まほろば俳句日記

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【俳句部門】氷よ氷・・氷結の時間と《氷》の覚醒は破られたか!?/マイブログ大賞2018*予選

2019-01-02 23:24:10 | エッセー・評論

氷よ氷お前が眠れば地球になる   夏石番矢  句集『氷の禁域』(2018)より*アマゾン通販中!

夏石番矢さんの【氷よ氷お前が眠れば地球になる】の読みがいっこうに進まない。私たちがいま足を踏みしめている《場所》が地球とは限らないとすれば、もうどうやって日々刻々と流れてゆく氷結後の《時間》と面と向かっていればよいのかわからず途方に暮れてしまう。何もかもが確かなものでなくなってゆく渦中で、氷なるものに眠ってくれと呼びかける途方のなさそれ自体が一句のテーマになっているとすれば、これはもうどうしようもないことになってしまう。そこでふと思いついたのは、作者とのある時代の共有感覚である。私も作者も1970年代というある時期を体験していたことである。40年後のいまから振り返ると、この時代は《世界》が凍り付いてしまう予兆に満ち溢れていた。何か《ことば》を発しても、そのまま発声の器官ごと凍りついてしまう感覚に襲われてしまう。いっそのこと何も語らずに《沈黙》の渦の中に背を丸めていた方が何か聞こえてくるかもしれない。そんな想いを指して【氷よ氷】と冒頭から呟いたのかもしれない。果たして《氷》というこの世界の全体性は、その後どう変容していったのだろうか。いまも覚醒し続けているのか、作者の言うように眠ってしまったのか。そのことを見極める方法はあり得たのだろうか。・・・《続く》

 

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