蟻地獄見てそれからの私小説 松村五月(gooブログ『俳女モニカの俳句日和』より)
人間を「蟻」に譬えて、その否定的側面をことさらに強調することがある。蟻とキリギリスの逸話によれば,蟻が来るべき冬に備えてコツコツと食糧を蓄えている姿を横目で見ながら悠然とヴァイオリンを弾いているアレである。ちなみに私は1970年代に青春期を送った第一次シラケ世代で【キリギリス世代】とも呼ばれた。60年代末期に全世界に吹き荒れたカウンターカルチャー運動を政治文化両面で主導した所謂【団塊の世代】の後塵を拝して有閑無能呼ばわりされた暗黒の世代である。彼らは己らの無謀と敗北をいち早く予期し、恥ずかしげもなくアッサリと社会復帰していった。私たちは彼らの残した遺産をあくまで守り通すべく、周囲の罵倒と嘲りを浴びながら必死に耐え忍んだ。蟻地獄とは彼ら団塊の世代を典型とする手前勝手な先発の蟻世代の無様を告発する怨嗟の隠喩に他ならない。・・・《続く》
蟻地獄の意味【GOO辞書】
ウスバカゲロウ類の幼虫。体長1センチの鎌状の大あごを持ち、乾燥した土をすり鉢状に掘って巣を作り、底に潜んで落ちたアリなどを捕らえる。あとじさり。すりばちむし。すり鉢状の穴から抜け出せない苦しい状況のたとえにもいう。