国会内の自民党会見室に現れた大島理森国対委員長は自信たっぷりに事実関係を報告し、「額賀氏が宴席に列席したことはありえない」と断言。「国会法119条は各議院で無礼の言を用い、他人の私生活にわたる言論をしてはならないと定めている。民主党は偽メール事件の反省と教訓から検証チームが立派な報告書を作ったではないか」と、永田寿康元衆院議員(民主)を議員辞職に追い込んだ昨年の偽メール事件を皮肉った。

 自民党側は「これで国会の流れは変わった」「民主党はさぞ困っているだろう」と意気上がったが、喜びはつかの間だった。

 民主党は「アリバイに信憑(しんぴよう)性はない」(山岡賢次国対委員長)などと強気を崩さず、参院財政金融委員会は、自民、公明両党の反対を押し切って額賀、守屋両氏の証人喚問を強引に決めた。

 これには大島氏も「これだけ証拠を挙げて対応しているのに、あまりに理不尽ではないか。国会は法廷じゃないんだ!」と激高した。自民党からは報復として、額賀氏を追及した民主党の辻泰弘参院議員や小沢一郎代表らの衆院での証人喚問まで取りざたされている。

 額賀氏は27日夜、財務省で記者団に「私には客観的に証言してくれる人がたくさんいるので分かってくれると思う」と語った。


 勉強会のCD-ROMを持ち出したり、自民党も必死ですなあ。

 大島理森国対委員長は「民主党は偽メール事件の反省と教訓から検証チームが立派な報告書を作ったではないか」と、論じていたけど、永田メールの件はおかしな決着のつけ方でした。

 たとえ、永田メールがガセであっても、それで、武部の疑惑が晴れたわけでもないのに、何故か無罪放免。「永田メール=偽」であることは、「武部の疑惑=偽」であることの必要条件でしかないのに、なぜか十分条件になってしまった。

 自民党はこれに味をしめて、「永田メールの二の舞になるぞ」と脅していたけれど、それは甘かった。参議院では、たとえ与党が反対しようと野党だけで、証人喚問が決まるんです。↓

額賀氏の喚問を議決・参院委で野党
 参院財政金融委員会は27日、防衛専門商社「山田洋行」の元専務、宮崎元伸容疑者との宴席に同席したとされる問題で、額賀福志郎財務相と守屋武昌前防衛次官を12月3日に証人喚問することを自民、公明両党が欠席のまま民主、共産両党の賛成で決めた。証人喚問の決定は全会一致が慣例で、一部会派が欠席したままの議決は極めて異例だ。


 これに関して、ある自民党議員が「多数の横暴だ」と言ってたのはお笑いでした。

 従来、与党が「臭いものにふた」をしてきたせいで、政府あるいは政界の腐敗が目に余るほどになってきていますが、こんな風に与野党が対決姿勢でガチンコ勝負を続けていけば、あるいはこれが政界の浄化につながるかも知れません。

 野党が参院で多数派になったおかげで、政界の腐敗構造が明らかになるならば、「ねじれ国会」の効用ありということになります。



 

<小泉チルドレン>次期衆院選で逆風「我々は使い捨てか」

2007-11-28 | 自民党
11月26日21時30分配信 毎日新聞

<小泉チルドレン>次期衆院選で逆風「我々は使い捨てか」

 衆院解散含みの政局をにらみ自民党が次期衆院選の公認調整を急ぐなか、05年の前回衆院選で初当選した「小泉チルドレン」の当選1回議員への逆風が強まっている。古賀誠、菅義偉の正副選対委員長コンビが「勝てる候補」を選考基準に掲げ「チルドレンを優遇しない」との方針を打ち出したからだ。比例単独で当選したチルドレンが前回同様の名簿上位に掲載されるか不透明なうえ、郵政造反復党組とぶつかる比例復活組も小選挙区での公認は厳しい状況。「我々は使い捨てか」と嘆く声も上がっている。 


