かつて1970年代、
野武士 と呼ばれた建築家たちがいた。
若かりし頃の、
伊東豊雄、長谷川逸子、毛綱毅曠、渡辺豊和 ・・・・
建築を肴に酒を酌み交わし、
議論の末に乱闘も辞さない、
武闘派のヤバイ建築家たちであった。
その中で、
極めて 野武士の中の野武士 だった男が、
建築家 石山修武 である。
80年代後半、
バブル時代の中、
野武士 たちは、
だんだんと上品になり、いつの間にやら
小奇麗な建築を造ってゆくことになったのだが、
建築家 石山修武 は、たったひとり
切れ味鋭い刀を振りまわしていた印象がある。
その 石山修武 の建築作品が岡山県建部町にある。
建部町温泉会館 (1990年竣工)
日本中が狂っていたバブル時代に、
これから、まだ建築をやってゆくのか?
それとも海外逃亡しようか? と迷っていた時、
この建築が、
私に多大な勇気を与えてくれて、
やっぱり、
建築を続けてゆこうと決心することになった。
そんな甘酸っぱい昔話を思い出す。
久々にここを訪ねて、
建築が現存していたので素朴にうれしい。
この建築が竣工した時は、
あまりにバラックなデザインだったので
周辺住民から ブタ小屋 と呼ばれていたという。
この建築も、20数年経つにも関わらず、
未だにバラックなムードを醸し出しているところが、
全然、くたびれていないので痛快だ。
嘘のない建築は素晴らしい。
またひとつ、勇気をもらった。
ヤバイね!