 競争原理のみが働く選挙戦においては、「勝てる候補」というのが大前提であり、「チルドレンを優遇しない」とするのは当たり前のこと。それを「我々は使い捨てか」と嘆くのはおかしい。

 もし、「チルドレンを優遇しろ」とごねるのであれば、こいつら自身が、「わしらの既得権を認めろ」と主張しているのと同じで、「カイカク」「カイカク」と連呼し、既得権者を攻撃している常日頃の言動とは矛盾するのだけどね。


消費税を増税しようと手ぐすね引いている福田内閣

2007-11-27 | 構造改革
飄々と始まった増税論議 / SAFETY JAPAN [森永 卓郎氏] / 日経BP社
 11月5日、政府税制調査会の第5回総会が首相官邸でひっそりと開かれた。メディアの注目は民主党小沢代表の辞任騒動に集まったため、新聞ではほとんど触れられていなかった。

 さて、その場で2008年の税制大綱の大枠が事実上決まったのだが、ここではっきり福田内閣が何をやろうとしているのかという方向性が見えてきた。

 基本方針は、次の三つである。

1.社会保障財源としては消費税以外に考えられない
2.人的控除は圧縮もしくは廃止(配偶者控除が最大のターゲットだが、もしかすると給与所得控除や扶養控除の圧縮や廃止も視野に入れているのかもしれない)
3.法人税率引き下げ、研究開発投資支援の拡充

 消費税の税率引き上げについては、連合の高木会長ら一部を除いて、ほとんどの委員が大筋で一致したという。

 安倍内閣は「上げ潮政策」を採用して経済成長率を高めることを目指し、できるだけ増税を避けようという姿勢だった。だから消費税論議も封印してきたのだが、福田内閣はさっそく露骨な増税を打ち出してきたのである。

|景気低迷時に消費税増税は避けるべき

 それにしても、この時期に消費税増税というのは、まったく理解できない政策である。何も、わたしは安っぽい正義感だけで言っているのではない。景気が低迷している時期には、金持ちから税金をたっぷり取って、金のない人に再配分するのが大原則なのだ。

 現状を見ればよく分かるだろう。金があり余っている人はなかなか金を使おうとしないが、いまの庶民に10万~20万円を渡せばすぐに使ってくれるはずだ。こうすれば消費が拡大して景気が刺激される。

 これは経済のイロハのイである。だが、あえて福田内閣はその逆をやろうとしているのだ。消費税増税は、社会保障維持のための安定財源確保のためとも述べているが、このコラムで何度も書いたように、日本の財政状況は報道されているほどひどいわけではない。

 おそらく、消費税を上げることで、法人税率引き下げや研究開発投資支援拡充のための資金を確保したいのだろう。給料が上がらずに苦しんでいる庶民から金を取り上げて、空前の利益を上げている大企業に所得移転をするわけである。

 福田総理のイメージは、飄々(ひょうひょう)としてソフトのように見えるが、やっている経済政策は安倍前総理にくらべて、はるかに弱肉強食である。

 消費税は、低所得者ほど実質負担が大きい逆進的な税制だと言われる。低所得者は収入のなかから消費に回す割合が大きいから、税率は同じでも、所得の低い層ほど実質的な負担が大きくなってしまうのだ。


 森永 卓郎氏の指摘によると、福田内閣の経済政策の方向性は、↓このような感じですね。

 「消費税増税、配偶者控除等の各種控除の圧縮もしくは廃止というように一般国民に対して課税強化を行い、それによって出来た増収分を、法人税率引き下げ、研究開発投資支援の拡充に振り向けるという財界のみに都合のいい政策」

 結局、小泉改革の実相は、日本社会を財界と株主にとって都合の良い社会に作り替えることだったのだということが改めてよく分かります。

 本当のところは、一般国民に対して課税強化を行えば、その分、内需が縮小して、不景気となり、結果的に「財界」の首を絞めることになるんだけどね。

景気が低迷している時期には、金持ちから税金をたっぷり取って、金のない人に再配分するのが大原則なのだ。

 現状を見ればよく分かるだろう。金があり余っている人はなかなか金を使おうとしないが、いまの庶民に10万~20万円を渡せばすぐに使ってくれるはずだ。こうすれば消費が拡大して景気が刺激される。


という森永氏の指摘こそが正しいのだと思いますよ。

 「弱者救済」という言葉を安っぽいヒューマニズムとしか捉えないネオリベ信者が多いようですが、「経済的弱者」に金を渡すことは、景気拡大策の一環として有効であるということが彼らには分かっていないようです。

 ネオリベ信者には、自分たちの乏しい財布の中身から、さらに貧乏人が上前をはねていくという被害者意識しかないようです。ピラミッドの上に向かうべき批判が、自分と同等か、更に下に向かっているわけです。

 そのような被害者意識(自分たちは貧乏人からたかられている)が、ネオリベ信仰に繋がり、「財界」の側に与するようになるのでしょう。「財界」にとっては、実に都合のいい存在です。



アホで幼稚なマンセー族

2007-11-25 | 構造改革
 政府自民党のやり方・考え方に異を唱えると、すぐに「マスコミの扇動にいいように乗せられている」だとか、「左翼に騙されている」だとか某マンセー族はうるさいね。

 郵政選挙の時に、どれだけマスコミは「郵政民営化」を絶賛する報道を繰り広げたことか、自分が「扇動にいいように乗せられている」ときには何にも感じなかったのだろう。幸せな人だ。

 時によっては、政府自民党の言うことよりも、左翼の言うことの方が正しいときもあって当然なのに、それを否定する。政府自民党の言うことはすべて正しいとでも思っているのか。

 「左翼やマスコミ」を悪の権化のように毛嫌いし、「政府自民党」を正義の使者のように信じきるというのも、全ての存在を「善か悪か」のいずれかに当てはめようとする幼稚な二元論の現れなのだろう。

 「アメリカの日本に対する過度の干渉」を批判すると、「アメリカは日本のためを思って意見してくれているのだ」と左翼もびっくりの「お花畑ぶり」を発揮して、「アメリカ批判」を陰謀論と切って捨てる。

 政府自民党に都合の悪いことが報道されると、これは、中国の意を受けた左翼やマスコミが流す「ネガティブ・キャンペーン」だと決めつけること自体、「一種の陰謀論」とどう違うのだろう。

 同様に、アメリカに都合の悪いことが報道されると、これは中国による「日米離間工作だ」などとこれまた、中国の工作員の仕業にして、「アメリカの善意を疑うな」というキャンペーンに努める。

 マンセー族の言い分を聞いていると、まるでアメリカが、「悪気はないのに、中国の工作に嵌ってばかりいる、相当間抜けな国」みたいだ。たぶん、これは、マンセー族自体の対米観を反映するものなんだろうけど、随分とおひとよしなものの見方だと思う。

 マンセー族は、この百数十年の間、世界の覇権を握ってきたアングロ・サクソン民族を余りにも舐めているんじゃないか。

 政府自民党やアメリカにとって都合の悪い状況になるたびに、何の証拠も無しに「これは、中国あるいは、左翼あるいは、マスコミの策謀によるものだ」とかいったことを始終書き散らしながら、「アメリカの策謀を疑う意見」を「陰謀論だ」の一言で片づけ、またもや、「このような陰謀論は、中国あるいは、左翼あるいは、マスコミの策謀によるものだ」とするマンセー族自体、相当重篤な「陰謀論患者」なのだと思う。

 そんな彼らが、そもそも「陰謀論」批判など出来るわけないんだよ。


再構築迫られる対北戦略=米のテロ指定解除前提に-政府

2007-11-24 | 拉致・北朝鮮問題
2007/11/23-14:31 再構築迫られる対北戦略=米のテロ指定解除前提に-政府
 政府が、拉致問題でこう着する北朝鮮との関係打開に向けて戦略の練り直しを迫られている。米国による北朝鮮のテロ支援国家指定解除が現実味を増しているためで、当面は日朝の2国間協議を重ねるとともに、6カ国協議を通じて北朝鮮の核開発廃棄に全力を挙げる方針。非核化が完了すれば、次は北朝鮮経済の立て直しが焦点となり、日本の「過去の清算」による多額の支援が拉致問題進展の大きなてこになるとの読みもある。
 テロ支援国家の指定解除問題をめぐっては、福田康夫首相が16日のブッシュ米大統領との会談で「日米の連携」を求めたが、大統領は「日本の立場を考える」と述べるにとどまった。


 日本の「過去の清算」による多額の支援が拉致問題進展の大きなてこになるとの読みもある・・・というような事を政府は本気で考えているのでしょうか。

 もし本気だとしたら、「日本が誠意を示せば、北朝鮮もきっとそれに応えてくれるだろう」というような甘い考えが、独裁国家相手に通じるとでも思っているのだろうか。

 「日本の多額の支援」というのは、北朝鮮を「拉致問題解決」へと導く「動機付け」になっていたわけで、その大事なカードを「拉致問題解決」が無いまま使ってしまうことにどんな意味があるというのでしょう。それこそ、北朝鮮の思うつぼではないのでしょうか。

 もし本気でなく、単なる言い訳だとしたら、政府がいよいよ「拉致問題」を置き去りにした「国交正常化」に舵を切ろうとしているということであり、大変憂慮すべきことです。


「生存者がいないから、拉致問題は解決済み」?

2007-11-23 | 拉致・北朝鮮問題

(参考)「stay alive for a moment of the death」さん「大前研一の馬鹿ぶり全開」より、
 大前研一ちゅうのはバブルの産物だと思ってたんだがまだいたんだな。
で拉致に関してわけわかめなことをほざいていたので読者のために全文貼っておくことにした。
出所は日経BPネットなんだが、こんな低劣な論者にコラムを書かせるのはここと産経新聞くらいのもんじゃないの?

 全体を通してアホかというほどにネガティブなんだが、たとえば大前氏は、ある時細君を誘拐して強姦まくった犯人が後日判明し、そいつが「誘拐強姦事件は解決済み。」っと言ったらそれでなんの検証もせず諦めるのか?

 僕は情がどうだのこうだのなんて子供のようなことは言う気はないが、機会があったら氏に一度きいてみたいのは「国民国家における国民と国家の関係は?」ちゅうことだな。


“拉致問題は解決済み”という現実
経営コンサルタント 大前 研一氏
2007年11月14日より

 北朝鮮の工作員による日本人拉致問題は、小泉政権の時代に大きな展開をみた。小泉政権のあと、対北朝鮮強硬派で鳴る安倍晋三氏が首相に就任したこともあって、拉致問題はいっそう進展することが期待された。

 しかし先の参院選での自民党の大敗北、そして安倍氏の不可解かつ突然の辞任。もちろんそれだけが理由ではあるまいが、最近、拉致問題はほとんどといっていいほど動きがない。日本側が「拉致被害者を返せ」と言い、北朝鮮側が「拉致問題は解決済み」と返す、これを繰り返している状況が数年間続いているだけだ。

 一方、北朝鮮の核問題については進展があった。今回の6カ国協議で、エネルギーを支援する代償に北朝鮮は核の無能力化に合意したのである。日本政府は米国に対して、拉致問題が解決する前にテロ支援国家としての指定を解除しないよう働きかけているが、米国は明確な答えを示してはいない。

 そんな折り、中山内閣総理大臣補佐官はヒル国務次官補との会談で、「拉致問題が解決しなければ、北朝鮮へのエネルギー支援には参加できない」と述べた。そして拉致問題の進展については「国が被害者家族を帰国させることに基本認識を持ち、具体的なステップを踏み始める必要がある」という日本政府の考えを示した。また危機感を抱いた拉致被害者の家族が訪米し、ヒル国務次官補に直接陳情するなどの動きもみられる。

 これで拉致問題は再び動き出すのだろうか。わたしは正直なところ「微妙」と考えている。こういうことを書くのは拉致被害者の、あるいはその家族のお気持ちを考えると忍びないものがあるのだが、北朝鮮の言う「拉致問題は解決済み」という言葉が示す現実を考えると、そう結論せざるを得ないのだ。


口に出せないデリケートな問題
 では「拉致問題は解決済み」とはどういうことか。はっきり言えば、「拉致した人はもういません」ということを意味しているのではないだろうか。少なくともわたしには「解決済み」の意味は「探しても、生きている人はもういませんよ」であるとしか考えられない。

 おそらく小泉元首相が平壌で直接交渉したときに、その辺のくだりが出てきていたはずで、もしかしたら通訳の誤訳があったのかもしれないし、お互い「解決済み」に至る解釈、あるいは定義があいまいであったのかもしれない。

 一方、米国は「解決済み」の意味を当然北朝鮮から説明されているはずで、それがなければ、北朝鮮を「テロ支援国家」のリストから外す作業に着手するとは考えられない。

 つまりわたしにはこの問題が「それを言っちゃーおしまいだよ」という言霊の世界の問題のような気がするのだ。当然、日本のマスコミもその流れに沿って自らはこの問題を深追いすることなく呪文のように「北朝鮮=拉致問題の解決が先決」という線に沿って報道している。

 そしてイラク、アフガニスタン、パキスタンなどブッシュ大統領の進めてきた中東政策が暗礁に乗り上げるなか、任期切れ前に一つでも得点を稼ぎたい米国大統領の都合で、北朝鮮問題の解決を、日本の頭越しで図る可能性が高くなっているのである。そのタイミングは年末といわれているが、日本は刻一刻と追い込まれているのではないかと危惧する。


拉致問題を棚上げする“5カ国協議”
 米国としては友好国である日本の言い分も当然認めたいのだろうが、韓国も中国も明らかにこの問題を棚上げしてしまった。ロシアは最初から日本の意見を聞く立場にない。いま日本を除く5カ国は朝鮮半島の非核化に交渉のすべてのポイントを移してしまった。拉致問題を抱えている韓国は拉致被害者の家族への補償金を提示して見切り発車を断行しようとしている。

 だが、拉致された家族はそれを認めない。「まだ生きている」という思いで、「いつか帰ってくるに違いない」「早く帰せ」と活動を続けている。ここに大きなズレがあるのだ。先述のように日本は言霊信仰の国なので、日本側で「もう、生きている人はいません」と口にしてしまったら、拉致被害者の家族はがたんと気力を落として活動も終わってしまうだろう。

 だから、日本政府はその一言を口にしない。米国も日本の拉致被害者たちの心情は理解しているので、あえて日本の内政問題につながりかねないこのデリケートな問題に関しては発言しない。

 もしいまだ元気にしている人々がいるのであれば、今の北朝鮮にとってそれらの人々を帰国させるのを妨げるものはないはずだ。既に帰国している人々の立ち居振る舞いを見れば、そう北朝鮮に不利になる言動をしているわけでもない。元気でいる人々を帰国させて日本からの援助を引き出す、というメリットを上回る理由があるとは(少なくともわたしには)思えないのだ。

 そもそも小泉元首相が北朝鮮を訪問したときに交わした、正確な言葉をわたしたちは知らない。これも大きな問題だ。小泉元首相は2回北朝鮮を訪問し、5人の拉致被害者が帰国したが、そのときいったいどういう話をしたのだろうか。そのときの正確な言葉を、誰も聞いていないのだ。「まず、あの5人を帰した(生きている人はほかにもいる)」のか。それとも「生きているのは5人だけで、全員を帰した」のか。その認識が正確ではない。


安全保障上の問題に口を出せない日本
 日本が核問題に関与できていないのはなぜか。誤解を怖れずはっきり言おう。「拉致被害者は生きている」という建前があまりにも災いしているのだ。まず日本がやらなくてはいけないのは、「拉致問題は解決」と北朝鮮が言う理由を問いただすことである。そして、日本と北朝鮮の間にある大きなズレを修正するべきなのだ。

 にもかかわらず日本がやっているのは、米国に「拉致問題についても議題に挙げてください」とお願いすることだけ。米国は「日本の要求はいちおう伝えます」と言いながら、本当は誰もまじめに伝えていない。中国もこの問題は関係ないという態度でまじめではない。だから6カ国協議の議長声明にも拉致問題は盛り込まれていないのだ。

 だからこそ、わたしは強調しておきたい。とにかく「解決済み」の理由を明確にし、日本にとってより重要な、開発済みの原爆とそれを搭載する可能性のあるミサイルの双方を無能力化することが先決だ、と主張することである。それをしないうちは、いつまで経っても、北朝鮮が日本にとって大きな脅威であるという状況が解消されない。

 確かに、拉致された被害者のうち、数人はまだ生きている可能性はある。しかし、拉致被害者の家族が訴えるように、40数人全員が北朝鮮で生きているというのは、希望的観測に過ぎるのではなかろうか。しかしそれを口に出すことは難しい。それが日本の言霊信仰の恐ろしいところだ。

 わたしはヒル国務次官補から政府の担当者に「日本よ、いい加減に目覚めよ」と言ってほしいと思っている。それを言わないから、この問題がいつまでも終わらない。そして、日本は6カ国協議の中で他のメンバーから無視され、日本にとって本当に重要な安全保障上の問題が放置されたまま、北朝鮮と米国との国交正常化が進んでしまう可能性が高くなっているのである。


 大前 研一氏は、北朝鮮の「拉致問題は解決済み」という言動から、「もしいまだ元気にしている人々がいるのであれば、今の北朝鮮にとってそれらの人々を帰国させるのを妨げるものはないはずだ」とし、「拉致した人はもういないのだ」と結論付けていますが、少し強引過ぎる論理展開ではないのでしょうか。

 大前氏は、「『「拉致被害者は生きている』という建前があまりにも災いしているのだ」と、「生きている」というのは建前であると言っています。

 ところが、そのあとで、「確かに、拉致された被害者のうち、数人はまだ生きている可能性はある」とも言っています。

 「拉致被害者のうち、まだ生きている人がいる可能性がある」と考えながら、「『拉致被害者は生きている』というのは建前であり、そのような建前は邪魔なだけだ」と言っているのは論理矛盾であり、もし論理矛盾でないのなら、「生きている拉致被害者は見殺しにしろ」と言ってることにしかなりません。

 日本の評論家の一部に、大前氏のように「拉致被害者はもういない。だから、拉致問題は解決済みなのだ」という主張をする人がいますが、そのような考えは大きな間違いです。

 オノレが指示して拉致を行い、オノレの国に監禁した挙句、「故意」であろうとなかろうと「死なせてしまった」のであれば、「生存させながら帰国させない」ことより、さらにずっと金正日の罪は重いのであり、「みんな死んじゃったから、拉致問題は解決だよ」みたいな呑気なことを言って済むことではないのです。

 それに、「生存者がいないから、拉致問題は解決済み」などというような意見が大勢を占めるようになれば、「それじゃ殺してしまえ」ということになりかねないわけで、いままで、生き延びてきた拉致被害者の生命を危険にさらすことにもなります。

 もし、北朝鮮が、「故意」であろうとなかろうと拉致被害者を「死なせてしまった」のであれば、それは、彼ら自らが、「日朝国交正常化」に至る道筋を半永久的に閉ざしてしまったのだということを痛切に分からせるべきでしょう。

 「死なせてしまった」というのが事実と分かり次第、日朝交渉の内容も、「日本の半島支配」に対する北朝鮮からの賠償要求から、「北朝鮮の拉致事件」に対する日本側からの賠償請求に切り替えるべきなのは言うまでもありません。

 そのような事態になったとき、「さあ、いよいよ、日朝国交正常化」だの、「今後は、北朝鮮に大規模援助をすべき」だのというような事を主張してはしゃぐ評論家や政治家がいるなら、そのような輩こそが、媚朝派売国奴であり、大いに世論から指弾されてしかるべき者たちということになるでしょう。